周囲の理解や応援

「地域課題」に惑わされない──周囲の理解や応援がなくても、場をつくれる?

唐突ですが、あなたが場をつくるとして、その場は、周囲の人々の応援を得られると思いますか?

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「地域の課題解決」という行政用語

行政の人と仕事をしていると、「地域の課題解決」という文脈で、様々な活動がとらえられていることが分かります。「必要としている人がいるから、その活動がある」ということですが、この考えの筋道に、疑問を感じることもあります。

「地域の課題」なんて、簡単にみつかりませんし、みつかっても、なかなか解決しません。
(大抵は長年の課題で、長年解決していないのですから。)

それに、もしかすると、その課題が解決すると困る人がいるかもしれません。

そもそも、多数派=地域のメインストリーム(町内会とか商店街とか)にいる人たちが設定する課題が、本当に「地域課題」だと言えるのでしょうか?

これはなかなか難しい問題です。

よく言われる「地域課題」というのは、既に広く認知された「顕在化された地域課題」のことです。一方で、まだあまり知られていない、目に見えない「潜在的な地域課題」があります。そしてそれは、多くの場合、だれかの心のなかに悩みや拭いきれない疑問、異質感を持ったひっかかりとして存在しています。
そうした思いを反映した「場」をつくると、場を通して社会とつながれます。どんな大きな社会活動も、始めは一人の思いから始まっています。

まずあなたの内側から湧き出るニーズに注目する

場をつくりたいという思いは、その場がないからこそ、あなたの内側に湧きおこったの感覚です。

これだけ多くの人がいて、かつ、その場がない。

同じように考えて、行動した人がいないわけですから、その時点ではあなたのアイデアはウケがよくない可能性が高い。

場づくりをする人は、親や家族や恋人や友人や、職場の同僚たちから支持されなくても、まったく気にしなくてOKです。
まだ世の中に認知されていない課題をみつけて、そのために活動をはじめるときには、周囲の応援がなくても、全然問題ありません。

周囲の理解を得ようとか、自分の正しさを証明しようとか、そんなことをしなくてもいいのです。場づくりをはじめるときに大切なことは、

「自分は本当は、なにをしたいと思っているのか?」

ということに、正直に向き合うことです。

あなたの「本当に思ったこと」を語ることから

独善に陥らないため、他人からの意見は尊いですが、まず尊重すべきは、自分自身の内側からてくる声。
その上で周囲の理解について取り組むなら、情にうったえたり説得にまわるのではなく、客観性を身につけるため、広告や宣伝を学んでください。

そして、人と対するときには、相手の話をよく聞いた上で、おもねらず、相手に伝わる言葉を選びながら、いつも「本当に思ったこと」を話します。

あなたの言葉が借り物の言葉なら、相手は疑わしく思うでしょうし、実際、疑わしいです。あなたの言葉があなた自身の本当の言葉で、相手に伝える意図をもって放たれたならば、その先の展開は、もうあなたの手を離れました。

きちんと話した自分を褒めて、あとは流れに委ねましょう。

「陸の孤島」で始まった活動

僕がれんげ舎で活動をはじめたころ、活動は、「陸の孤島」でした。
立ち上げのメンバーさえ、パラパラと抜けていき(活動を「開始した」ことで満足する人が、少なからずいるものです)、周囲の理解はまったく得られませんでした。

子どもたちのために居場所スペースをつくっていると話すと、

「なにか問題を抱えた子どもたちなんですか?」

と、よく聞き返されました。

「いえ、そういう意味では普通の子どもたちです」

と応えると、怪訝な顔をされたものです。
あれから15年。いま同じ説明をすると、

「すばらしい活動をされていますね!」

と、評価は正反対。

でも、「場」は変わっていないんです。ずっと同じことをしています。
世の中の方が変わったんです。その間、ずっとずっと、われわれは「場」と「自分」を守ってきました。大勢の子どもたちと、「場」を共にしてきました。

他人の目で場を評価しない

達成したところから見降ろして、「あなたもがんばって!」と言っているのではありません。また少し時が経てば、どんな評価を受けるか分からない、ということです。

だから、他人の目で見ないでください。
他人の考えで、評価しないでください。

自分は、どう感じ、どう考えるのか。

いつも、まず自分のことを大切にできる人が、人々が安心する場をつくり出すことができる。─僕はそう考えています。僕はそう考えています。

\あなたへのQuestion/
あなたには、人には理解されないかもしれないけど、
それでもやってみたいと思えることがありますか?

長田英史(おさだてるちか)|プロフィールNPO法人れんげ舎代表理事。「場づくりクラス」講師。まちだNPO法人連合会会長。1972年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。和光大学経済学部経営学科卒業後、同大学人文学専攻科教育学専攻中退。教育学や心理学、運動論、身体論などを学ぶ。1990年、在学中にかかわった「子どもの居場所・あそび場づくり」の市民活動に学生ボランティアとして参加し、卒業後は就職せず、それを仕事にする。いわゆる中間支援組織ではなく、自らも現場で活動する「プレイヤー」として、「場づくり」の哲学とノウハウを共有し続けている。☆メルマガ「場づくりのチカラ」を無料配信中。 http://bazukuri.jp/



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