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超初心者向け「投資信託」解説③ ~分配金のカラクリ編~

こんにちは。オロゴンです。

前回までの解説で、投資信託には「値上がり益」「分配金」という2つの利益の取り方があることを説明した。今日はそのうちの「分配金」に隠されているカラクリについて解説していきたいと思う。


投資信託の「分配金」には2種類あることを必ず覚えておこう。


1つは運用で得た利益を分配するという王道パターン。

おじさんがあなたから預かった100万円を運用して、120万円にすることに成功した。そこでその20万円の利益をお金の出し手であるあなたたちに還元する…

この分配金のことを「普通分配金」という。

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…うん。名前のとおり、普通だね。

逆にこれ以外何があるっていうんだ?ってくらい当たり前の分配方法。

利益分をそっくりそのまま分配しただけなので100万円の元本が残る



じゃあ、もう一つの分配金とは何か…?

実は、投資信託おじさんたちの間のルールでは、必ずしも

分配金 = 運用して生まれた利益 というわけではない。

どういうことか?

定期的に分配金を出すことを売りに、契約を獲得しているおじさんがいたとする。

「僕に預けてもらえると、毎月100円ずつ分配金を払いますよー。毎月おこづかいが入ってきますよー。ちなみに、今までこの分配金、自慢じゃないけどストップしたことないですよー」

こんな感じ。

だが、その後の運用がなかなかうまく行かず、むしろ預かった100万円を90万円に減らしてしまうおじさん。本来なら分配できる利益はない。むしろマイナスだ。

しかし、分配金を出さなければ最初と話が違う。評判が下がり、おじさんとの契約を打ち切るお客さんが殺到するかもしれない…。

そこで困ったおじさんは、その90万円の元本に手をつけ、何食わぬ顔で分配金20万円を配ることにした…。残り元本は更に減り、70万に

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少し誇張して書いたため、このおじさん、もの凄い悪者みたいに思えるかもしれないが、この話、実は投資信託の世界ではかなりよくあること。

このように、投資信託の元本を取り崩して払われる分配金「特別分配金」という。最近では、その分かりづらさから、本来の意味合いを意識した「元本払戻金」と記載されることが多くなってきた。

毎月分配型の投資信託を購入して、毎月チャリンチャリンとお小遣いをもらえていると思っていても、実は、あなたが預けた元本の一部が毎月自動的に引き出されているだけ、という場合もありえるのだ!


この特別分配金が払われる状況を、タコが自らの身体の一部を食べて生き延びる様子になぞらえて、「タコ足分配」とか「タコ足投信」とも言ったりする。

ちなみに、毎月分配型のタコ足投信は分かり易い例であって、年1回分配の銘柄でも元金の取り崩しは普通に起こり得るので注意だ。

今まで…

分配金の金額が多いほど、お得で儲かる銘柄だと思っていた方
特別分配金のことを文字通り、スペシャルボーナスと思ってた方

は、これを機会に認識を改めてもらいたい。

しかも、現実はややこしいことに、普通分配金と特別分配金が混在しているケースがほとんど。これがなかなか真実を見えづらくしている。

下の図のケースでは10万円の利益も出ているのだが、それ以上に分配金を出してしまったために、元本は90万円に減少してしまっている…。

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下図の3パターンは決算時にどれも20万円の分配金を出しているケースだが、分配後の元本の金額を見れば、その状況はおそろしく違うことが分かるだろう。分配金の金額だけでは良い投信か悪い投信かの判断はできないのである。

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付き合っている投資信託おじさんの分配金の原資が「運用益」か「元本」か… 

果たして、あなたは把握しているだろうか?

…これが投資信託の分配金に隠されたカラクリ、罠の正体である。


ちなみに、この「分配金」。証券会社のWEBサイトには「分配金」としか表示されておらず、その内訳が書かれていることは少ない。

↓ ある証券会社のWEBサイトの記載

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したがって、我々は

その銘柄が健全な分配を行っているか?


すなわち

タコ足投信か否か

自分自身の目と頭で、判断する必要があるのだ。

では、それはどのようにすれば見分けることができるのか。

次回は、そのタコ足投信の見分け方について、実際の事例やデータを挙げながら解説していきたいと思う。

これまでの自分の経験を生かして、お金や社会のルールについてわかりやすく説明することが得意です。不動産とライフハックについても少し。サポートは特段不要ですので、twitterフォローしていただけますと嬉しいです。https://twitter.com/orogongon