Into the Breach @ 2020-04-23

【優】何これ、超面白いんだが。なんで私は今日までプレイしないで放置してたのか全く理解に苦しむ。あ、ちなみに最近公式日本語化されて、さらに難易度が下がったらしいぞ。

長所
・神がかっているとしか思えないゲームデザインとゲームバランス。本作はランダム要素が極めて少ないゲームであり、完全にランダムな要素はせいぜい街に被弾した時にGridが減るとか減らないとか程度しかない。あとは敵がどこに動いて何をしてくるかと、敵がどこに湧いてくるかもたしかにランダムなのだが、全て予告が表示される上に慣れてくると敵の行動がある程度単純で誘導もしやすいということがわかってくる。つまり、麻雀より将棋とか囲碁とかチェスとかに近い。私はそういうゲームが心の底から苦手だし嫌いなのだが、本作はそれでも夢中になって遊び続けることができるぐらいよくできているバランスだ。大味な箇所がまったくなく、大味にプレイしてもなんとかなる箇所も極めて少ない。一手一手の重さがある。
・EASYが本当にEASYで遊びやすい。具体的には敵が1ターンに3体までしか湧いてこないため手数で負けることがなく、ある程度適当にプレイしても勝つことができる。しかもEASYでもほとんどすべてのアチーブメントをアンロックできるためEASYだけでもほぼすべての要素が楽しめる。こういうゲームが苦手な人や、単にちょっと頭を使った気分に浸りたいだけでお手軽にらくらく勝利して気持ちよくなりたい人でも遊べるため見た目より遥かに裾野が広い。FTLはEASYでも平然と詰むことがあったのでその点では大いに進歩している。

短所
・FTLよりリプレイ性やカスタマイズ性には劣る。というのもダメージで相手を破壊するゲームなのではなくて「如何に3機のシナジーで5ターンを凌ぐか」を試されるゲームであるのと、各Squadの編成が初期Squad以外すべてのSquadが最初っから適切なシナジーを考えられて与えられているので下手にカスタマイズすると逆に弱くなってしまうからだ。良く出来すぎているゲームデザインとゲームバランスであるがゆえの弱点であると言えよう。
・ランダム要素が少ないと書いたが、正直HARDはランダム要素に頼るか特定のクソ強いSquadを使うか貴方自身がタイムトラベラーで本世界線の未来が見えていなければクリアできる気がしない。NORMALまでなら素晴らしい。

私のレビューなんか見てないで以下の素晴らしい記事や無数に上がっているSteamのレビューでも見たほうがよいだろう。というか、本作はあまりにも有名だしリリースされてから時間も経っているしもっと言うならEpicが無料でばらまいていたので、別に今更私がわざわざレビューする必要もないのだが・・・そう、この記事は単なる私の時間稼ぎである。例えるなら敵をノックバックしてスモークにねじ込む感じだな。これで1ターン・・・いや1日稼いだぞ。今の間にモンハンでもしよう。


以下蛇足

私はゲーム開発者を2つに分けることができると信じている。

すなわち、面白いゲームを作れるセンスがある人間と、ない人間だ。

そして、残念だが、後者が前者になることは決してないと信じている。いかなる努力をしても、だ。理由は簡単でゲームが芸術などに近いものだと思っているからだ。芸術というと感性が全てに思われるかもしれないが、実は裏にものすごい理論や技術の学習が必要とされる点も一致すると思っているし、その上で最後はやはり感性が大事になる点も一致すると思っている。

FTLを作ったSubset Games。彼らは言うまでもないが、前者だ。

更に難しいのが、仮に前者、ゲームを作るセンスがある方の人間だからと言っても、2回目の成功を収められる者は極めて難しい。まして全く異なるジャンルのゲームを作らせてそちらも成功するということは奇跡に近い。大体において、一般のセンスある成功者は一度成功した得意な路線を繰り返して似たような作品を作り続けてしまう。実際これは芸術の世界でも同じだと言える。

なので、このInto the BreachでもFTLと同じように革新的に面白いものが飛び出してくるとは正直あまり私も期待していなかったのだ。まぁ、見ての通り私の冷めた予測は綺麗に大ハズレしたわけだが。

彼らの次の作品が今から待ち遠しい。すでに2年近く経過しているんだから、来年ぐらいには出てきてくれないかと願っているのだが。