Zombie City Defense 2 @ 2020-05-05

【良】セールで200円以下で購入したのだが、200円以下であれば間違いなく良作であり、リアルタイムストラテジーが好きな人であれば誰でもおすすめできる。無理なく楽しく10時間~20時間の暇つぶしを200円で得られるだろう。バランスもゲーム内容も非常に良くできている。ただし1000円と言われると少し疑問符がつく。それから言っておくが、本作は絶対に間違えても「タワーディフェンスゲーム」ではない。

長所
・リアルタイムストラテジーゲームとしてシンプルだが必要な要素がすべて含まれており、非常に楽しい。資源回収、索敵、探索、防衛ラインの設置、敵の生産拠点への攻撃、Micro操作。射線の概念もあるので単に高い建物にスナイパーを入れて放置すればOKとならないのも良くできている。射線に入っていない箇所から敵が接近してくる可能性もあるからだ。
・アンロック要素も存在し、先に進める楽しみもある。
・敵の種類も味方の種類も適切で、多すぎず少なすぎず、きちんと使い所と個性が考えられている。AT歩兵が強すぎるか?などと思っていたが敵にもカウンターユニットがきちんと用意されており、一筋縄ではいかない。
・ロードアウトシステムが良くできていて、合計15ポイントのロードアウトを選択して戦場に持ち込む仕組みなのだが、当然スナイパーや榴弾砲や砲撃支援といった強力なユニットはコストが高く設定されているためここで頭をひねることになる。何を持ち込むか考えるのも楽しい。

短所
・ややキャンペーンミッション数が少なめ。最高難易度ですべてクリアしてしまうと目標もなくなる。リプレイ性についてもリプレイするほどではない。まぁ買い切りで200円なら文句はない。
・グラフィックは好き嫌いが分かれるだろう。私はこういう演出は好きなので非常に良いと思っている。
・最高難易度は本当に最高難易度なのだが、キャンペーンミッションを進めるには最高難易度でクリアしなければならない箇所がいくつかある(通常難易度だと☆2しかもらえず、☆を集めないと後半のミッションがアンロックされないため)。難易度が高いマップだとそれなりにMicro操作を要求される。
・一番の問題点なのがユニットを生産するために必要とされる人的資源が有限である点である。マップ上を探索して集められる分がなくなるとそれ以上増えず、またユニットを解散させても敵に殺されても人的資源は返ってこないため、一度作ったユニットが殺されるのが凄まじくネガティブな影響を及ぼす。特に最高難易度だと1ユニットでも死ぬと終わるみたいな場合が非常に多く発生する。その代わりに薬品を消費することで瞬時にHPを満タンにするチート臭い能力がすべてのユニットに備わっているのだが、逆に言えばそのHP満タンボタンをプレイヤーが適切に押して死を防がなければならず、そのため非常にMicro操作が厳しいゲームになっている。
・更に言うと本作はマップの形状的に本陣+出先の資源回収場所という布陣を取らされる事が多いのだが、その際に敵が本陣だけに来るのではなく資源回収地点にも攻め込んでくる。すなわち両方を守らなくてはならない。前線を築けるほどこちらは人的資源に余裕がなく線と面で防御することができなくなり、常に2箇所以上を見て防御しなければならない。それにも関わらず敵はこちらをアウトレンジする砲撃型ややたら硬いタンク型、足が速くて攻撃力の高い火炎放射型を大量に出してくるわけで、きちんと監視してMicroしてHPを回復させ続けなければユニットが死んで1ユニットでも死ぬと終わる、みたいなゲームになる。リアルタイムストラテジーとして歯ごたえがあるといえばそのとおりだが、私には面倒でストレスに感じられた。せめて自動で薬品を使ってHP回復してほしい。

もう先日のセールが終わってしまったので今買うのはおすすめしないが(残念!)、定期的に安くなるし積みゲーを積んでおくのも悪くないだろう。なにせ今後、どれだけ暇な時間を潰す必要が出てくるか誰にもわからないからな。たったの200円で仮想世界で時間を忘れてゾンビと殺し合いができるなんて良い世の中である。リアルタイムストラテジーが好きな人であれば間違いなく楽しめると思う。タワーディフェンスではないが。


