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freeeが実践する新卒・中途オンボーディングのコツ

先日、manebiさん主催のイベントで、オンボーディングについてお話させて頂きました!freee人事企画のshinoです。

当日は1100人くらいの方が見てくださったということで、オンボーディング特化イベントとしては過去最大級だったのではと思います。様々な角度からオンボーディングが語られていて、freeeでも速攻真似したい事例が超もりだくさんでした。

このnoteでは、オンボーディングで悩んでる人事・現場の方のちょっとでもお役に立てるよう、そしてfreee入社予定の方・興味をお持ちの方に入社前後のイメージを膨らませて頂けるよう、サミット内容をダイジェストでお届けします!


新卒と中途の違いサマリー

全てはこのスライドにまとまっているので、本当のダイジェストだけ知りたいんじゃって方は、これだけ見ていただければOKです。

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オンボーディング=組織社会化

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イベント主催のmanebiさんの定義をお借りしました。「企業が新たに採用した人を配置して、組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連のプロセス」とあります。秀逸、その通り感満載。

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オンボーディングとよく対比される研修。研修ってもう古いからダメなんですよね?みたいな話をたまに聞きますが、freeeでは入社研修はオンボーディングの一部だと捉えています。セキュリティやコンプライアンス、会社のミッションなど誰に対しても同じ情報をちゃんと伝えたい場は、研修形式をとるべきだと思っています。

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またアカデミック的にオンボーディングを捉えれば「組織社会化」だと言えます。組織社会化とは、社会学における「社会化」の下位概念の一つ。

社会化=「子供やその社会への新規参入者(例えば留学生とか転校生とかがわかりやす)が、その社会の文化や価値感、規範を身に付けること。 遺伝子によって、先天的に獲得したものではなくって、後天的に学習によって獲得されるもの」

この社会化の中でも、企業など特定の組織に入っていくことを「組織社会化」といいます。

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組織社会化には3種類あります。

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文化的社会化は、組織の価値観や行動規範を理解し、体現するプロセス。MVV、その会社のノリ、雰囲気に馴染む。という過程のこと。

職務的社会化は、これが一番業務に直結するような概念で、仕事に関する知識やスキル獲得プロセス、会社独自のお作法、業界や顧客を理解することを指します。

最後に役割的社会化ですが、これちょっとイメージしづらいかもしれません。会社や上司、周囲からの自分自身への期待値を理解するプロセスです。

例えば、明確なポジションではないんだけれどもリーダー的立ち回りを期待されるとか、知識はないが臆せず質問することで他のチームメンバーが人に教えるという行為を通して成長するように期待されるとか(特に新卒は副次的にこれを期待されることが多い)です。

あとは、キャラとしての期待値。ムードメイカー、攻撃も守りもいけるリベロ的立ち回りなど。

というように、オンボーディングって領域が広くて結局何ができたらゴールなの?ってなりがちですが、社会学の中ではこのように定義がされています。そしてfreeeではこの3軸にそってあらゆる施策を検討しています。


オンボーディングの効果測定

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組織社会化した状態=オンボーディングした状態をどう図るのか?というのも結構頭を悩ませるポイントだと思います。

社会学者のJonesは、以下4つを満たしてるのがオンボードした状態だと定義しています。

1.組織コミットメントが高い
2.職務満足が高い
3.役割コンフリクトがない
4.離職意思が低い

この指標に対し、freeeでは3つの結果指標をもっていて、月一回のサーベイでチェックしてます。

1. 組織コミットメントが高い → freeeで働いていてハッピーですか?
2. 職務満足が高い → 今後の会社の変化を楽しめそうですか?
3. 役割コンフリクトがなく →  今の業務がキャリアにつながっていると思いますか?
4. 離職意思が低い → これは直接的には確認できないので、1-3の回答状況と、パルスサーベイ(よく眠れてますか?仕事は順調ですか?人間関係はどうですか?)の掛け合わせで確認をしています。


新卒・中途の前提の違い

オンボーディングとは何かを理解したところで、次にそれぞれの社会化において新卒と中途がどんな前提の違いがあるのかを整理しました。

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文化的社会化
新卒でいえば、やっぱり学生から社会人へのマインドチェンジですよね。「これだから学生はー」みたいな老害チックなことを言いたいわけではなくて、自分も会社という組織の一員で、新卒とか中途とか関係なく同じクオリティもしくはそれ以上のクオリティで仕事をしていく仲間なんだぞ、という気持ちの切り替えという意味で書いてます。

例えば、freeeで毎年新卒メンバーがはいってくるときに面白いなっておもうのが、みんな社員のことを「社員さん」って呼ぶんですよね。私も新卒の時そうでした。これはきっと、まだまだ学生と社会人という間にバウンダリーがあって、自分はどっちかというとまだ学生側という意識の表れなのかな。と思います。

中途は、前職価値観のアンラーニングが必要になります。もちろん良い文化は積極的に新しい組織にも広めていって欲しいなと思う反面、「前職ではこうでしたー」とか「普通はこうですよね」とか、前の成功体験や経験に引きずられて、替わろうとしないスタンスの場合はちょっとかえる必要があるよね、と思います。

職務的社会化
新卒は、まっさらで基本的なビジネス基礎から始める必要がるのが普通かなと思います。

中途の場合は、前職の経験をいかしつつ、会社のお作法とか、業界・顧客知識をお伝えしていく必要があります。

役割的社会化
新卒は二つ視点があって、組織目線では、新卒のように一気に同じ年代の人たちが入社するのは中途だとあり得ないので、組織のハブをになって欲しいという期待値があります。たとえば、エンジニアと営業の壁を同期というだけでヒョイっと超えられちゃうのは、新卒の強みだなと思います。

