サービスデザインの鷹の目と蟻の目

サービスデザインに必要な「鷹の目・蟻の目」 [Design FM]

Design FMとは、毎回前線で活躍するデザイナーさんをゲストにお迎えして、テーマに合わせた、「デザイントーク」をお送りするPodcastです。

今回のテーマは「インハウスとクライアントワークの差から見るデザインの本質」です。
クライアントワークでサービスデザインを提供する「明間さん(@AKMTKS)」をゲストにお迎えして、インハウスデザインとクライアントワークの仕事の差分をお話しすることでサービスデザインの本質に迫ります。

サービスデザインに必要な「鷹の目・蟻の目」

以下は今回のPodcastをインハウスデザイナーの私目線でまとめたものです。

サービスデザインとは、サービスの質と、サービス提供者と顧客の間のイ
タラクションの改善を目的として、人・インフラ・コミュニケーション、そしてサービスを構成する有形の要素をプランニングし、まとめあげる活動である。多くの観察をまとめて、スケッチやサービスプロトタイプなどで、コンセプトやアイディアを視覚的に表現する。 (Wikipedia)

今回はインハウスデザイナーとクライアントワークをするデザイナーが「サービスをデザインする」ためのアプローチの差分から、サービスデザインをデザインしていくために必要な新たな視点について解説していきます。

サービスデザインの鷹の目と蟻の目

多くのデザイナーは、グラフィックのデザインを学ぶにあたって「鷹の目と蟻の目を持つ必要がある」ということを知ります。
これは、

・鷹が空から地上を見るように、引いた目線で全体のイメージを俯瞰する
・蟻が地面を近くで見るように、細部のディテールに深く目を光らせる

この両方の目を持ってグラフィックを構築するべきだという学びです。
それではサービスデザインにおける「鷹の目と蟻の目」とはどのような視点になるのでしょう。

今回の対談では、
インハウスデザイナーのサービスデザインは、いわば地面からサービスの子細を見る「蟻の目」
クライアントワークのサービスデザインとは、いわば上空からサービスを俯瞰する「鷹の目」

であり、その両方の側面をいま改めて学ぶべきなのではないか?というお話をさせていただきました。

画像1

「チーム成長」のための蟻の目・鷹の目

蟻の目「ボトムアップで共創する」

インハウスデザイナーのメリットは内部のメンバーと共に共創できるという点です。
同じ釜の飯を食うチームだからこそ、有機的な形でサービス改善やビジョンメイキングを行うことができます。

たとえば仕事の合間の雑談やランチやディナーなどのプライベートな瞬間を共にする中で自然にディスカッションすることで、少しずつメンバーの目線を揃えっていくことができたり。
深い信頼関係があるからこそ、別職種と深くアイデアを交わすことでイノベーションを生み出すチーム構築することができます。

鷹の目「第三者の目線から俯瞰する」

クライアントワークでは第三者の視点から「そもそも」の目線に立つことでチーム自体が気づいていなかった暗黙のあたりまえを再定義することができます。

サービス運営が長期になるほど「普段からこうやっていたから」というあたりまえが蓄積していって、それが実は今のフェーズでは無駄であったり非本質的だったりする場合があります。

「そもそも、なぜそれを必要としているのですか?」という一歩引いた第三者視点のヒアリングを行うことで、自分たちも気づいていなかったチームの弱点に気づくことができるのです。

「思考の質」を高める蟻の目・鷹の目

蟻の目「日々の変化に注目する」

インハウスデザイナーは長期的かつ日常的にサービスに触れることができます。
だからこそ日々の数字変化や直接的なユーザーの反応をみながら少しずつサービスを成長させていくことができるのです。

サービス改善の本質はユーザーのほんの小さな機微に隠れている場合があります
長くそのサービスに携わっているからこそわかる "違和感"に注目してサービスを改善していくのです。


鷹の目「本質的に考える」

時にはそのサービスにおいて、デザインが与えることのできる影響の本質に立ち返って考える必要があります。
そのサービスの本質から、大局的な思考で今考えるべき「問い」を立てるのです。

今すぐ解くべき" 問い" と、本質に立ち返った時に解くべき" 問い" は違います。
時には立ち止まってビジョンから逆算した本質的な問いを見つめるプレイヤーが必要です。

「デザインプロセス」における蟻の目・鷹の目

蟻の目「すぐに試して学ぶ」
インハウスデザイナーは実行することのハードルが低いです、権限が委譲された素早いアジャイルチームにおいては、その日に思いついたアイデアをその日のうちに実行することさえ可能です。

素早く失敗することができ、それに対する学びを得て日々行動を修正していくことで不確実性に対して強くあることができます。

「どれだけ考えてもわからないこと」は試すしかないので素早く実行し学びに変換することが大切です。

鷹の目「提案をじっくりと考える」

サービスの根底を変えるような大きなピボットは、日々の改善の延長上から生まれないことが多々あります。
時には日々のサービス機微から離れて、「我々はどうありたいのか?」を考える時間も必要です。

大きな変革を成し得るためには深く検討されたアイデアをもって、より上層部を説得できるような練り上げられたプレゼンテーションをする必要があります。

デザイナーはしっかり時間をかけ提案をまとめプレゼンテーション場を演出することで、日々の改善では成し得ないような大きな変革を成し遂げるのです。

二つの視点を振り子にする

サービスをデザインするという目的において、インハウスデザインもクライアントワークも本質的な課題感は同じで、最終的に「こうなりたい!」という目的地は一緒であることがわかりました。

しかしながら、お互いが得意とするアプローチの仕方は全く違います。
クライアントワークは上からサービスを俯瞰するところから始め、インハウスデザインは下から成果を積み上げることから始めるというアプローチの違いです。

本質的なゴールが同じだからこそ、この両方のデザインプロセスを学ぶことはとても重要だと感じます。

インハウスデザインは、あえて足を止めてサービスを俯瞰し本質的に考え、大きな目線でプレゼンテーションする。

クライアントワークは、より顧客に寄り添いチームを教育することで共に成長していく。

これらの視点を振り子のように使い分けることができれば、より優れたサービスデザインができるのではないでしょうか?

Design FMは始まったばかりです。

まだまだお聞き苦しい点が多々あるかと思いますが、ぜひ温かい目で応援してくださると嬉しいです。

またゲストとして出演してくださる、デザイナーさんを募集しております
ご興味のある方は、ぜひツイッター等でご連絡いただければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?