以下蛇足

いい加減はっきりさせていただきたい。タワーディフェンスとリアルタイムストラテジーは別のゲームである。

思えば、タワーディフェンスというゲームのジャンルほど、乱用され濫用され混同され勘違いされ、しかもそれらの間違いの結果がプレイヤーに対して悪影響を及ぼしているゲームジャンルは存在しない。断言していい。100%だ。例えばにゃんこ大戦争みたいなゲームを指してタワーディフェンスとか言い張るような話だ。もし私が金正恩として生を受けていたのであれば、にゃんこ大戦争をタワーディフェンスであると主張した人類を発見し次第そいつを捕らえて両手両足の爪をはぎ、指を関節ごとに切り落とし、耳と鼻をそいで目を抉り取ってからつま先から順に1センチ間隔でギロチンで切り落としていく刑罰に処して殺すだろう。それぐらい憎い。あれはラインディフェンス/レーンディフェンス/レーンプッシュという別のジャンルだ覚えておけ。そもそもどこがタワーだ、見りゃ分かるだろカス共が。昨今、自分の本陣が攻め落とされたら負けで一定時間耐えれば何でもタワーディフェンスなんだろと言いはるボケが地球上に増えすぎているのだが、断じて違うと私は申し上げさせていただく。

似たような境遇のゲームジャンルにローグライク、ローグライトと言う言葉がある。これらも非常に乱用され濫用され混同され勘違いされるゲームジャンルだ。純粋ローグを信奉する人からしてみれば私の戯言に対して何を間違ったことを、我々ローグライクの濫用に苦しむ者こそが一番の被害者だと口角に泡たてて反論してくるだろう。だが私は純粋ローグに対する愛なんて知ったこっちゃないのでガン無視させていただく・・・と言いたいのだが、実は我々タワーディフェンスの定義に苦しむ者たちも彼らローグライクの定義に苦しむ者たちもある意味同じ船の乗組員なのである。

何故か。それはこれらのジャンルが基本的に「本家」からドロップアウトした者たちによって作られたジャンルだからだ。

ローグライクの本家は言うまでもないが純粋ローグだ。そしてタワーディフェンスの本家はリアルタイムストラテジー、もっと言うならスタークラフトである。私が知っている歴史の限りであれば、タワーディフェンスはスタークラフトのカスタムマップとして生まれた。その後Flashゲームとして爆発的に広まったが、元祖はスタクラ、ひょっとしたらより爆発的に広まったのはWarcraft3かもしれない(スタクラのバンカーディフェンスはとにかく出来が微妙だったのだが、WC3でタワーにバリエーションが生まれて面白くなった)。

さてオッサンの歴史講義はどうでもいい、このくだらない歴史の話と呉越同舟に何の関係があるんだという本題に戻るが、そもそもスタクラでもWC3でも、カスタムマップなどというのは本来ノーマルのラダーゲームでのマルチプレイをマトモにプレイできないドロップアウトの無能がプレイするゲームモードだとみなされていたのだ。それもある意味仕方のないことで、RTSのマルチプレイヤーはとにかく信じられないぐらい高いプレイヤースキルを「常識」として要求する。スタクラもWC3も序盤12分ぐらいまでのビルドオーダー数種類を全種族分完全に暗記し、相手の陣地を見て相手のビルドオーダーを瞬時に判断しながら細かくハラスを行いつつ自陣のビルドオーダーの組み立てを行うという3つの処理を同時並列で行えなければ参加すらできないような状況であった、しかも当時はマトモなランキングラダーシステムなんて無いから初心者と上級者が混在する部屋も初心者狩りの部屋も無数に存在した(AoEをIRCチャットの部屋でプレイしていたオッサンなら誰でも知っているだろう、初心者狩りという言葉の意味を。何回「初心者部屋」「真の初心者部屋」「本当に本当の初心者部屋」が生まれたことか、アホくさいったらありゃしない)。失礼、また話がそれた、ともかく当時のリアルタイムストラテジーのマルチプレイヤーはヘタクソには全く居場所のない世界であった。そして私は言うまでもないがド下手くそであった。そして何より、上手いプレイヤーでも、こんな神経をすり減らすリアルタイムストラテジーのガチのマルチプレイヤーの試合を何回も何時間も続けるのは極めて難しかった。何らかの息抜きとして頭すっからかんにしてバカでもプレイできて楽しい何かを求めていたのだ。それがカスタムマップで、それがタワーディフェンス(と、基本的に1ユニットしか動かさなくていいMOBA)だったのだ。