一方、本人目線で見たときには、まだビジネスマンとしてのcanが積み上がっていないので、こうしたいというwillとか、自分自身への期待値が明確でないことが多いです。canを積み上げてwill/wantを作っていく段階なのが新卒です。

一方中途はcanがあるのでwill/wantが明確であることが多いと思います。ただwill/wantが明確にあるからこそリアリティショック(=入社前後の会社に抱いていたイメージ・期待値のズレ、自分ができると思っていた仕事の認識違い)が大きくなりやすいのが中途です。このリアリティショックが早期退職の最大要因になりうるので、入社後だけではなくて入社前の面接時、もしくはもっと前の求人票を出す段階から慎重にならないといけないポイントだと思います。

以上が、それぞれの社会化軸において、新卒・中途が前提として持っている違いでした。


新卒・中途で異なる有効なオンボーディングの違い

オンボーディングにはいくつもの手段や事例がありますが、新卒と中途で有効な手法が違うのでは?という仮説のもと行った調査の結果がこちら。入社一年未満の人を対象に、どんな要素・因子が、メンバーの組織化につながるのか重回帰分析を用いて特定しました。

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新卒
プロアクティブ行動と呼ばれる、自律的に物事を調べたり、人に聞いたり、ルールや仕組みを変えたりっていう変革行動がある人ほど、オンボードしやすいことがわかりました。右も左もわからないながらも、何かやってみてトライアンドエラーできる環境をつくることが、新卒にとっては重要だとわかりました。

中途・ジュニア
役割的社会化・情緒的コミットメント・成果に必要なコミュニケーションというのが結果として出ました。

一定スキルがあって新卒に比べて自由に動くことができるので、自由に動く中で成果に必要なコミュニケーションが活発になるように、朝会・夕会で必ずわからないことをその日中に解決など、相談しやすい環境がポイントになってきます。

中途・シニア
情緒的コミットメント、プロアクティブ行動というのが結果として出ました。シニアの特徴として、マネージャーやリーダーとして入社する人が多いのですぐに成果を求められるのが特徴。成果につながる自律的な行動を加速するために、仕事でよく絡みそうな人を、周囲の人間がお節介してつなげてあげる、仲人をしてあげるというのが大事になってきます。

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以上のポイントに注意しながら、freeeではオンボーディング施策を検討しています。次に事例を見ていきます。


オンボーディング事例

新卒・中途、共通したオンボーディングはこちら。オレンジでかこってるのは研修形式で実施してるものです。

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新卒は共有のオンボーディング以外に二週間の基礎研修とOJTを組み合わせています。

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さいごに新卒中途それぞれ事例を挙げていきます。新卒中途の前提の違い、オンボーディングポイントの違い、この二点を踏まえて、それぞれ重要視してる箇所が異なります。

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新卒は、プロアクティブ行動・自律性が生まれるようなプロジェクトを準備。全社を横断して動き回れるようなプロジェクトをあえて渡すことを大事にしています。

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今年の21卒は自分の後輩に当たる23卒の学生に向けて、会社概要資料の作成を依頼しました。採用チームが説明会で使ったり、自社のHPに掲載することを前提にしてます。

会社資料をつくるには、ミッションビジョンバリューの理解から始まり、今後の事業計画を達成するためにどんな人材をどれくらいの数欲しいのか、あとは資料の利用シーンを想定してコンテンツを作るなど、かなり全方位の視点や行動、プロアクティブな行動が必要になります。そういった環境を意図的につくるために、会社概要資料をテーマに実施をしました。

以前は、自分が配属されるチーム以外の部署に一週間常駐をして、業務をキャッチアップするという受け身の研修でした。これはこれで、いろいろな部署の人と繋がりを作るという意味ではとてもよかったんですが、なかなか自分から動くって環境を作りにくかったので、テーマを刷新しました。

結果として、新卒研修ごのNPSは向上し、あとは長年なかなか上がりにくかった「同期との繋がりを感じられたかどうか」という設問の数字が向上していて、やっぱりプロアクティブに動くことが新卒にとってはオンボーディング においてプラスの効果があるんだなってことがわかりました。

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中途ジュニア・シニアは共有して、成果を出すためのコミュニケーション、関係性をつくることが重要なので、メンター制度も重要視しています。近しいチームの既存メンバーが3ヶ月お世話掛として、業務知識を共有したり、人をつなげる役割を担っています。

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あとは、リアリティショック軽減のために、キャリア自律を促す面談制度を設け、自分のキャリアの中でどうfreeeという仕事を位置付けているのか、マネージャーや同僚と会話する機会を設けています。

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それ以外にも、FFSを活用してセルフマネジメントに活用したり、年一の全社オフサイトではCEOから会社の方向性を示しカルチャーを感じてもらう機会づくりを行っています。



さいごに

以上がfreeeのオンボーディングポリシーと実践例でした! 入社前後のイメージが膨らんだり、オンボーディングご担当者の方の不安解消に繋がっていたら幸いです。

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そしてそしてfreeeでは、人事メンバーの採用大強化中です!オンボーディングやカルチャー、人材育成・組織開発などを一挙に担う「ムーブメント研究所(人事・総務)」のメンバーをはじめ、freeeのミッションを一緒に背負ってくれる人をガンガン採用していく「リクルーター」を大募集中です。

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