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大谷レキオ
2021年6月15日 14:16
雨音が続いていた。ときおり、ひやりとしたすき間風が頬を横切る。 カエルも鳴かぬ豪雨か。ボロ屋の戸が軋む音が悲鳴のようだ。 私の前にはおそらく毛玉がいる。おそらくというのは、毛玉が静かで、気配もジンガイだから、なかなかはっきりとその輪郭がつかめないのだ。「おい毛玉、そこにいるか」 毛玉の所在を明らかにするための質問をしたところ、舌打ちのような返事が返ってきた。「殿様気取りか、ジジイ」