ローグの事情は大して詳しくないが、実際純粋のローグが私から見てとてもじゃないがプレイできないような厳しいゲームだというのは知っている。ローグライトもローグの要素だけをかいつまんで、ローグほどのガチガチハードコアじゃなくてもっと気軽に集会できるようにと生まれた、いわばドロップアウトのためのゲームであると理解している。

そう、本質的にドロップアウトのためのゲームなのだ、タワーディフェンスは。だから、私はリアルタイムストラテジーをタワーディフェンスとか言い張る連中が皆嫌いで嫌いでたまらないのだ。

お前らはその忙しいゲームが好きかもしれないし、忙しくガチャガチャやるゲームを今楽しみたい気持ちなのかもしれないが、私は。今。脳みそを。空っぽにして。ただ反撃もしないで撃たれに来てくれる脳みそゾンビな現実世界では絶対にありえないただのマトに向けて。頭を使ったふりをしながら。タワーを。建てて。矢弾を。雨水雪雹のごとく。降り注いで。皆殺しにして。ニコニコしたい。ただそれだけなのだ。全く得られるカタルシス回路が違うというのを理解しろスカポンタン共が。

何が面白くて反撃してくる敵に向かって知恵を使って相手を出し抜き相手のカウンターユニットを適切に当て、敵の近接をKiteしつつ遠距離に騎兵を当てるみたいなMicroをせわしなく行いつつ裏で生産を行うみたいな真似をしなくてはならないのか。そういう脳みそ使ったプレイを求めるゲームは元気なときに楽しくチャレンジングに遊ぶものである。いくらゲームにポーズがあったとしても本質的にはリアルタイムストラテジーというのはそういうゲームだ。ポーズができたとしても考えなければならないし、ユニットを動かさなくてはならない。タワーディフェンスはそうではない。脳死しながら待っているだけでアホどもが私の作った最強の防御要塞にノコノコやってきて片っ端から死んでいく。言うなれば先日私が語った蟻ん子ゲームみたいなものなのだ。得られるカタルシスも使う労力も何もかもが違う。

さて私の意見はここまでだ。翻ってZombie City Defense 2を見てみよう。これはタワーディフェンスだろうか、リアルタイムストラテジーだろうか。自明だ。リアルタイムストラテジーである。監視塔に入れたマークスマンが敵の砲撃ユニットにアウトレンジされてしまうのでこちらのカウンター砲撃バッテリーをMicro操作して反撃するとか言う要素が存在する地点でもうリアルタイムストラテジーであるし、そもそも初期地点では資源がないので相手の占拠している資源工場を攻め落とさなければならないという地点でタワーでもなければディフェンスでもない。お前はディフェンスとかいいながらイラクに平然と先制攻撃でミサイル落とすどっかの国家か?それとも私が知らない間にオックスフォード英語辞典のDefenseという単語に「自分以外の敵を全員殴って殺すこと」みたいな意味が追加されたのか?

