TRICKの良さ

  映画『ミッドサマー』が公開され、山田と上田のいないTRICKだという説がでまわり、なぜかTRICKがトレンド入りしている今日のツイッター、嫌いではない。

 TRICKは貧乏マジシャンの山田と日本科技大の教授(物理)の上田が毎度心霊騒ぎやインチキ宗教などがはびこる場所に行っては謎とインチキと殺人のトリックを明らかにするたまに後味の悪いコメディである。

 私が好きなのは、彼らが推理するうえで自分の専門がはっきり分かれて描かれていることだ。山田は奇術を使ったインチキ霊能現象を看破し、上田はサイフォンの原理など、あまり学校の勉強をしてきてなさそうな山田の知恵が回らない部分で能力を発揮する。片方だけで解決できる謎解きはない。ワトソンはいない、二人で一人の探偵なのだ。

 TRICKの社会の権力勾配を描くところも好きだ。黒門島は進んだ暮らしをしている者たちによって温暖化で沈むと言われ、劇場版ラストステージでは、南の国スンガイ共和国の小さな集落での日本からの開発業者による蹂躙が描かれる。これもTRICKのコメディに並ぶ重要な根幹である。

また、第一話で物語の様式がすべて完成されているという様式美も素晴らしい。上田が鴨居に頭をぶつける、矢部のカツラネタ、山田~家賃払え~など、定番のギャグを毎度時々マイナーチェンジしながら、このシリーズは様式美のマンネリを楽しむものなのだ。


関係ないけど最近やたら質より量!という感じで記事を出している。ひと月ほど更新できない用事ができてしまったのでその埋め合わせである。

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