京都マラソン2024

もう6回目くらいになる。


初めて京都マラソンに参加したのは、「ボランティア枠」が創設された年だった。
前年にボランティアをさせていただいたので、それで採用してもらった。


その時はPBを狙ってサブ4を目指していた。


そしたら、地方情報誌の「京都リビング」に掲載したいと取材依頼があり、写真を載せる必要があったから、当時働いていた上司が撮ってくれて、飲み会でテンション高々の満面の笑みの写真を送った。


その後、地方テレビから「めっちゃ笑ってたから明るい人かなと思って」と取材依頼があり、少しだけテレビで紹介してもらった。


マラソン当日はめちゃくちゃ緊張して、音楽を聞いて気を紛らわせていた。地元なので、職場の人や知り合いが応援に来てくれていて、そのおかげで4時間切ることができた。


それから10年近く経ったかもしれない。


今は4時間代前半だったらいい方。
調子が悪ければ5時間近くかかる。


フルマラソンは何が起こるかわからない。
30キロ以降がどうなるか、ほんとにわからない。調子がいいと思っていても、トイレでダメになったり、体が重くなったり、自分の場合は過呼吸になる。


でも、一度もリタイアしたことはなく、数々のひどいフルマラソンを経験してると、なんとかなるだろうと余裕が出てくる。


今回は、門川大作京都市長が京都マラソン実行委員会会長として最後ということなので、お掃除仲間が「スタートの時にありがとうって書いた紙を見せるねん」と話していたので、自分も何かしようと白い布に文字を書いてポケットに忍ばせていた。


スタートラインで、市長が高台からみんなを見送っている。ちょっと恥ずかしかったけど、両手に布を持って広げて見せたけど、タイミングが悪く、ランナーが多すぎるため、目に止まらなかった。


ありゃりゃ残念!と思いながらも、そんなこともあるだろうなと、布にしていたため、またポケットに納めた。いつもゴールにも市長が迎えてくれている。その時に運良く会えたら見せようと思った。


走り始めは、人が多く、なかなかリズムに乗れない。でも、大体オーバーペースになる。ゆっくり走ろうと思いつつも、走り出したら気持ちいいペースまで上げたくなり、キロ5:40くらいで入った。


マラソンでは、トイレ問題がある。スタート前にスッキリできたらベストだけど、タイミングが悪いとなかなかうまくいかない。

とくに、こういう大型都市大会はトイレでめちゃくちゃ並ぶので、いつどこでトイレに行くかは重要。


京都マラソンの場合は、たけびしスタジアム南東にある、補助競技場の間のトイレが穴場だ。記録実績が速いランナーのスタートブロックに近く、人数が少ないのと、導線的に正面出入り口から一番遠く、16基ほどあるため、並ばずに行き放題だ。


7:00には西京極に着き、温かかったので、早めに荷物を預けて、補助競技場でゆるゆるとジョグしたり体操しながら好きな時にトイレに行っていたので、トイレ問題は、ばっちりのはずだった。


それでも、走り始めたら刺激が入り、トイレには2回行った。マラソンほんとに走ってみないとわからない。


7キロ地点くらいで、うーんイマイチ調子よくないか、練習不足だったなぁと体が重くなってきた。ここで体が重いのは、結構まずい。だいたい、5キロくらい入ったらだんだん体が軽くなり、ここから26キロくらいまで楽に走れたら調子がいい。


不安な気持ちで走っていたら、清涼寺の前でお掃除仲間を発見した。記録を狙ってなかったので、目の前で行って立ち止まる。わざわざ名前のフリップまで作ってくれていた。雨対策なのか、強度補強なのかラミネートまでしてくれている。


そしたら、なんだか急に体が楽になった。応援の力はすごい。京都マラソンではボロボロになったことがないのは、そのおかげだとホントに感じる。



「あと少しで鴨川ですよっ!」


沿道のボランティアをしていた時、仲間がこんな声かけをしていた。走る側になるとわかるのだが、マラソンは長く、精神的な強さも必要なため、小さな目標を作るのは心の支えになる。鴨川まで行こう、エイドのおたべは食べたい、あの人がここにいるって言ってたからな。それを繰り返していたら、いつの間にかゴールに辿り着く。


あとは、意外と応援に来ていない人たちの存在も励みになる。大きな大会だと、「応援ナビ」というアプリで、ランナーが現在どこにいるのか、ペースが落ちてるのかどうかがわかる。


「応援ナビでみてるしな!」と事前に声をかけらていたら、あの人見てるし、止まってたらサボってるのバレるなぁと、一歩踏み出す力になる。


気力が抜けたら走り続けられない。長いフルマラソンは、いかに気力を持ち続けられるかが大事だ。足が痛い、しんどい、そんな所に目を向けたら苦しいしかないので、気を紛らわせてくれる応援はめちゃくちゃありがたい。


伝説のランナーら福士加代子さんもいて、ハイタッチしてもらった。走りながらめちゃくちゃ喋ってて、折り返し地点を過ぎたら、「やったーっ!折り返したーっ!」と喜んでて、なんかものすごく元気をもらえた。


京都マラソンは、市役所前を折り返すコースがあり、ここから39キロ地点の上りまでが正念場になる。そこを超えて、冷泉通りまでの直線がまた長い。あと2キロだけど、気持ち的にはここからあと40キロ走るつもりで気持ちを入れる。


ゴールにも友人が待っててくれていた。
名前を書いたフリップを持ってくれている。ゴール直前は、ダッシュをすると決めているので、申し訳ないけど、止まらずに力を振り絞った。スピードを出すと横から追い抜かそうとしているランナーがいたので、さらにギアをあげでゴール。脱帽してコースにむかって一礼したら、あとひと仕事だ。


ゴール手前200メートルくらいから握りしめていた布を広げて市長のところへ向う。「16年間ありがとう」と書いた布を見せると、「おぉ、ありがとう」と少し驚いてくれた。お付きの方が写真を撮りましょうと声をかけてくれた。汗で少し湿った布を持たせるのは忍びなかった。笑顔でいたつもりだったけど、後で市長のFacebookに投稿された写真をみたら、顔がむくんでかなり疲れていた。


京都マラソンはKBS放送で、当日夜9:00から振り返りの生放送がある。そこで市長が「こちらが応援するどころか、逆にありがとうと言ってくれるランナーもいてね。スタート時にメッセージを見せてくれた人もいたり、ゴールまで持ってきて見せてくれた人もいましたね。」と話されていて、母とみながら、笑っていた。自分のことかはわからないけど、何か心を動かして温かい気持ちになってくれていたらいいなと思う。




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