ブルーシードバッグから考える社会性

ブルーシードバッグ

2017年グッドデザインアワードにて特別賞復興デザイン賞を獲得したもので、モノの意味を転換して、被災地に希望をもたらし、地域外と繋ぎ、支援にしていく、大変優れた取り組みである。

先日、三菱地所で働く知人が言っていたのだが、企業においてはSDGsやESG投資など「社会性」を重視せよといった流れがとにかく大きくなっていて、事業もそこで働く人も今大きな変化を余儀なくされているという。しかし、どうしたらいいか分からないという声も少なくないようだ。

そうした企業で働く人たちは、ブルーシードバッグのような地域の素晴らしいプロジェクトにどれほど目が向いているのだろうか。実際のところ私には分からないのだが、個人的にはまだまだ少ないのでは?と思っている。何故ならば日常会話レベルで出てくることがほぼないからだ。

全ての物事はなんだかんだフラクタルな関係にあるため、このプロジェクトのような社会的に評価を受けている事業の仕組みを知っておくことは、今後の事業デザインに役立つことが十分に考えられる。震災をキッカケに生まれた社会性と事業性がバランスよく組み合わさったこのプロジェクトについて私なり記事にして伝えていくことが、誰かの小さなインスピレーションに繋がったら嬉しい。そしてこのプロジェクトへの参加者・支援者が少しでも増えることに繋がればと思う。

プロジェクトデザインについて

まず、どんなプロジェクトなのか箇条書きにしてみます。

・被災地 熊本/大分の「ブルーシート」を回収

・回収したブルーシートで「バッグ」を作り販売

・バッグの制作に関しては同じ熊本・大分の事業者に外注

・収益は「製造原価」「活動費」そして「被災地への寄付」に別れる

・事業主体は一般社団法人「BRIDGE KUMAMOTO」 

これだけでも「分かる」のですが、より分かるように、関係性や流れを図にしてみます。

お金の流れとブルーシートの回収から販売までを図示してみました。

そして、この図に「仕組みのポイント(灰色)」と「ステークホルダーのベネフィット(白点線枠)」を描き加えてみます。

そうするとこんな感じになりました。

復興支援になって、地域にも良く、環境にも良く、この仕組みが回っていくことで地域が元気になり、関わる人も元気になっていく。このプロジェクトを知った時はとても感動したし、このデザイン力を羨ましいと思いました。

ここで被災地を「赤く」強調しているのは、この仕組みにおける「社会性(地域や環境)」の部分に当たるからです。言葉を選ばずに言うと、今までたいていの事業は「社会性」に該当する部分が欠如していたあるいは十分でなかったと思います。自分たち会社の利益が最優先ですから当然といえば当然。銀行から融資を受ける際もまず財務諸表で判断されますからね。しかし、今、大きなうねりになりつつあるSDGsやESG投資はこの「社会性」という部分にフォーカスしたもの。事業がなすべき姿は昔とはもうだいぶ違うということです。

プロダクトデザインについて

仕組みが素晴らしいと思えるのは、最高のプロダクトがあるから。仕組みの中心にある「プロダクト」も大変素晴らしく感激しました。

2016年4月、熊本・大分を中心に大きな地震が起きました(しかも2回!)。家の瓦は崩れ、被災地の屋根はあっという間にブルーシートに覆われました。私たちのくらしを守ってくれたブルーシートですが、ブルーシートだらけの風景は、やっぱり悲しみでいっぱいでした。そこで私たちは、熊本・大分の地震の象徴である被災地の使用済みブルーシートを回収し、「トートバッグにできないか?」と考えました。被災地のブルーシートを見た時に「このブルーシートもいつかバッグになるのかも」と思えるかもしれない。そうしたら、悲しみの景色を、少しだけ明るいものに変えられるかもしれないと考えました。私たちは、被災地のブルーシートはすべて「復興の種」なんだと考え、このバッグを「ブルーシード(青い種=復興の種)バッグ」と名付けました。

これが製品に込められた想いなのですが、ブルーシートに着眼したところ、ブルーシードというネーミング、本当に素晴らしい部分ばかりです。しかし、個人的に最も激アツだったところは「災害ゴミのリサイクル」によって作られるプロダクトだという点。

きっと現地は、悲しみや苦しみなど様々な負の感情に包まれ、自分たちの明日の暮らしを考える事さえ困難だったはずなのに、それでも、災害ゴミのリサイクルという形で、環境や社会へ配慮しようとしている「超利他姿勢」はなかなか真似できるものではないなと思ったんです。

しかも、このプロジェクトの説明では「リサイクル」と書いてあるのですが、正確には「アップサイクル」だと思うんです。アップサイクルというのは、モノづくりの方法論の一つで、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを言います。

「持続可能なモノづくりである」という点が評価を受け、最近見かける事も増えてきたのですが、ブルーシートからブルーシードバッグへというのは、明らかに、元あった製品よりも高い価値のモノへと変わっています。「雨風を守るモノ」から「社会を守るモノ」へと変化を遂げたのです。

個人的な仮説なのですが、この先の社会においては「アップサイクル思考」は超重要です。この思考が新しく価値の高い事業を生み出すし、元気が無い地域に元気を取り戻していくはず。どういう思考かは今はまだ仮説検証の繰り返しですけどAIやロボティクスになればなるほどその価値は高まるかと。

「ブルーシードバッグ」はグッドデザイン特別賞をとるだけあって本当に素晴らしいプロジェクトだと思います。知らなかった方には、この素晴らしさを他の誰かに伝えて欲しいと思うし、知っていた方はその価値を再認識していただけたら嬉しいなと。

最後に

「社会」を反対から読むと「会社」。

この事実、当たり前の事なんだが意外と気づいていない人も多いです。

言いたいのは、社会と会社は元々、切っても切り離せない関係にあるということ。だから、SDGsもESG投資も今のような流れが起きて当然です。個人的には火が付くのが遅すぎるとも思う。

この先は、ブルーシードのように「社会にとって良い種」を撒く事業が加速度的に増えれば良いと思うし、そうした事業を私は全力で支援していきたいし、作っていきたいと思っています。

この記事が誰かの何かのお役に立ったら幸いです。それでは今日はこの辺で。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

最後までお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、新しい視点を獲得するための学び(書籍購入やnote購入)のために使わせていただきます!

起き抜けには「白湯(さゆ)」がオススメですよ!
26
1986年生まれ。元マーケター。現在は、中小企業のコミュニケーションのクオリティや導線をデザインする「コミュニケーション・ディレクター」が主戦場。webメディア『Point of View』の執筆者/管理人。白湯を愛するサユラー。

こちらでもピックアップされています

編集部にオススメしてもらった記事
編集部にオススメしてもらった記事
  • 12本

note編集部にオススメしてもらった記事のまとめです。

コメント (2)
大学時代にブルーシードバックと大学でコラボをしたことがあります。企業との接点ということでそうしたコラボももっとあるといいかなと思いました!http://volunteer-aoyamagakuin.jp/news/collaboration_bag/
そうでしたか!それはとても素晴らしいですね!その通りで企業コラボあって良いと思います。名入れができるのでノベルティとまではいかないですが、何かイベントに出展する際には個数限定で販売するなどすぐに企業が取り組める社会貢献活動ですよね。共有ありがとうございます!!!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。