そんな顔で

 みなさまおげんきですか。僕はというとシネマスタッフのツアーに帯同しつつ喜びを感じ、制作を進めつつ絶望している、そんな日々を送っております。

 だいぶ前からツアー編は滞ってしまっているのですが、ざっくり覚えている限り書きます。

 福岡
 キューブリックは初めて行くところで、おしゃれで雰囲気のある場所だった。小規模な会場ではあるけど逆にそれが熱気を演出してて、出会った頃のシネマを思い出したりしていた。お互いこんなにお客さんが入ってはいなかったけど、それでも十代特有のギラつきを小さなライブハウスにぶつけていたように思う。ステージ小さかったのでみんなに当たらないか心配しつつも、だいぶ落ち着いて演奏して出来た記憶がある。ツアーこのあたりは自分の中で「ストップエモーショナル」という標語が流行っていた。そろそろ落ち着こうぜ、と大人の俺が俺にささやく。
 打ち上げはかなりカオスでここでは書けない感じのことがいっぱいあった。濃いメンツで飲んだ(笑)的なやつだった。察してくれろ。

 西川口
 昔大宮にあったときのハーツは出たことがあったりする。移転後は初。ここもおしゃれになってたな。何故かリハまでの待ち時間にみんなでくのくんの持ってきたリングフィットをする。フィットネスというかもはや筋トレだった、が、くのくんいわくこれは序の口らしい。全人類こんなことやって、強くなって、一体誰を倒したいのだろう。三島は最後まで頑なにプレイせず。そういうとこやぞ。
 リハ後何故か尋常じゃない体調の悪さに襲われ、本番中横になりながら聴いていた。出番あたりでアドレナリンのおかげか動けるようになったので難なく演奏。この日割と手応えがあったというか、体調良くなかったせいか手元に集中出来たような気がしている。ライブ中急に楽園の君や斜陽をライブで出来ているという事実に感動したのもこの日。どうして俺はここにいるのだろうというリドルに心は右往左往していた。
 打ち上げは近くの居酒屋へ。豪華な食事が並べられ、シネマゆかりの友人が沢山いて、そらもうピースフルな空間だったが、再度体調の悪さに襲われ無念の途中帰宅。帰宅後も胃の痛みが尋常じゃなく、我慢の限界迎えつつあったので救急車呼ぼうかと思ったのだがさすがにな……とこらえなんとか就寝。
 翌日病院に行くとあっさりした顔で「胃痙攣ですね」と言われた。過労とストレスが原因らしい。おとなしくしていようと思った。

 神戸
 新年あけましておめでとうございますライブ。アートは初。隣の神社でおみくじを引いたら末吉で本当反応に困った。人にも言いづらい。せめて凶であってくれ。
 シネマのライブは新年初ということもあってか薄い膜一枚をやぶるかやぶらないかという緊張感のもと、新鮮な空気感で進んでいた。ちょっと他のツアーとは異質だったような気がしている。そこに引っ張られたのか、年末年始の体調、そして底を叩いたメンタリティが影響したのか、自分の出番も大変な熱量でエモ散らかしてしまった。「ゴーエモーショナル」という標語が流行りかけた。あんなにギター弾かない楽園の君は初めてでございました。仕事量の少ない自分ですらツアー中、些細なことで演奏が左右されるというのにシネマのメンバーはしっかり安定していて素直に感嘆いたした。経験値が違うさね……。
 オフィシャルの打ち上げがなかったので少ない人数で近所の中華料理屋へ。出てきた炒飯、おかゆ、麻婆豆腐、すべてハイクオリティで毎日これ食べたいと思った。あとTHISTIME深水さんがスパークしていた。俺、三島、カメラマンうつのみやで変な連帯感が生まれていた。

 高松
 移動日。昼に徳島の定食屋に向かう。人気店らしく総勢八名で三十分ほど並んだ末の刺し身はもはや暴力だった。美味すぎ。ホテル到着後はギターを持ち込んでÖsterreichの制作。進んだような進まなかったような…。その後三島、カメラマンうつのみやでサウナに行く。さっぱりして三島と飲みに。何回行くねん。でも沢山話しちゃう、女の子だから。
 翌日、DIMEは生涯二回目。映画館を改装した場所なので広く、天井も高い。うっすらすごく好きなライブハウスというのは覚えていたのだけど、やっぱり好きだなと再確認した。何よりずば抜けて音がいい。シネマ本来の音の良さも相まって、ここは天国かいやと、極楽かいやと、悪い意味ではなくライブ中寝られるのではないかと思っていた。
 前々日の頭がまあだいぶあれだったので反省してかなり丁寧に演奏した。「ストップエモーショナルpart2」という続編映画を脳内で上映。得てして熱量は独りよがりになりがちなので、せめてシネマのツアーでは控えようと改めて思いました。
 打ち上げ、近所の居酒屋で。かまのさんも来ていたので期せずして三島俺みずきくんかまのさんというÖsterreich組で固まる。やはりというかなんというかゲコくんの話が頻出、あいつ本当愛されてるなという結論に達した。あと妙に俺がディスられる展開も頻出。本当愛されているのだろうか。途中からTHISTIMEスタッフも参加して愛とはという話になった。深水さんはやはりスパークしていた。

 仙台
 マカナは初、だが仙台は昔結構来ていて感慨深かった。リハの段階で中音に若干苦戦しつつ、本番スッキリするやろ~とという見積もりで待機。シネマのライブ、横から見てて思ったのだがこの日は一番体力を使っていたように思う。消耗、というより発散というか。全編寿命縮まってもおかしくないようなスピードで駆け抜けていて、正直、最高にいいライブだった。自分がステージに出た瞬間も一瞬精神と時の部屋かと錯覚するようなテンションが充満していた。みずきくんは本気で酸欠になっていたらしく、混乱していたのか耳打ちで楽園の君の歌詞を聞かれた。その瞬間女の子になってしまったわたしは、限りなく、羽毛を撫でるかのごとき優しさ、いたわりで「間違えたままぼくら生まれてきたね、だよ」と教えてあげた。間違えなかった。
 自分の演奏もツアー中で一番気持ちよく、さすがに九本目ともなると筋肉ついてきたのでは? などと思ったり。斜陽は一瞬とてつもないカオスが襲来したものの、腕力でねじ伏せた。ライブっぽいというか、ライブじゃないとあのカオスは聴けないしねじ伏せられなかったはず。バイブス高まってきた。どうなっちまうんだ名古屋。生きて帰れるのか名古屋。
 打ち上げ、せり鍋という名物を頂いたのだが、これがもう強豪ひしめく鍋界においても出色の存在。なにかしらの根っこ的なものが入っていたのだが土臭さ相まって「一生食える」と本気で思った。家でも食べたい。エレファントジムのKT氏が来ていて、挨拶程々に存在がツボにハマったのかずっと俺のことを笑っていた。悪い感じではなくなんか挙動がツボらしい。俺は結構ファニーな存在なのかもしれない。

 現在に至るまでは以上。ツアーに帯同しつつ、自分の制作も進めておりますが、近くでシネマ見てると自分のちっぽけさに気付かされるというか、自信なくなるでほんま。それでもやらなきゃいかんし、続けていかなきゃいかん。ボロボロになって生きていけなくなる手前まで悩み続けて、そうやって死んでいくぜ。

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