せっかくの機会なので、私がどのぐらいのゲームまではタワーディフェンスであると感じられるかという線引をして本日のクソ長い電子廃棄物文章を締めさせていただこう。いくつか私の手元のゲームから例を挙げてみようと思う。

Atom Zombie Smasher - タワーディフェンスではないが、タワーディフェンスの要素が極めて強いゲームである。タワーディフェンスと言っても間違いではないと思う。ゾンビを道に沿って誘導させるし、ゾンビが我々の攻撃部隊に対して反撃してくることも基本的にはない。逃げ惑う市民とゾンビがいて、それに対してビルの上から撃ちまくるというのは非常にタワーディフェンス的である。

Dungeon Defendersシリーズ、Orcs Must Die!シリーズ - 一般的にはタワーディフェンスと呼ばれているのだが、この2つ、実は私の中でタワーディフェンスなのだろうかという疑問符がついている。実際、タワーディフェンスとして私も楽しんでいるつもりなのだが、特にDungeon Defendersシリーズはタワーより本人が殴るほうが効率よく敵を止められてしまい、タワーは本当に補助的な役割でしか無いし、そもそも装備を揃えて物理で殴るゲームであるとも言える。このへんのゲームをタワーディフェンスゲームであるか否かと議論するのは議論の余地があるし、楽しい。明らかにリアルタイムストラテジーゲームでもないだろうし。

Creeper Worldシリーズ、Particle Fleet: Emergence - 絶対にタワーディフェンスだ。これは本当に素晴らしいゲームで、なぜなら本作のゴールはタワーでもなければ、ディフェンスでもないのだ。しかも自分の砲台や戦艦は移動もできるし、最終目標として前進して相手の拠点を破壊しなければならないし、相手に殴られるとこちらは死ぬのである。どう見てもタワーディフェンスではなくてリアルタイムストラテジーの要素しか存在せず、私は本作をリアルタイムストラテジーと分類しなければならないはずなのだが、にもかかわらず、プレイすると明らかにタワーディフェンスなのだ。本作品の作者は「タワーディフェンスとは何であるか」を他の全地球人類よりも正しく認識できるタワーディフェンス制作者の神であるに違いない。なぜタワーディフェンスゲームに感じられるか、それはおそらくだが「均衡状態が生まれる」からだと思っている。相手は攻撃してくるが攻撃パターンが一定の圧力で、適切に防御を配置するとそれ以上絶対にこちらに攻め込んでこれなくなるのである。そこからこちらのタワーや戦艦を前進して、少しずつ前に前線を押し出していく、というゲームバランスのおかげで、要素はリアルタイムストラテジーであるにも関わらずゆっくりゆっくり防御を前に広げていくタワーディフェンスのようなプレイ感覚が得られているのだ。

Protolife - 私の中でギリッギリタワーディフェンスとストラテジーの中間にいる。この手の「自分が殴られるタワーディフェンス」が非常に多いのだが(無理もない、クラシックなタワーディフェンスゲームは自分のタワーが基本的に絶対的に安全であるためゲームとしてスリリングなバランスにするのが困難なのである)、本作はその中でも突出してタワーディフェンスらしくない。資源のために前進しないとならないし。実際プレイはしたがタワーディフェンスとしてではなくストラテジーゲームとして楽しませていただいた。本作をタワーディフェンスとして楽しみたいかと言われると絶対にノーである。

They Are Billions - どこをどう見てもリアルタイムストラテジーである。こういう「最終目的が敵を殺すことではなくて自分の本陣を一定時間守るというルールのリアルタイムストラテジーゲーム」をタワーディフェンスとか言い出す連中が多い地点で世の中が乱れている。確かに周囲を壁で囲いきって、内政が終わって、ユニットを配置に付け終わればある程度タワーディフェンスかもしれないが、そんなもんAoE2の象徴防衛ルールと何が違うのだ。象徴防衛ルールをタワーディフェンスゲームと呼ぶアホはいるか?居ないな?議論終了だ。

X-Morph: Defense - 言うまでもないがタワーディフェンスである。自機が攻撃されるという要素はあるが、タワーは攻撃されない。むしろ正しくタワーディフェンスを保ったまま、タワーディフェンスの問題点であるプレイヤーが安全すぎるという点に一石を投げ入れて絶妙なゲームに仕立て上げている。