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登園日記#12 遅れてきた啓蟄

緊急事態宣言が解除され、息子が通う保育園も短時間ながら預かりを開始してくれた。

息子のおでかけは一ヶ月以上ぶり。

妻が妊娠していたことによる我が家の厳密なステイホーム政策のもと、息子は、テレワークと生協とAmazonからなる壁で仕切られた小さな城の真ん中に囚われ、敷地内と庭だけに遊び場を制限されていた。

もちろん、少しでも退屈させまいと、庭に砂場を置いたり家にトランポリンを置いたりしたが、街のざわめきやお店の賑わいが好きな息子にとっては、刺激が少ない日々だったと思う。

しかも、妊娠してたママが数日家にいなかったり、帰ってきたと思ったら知らない赤子(弟)を抱いていて、その子におっぱいをあげているという、足元が崩れるような体験もした。

それでも息子は、日々敷地内の蟻の巣観察に勤しみ、てんとう虫を捕まえ、いろんなところにチョークで絵を描き、トランポリンをいろんな飛び方で飛び、日々をそれなりに楽しく過ごしてくれた。

弟が泣けばハグしたり、おむつを5、6個ベビー ベッドに差し入れたり、おもちゃを握らせようとしたり、両親に教えたりしてくれた。夜泣き対応をしようとして走り回ってもいた。

そんな息子(ここからは長男と呼ぼう)が、久々に家からでている。

車の窓から見えるなんでもない風景一つ一つに、「ほら、坂だよ!」「あ、バイク!」と目を輝かせている。宣言前に訪れたレストランも覚えていて、また行きたいね、と言ってくれる。

ホコリを被りかけていた「お外」という概念に、一気にケルヒャーを叩き込んだ感じで、彼の視界が鮮やかになっていく。

長男、まだ日常への完全復帰は遠いけど、君の目をもっとキラキラされされるものに、なるべくたくさん会えるように、みんなであと少し頑張ろう。




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