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「陽性なら何でもコロナ死に数えて水増し」は誤り

[2023/10/6更新]
「陽性なら何でもコロナ死に数えて水増し」は誤り。正確な死亡者数は数ヶ月後の人口動態統計で公表されるが、取り急ぎ感染状況の迅速把握の為に、陽性者の死亡を集計して速報しているだけのもの。この速報値は人口動態統計より少ないので、水増しどころか見落しがあるということ。

【解説】
 厚労省の通達に「厳密な死因を問わない」とあることから、「厚労省が死者数の水増しを指示している」「陽性なら何でもコロナ死」「交通事故で死んでもコロナ死」という勘違いしたデマが広まったもの。
 新型コロナに関して国が公表する死亡者数には以下の2つがある。

(1)速報(感染症予防法)
・入院中や療養中に亡くなった陽性者を集計
・厚労省が速報(即日発表)
(2)人口動態統計(統計法)
・医師の死亡診断書に基づき原死因別に集計
・厚労省が人口動態統計で月次を公表(数ヶ月後)
https://note.com/osamu_iga/n/n5f5784e55c44

 通常、死因別の死者数は(2)で公表されるが、今回のようなパンデミック時には、それでは日々の感染状況をタイムリーに把握できないので、感染症予防法に基づき(1)を速報している。
 この(1)は、厚労省通達に「陽性者であって入院中や療養中に亡くなった方」とあるように、「コロナが原因の死亡」ではない。「陽性者の死亡」である。感染状況を迅速に把握する為に集計された概算値である。
 この(1)には、他の死因が含まれるプラスの誤差があるが、正式な公表値である(2)と比較すると、どの年度も(1)<(2)となっている。つまり、(1)には誤差を上回る見落としがあるということ。
 これは、回復して陰性になった後に後遺症を悪化させて死亡したり、医療崩壊で新型コロナと診断されないまま死亡したケース等がカウントされていない為だと推測される。

◾️厚労省: 死亡連絡の通知文
https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf

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人口動態調査(統計法)と速報(感染症予防法)の集計はそれぞれ別のルート

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【2020年】累計

◾️人口動態統計 3,466
(速報値3,459を+7上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2020/dl/all0212.pdf

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◾️速報値 3,459

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◾️速報値と人口動態統計の比較
人口動態統計の死亡者数は速報数の1.2倍以上

【2021年】累計

◾️人口動態統計 16,756
     (速報値14,926を+1,830上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2021/dl/all0312.pdf

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◾️速報値 18,385-3,459=14,926

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【2022年】累計

◾️人口動態統計 47,635
     (速報値38,882を+8,753上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2022/dl/all0412.pdf

◾️速報値 57,267-18,385=38,882

【2023年】〜4月
5/9以降の速報値が無く比較できないため集計を終了

◾️人口動態統計 20,103
     (速報値17,275を+2,828上回る)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2023/dl/all0503.pdf

◾️速報値 74,542-57,267=17,275

以下の記事でも詳しく説明されている。

◾️大津秀一氏
「厚労省が新型コロナの死亡者数を水増しする通達を出している」は正しくない情報 医師が解説
https://news.yahoo.co.jp/byline/otsushuichi/20210528-00239905