ORM
Focus Vol. 10
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Focus Vol. 10

ORM

2022年も間もなく上半期を終えるといったところで、ぼちぼちメディア各所が年間ベストの全半分を出す時期になりました。半年分の振り返りに入る前にまずは5月分のリリースをチェック。今回は「再始動」がキーワードになった月でした。洋邦共に、久しぶりに新作をリリースするアーティストの数が多く、そのどれもが圧倒的な完成度でカムバックを果たしていたのが驚きでした。中でもORM的注目作品をご紹介。

<HAYATA's Select>

Courting - Loaded
リバプール出身の4人組インディーロックバンドCourting。〈Nice Swan Recordings〉所属アーティストらしいストレートなギタロックを鳴らしていた彼らは、〈Play It Again Sum〉に移籍してからリリースした「Tennis」と今作「Loaded」でギターロックにノイズやディストーション、オートチューンのボーカルが加えられた進化を見せつけた。9月23日にリリースするデビューアルバム『Guitar Music』に期待せずにはいられない。

First Hate - What's The Matter Boy
5年ぶりの2ndアルバム『Cotton Candy』リリースしたばかりのFirst Hate。本人が東京をイメージしてサウンドデザインをしたと語る今作は全体的にポップ色が強いアルバムとなった。中でも「What’s The Matter Boy」は、First Hateの醍醐味でもあるダンサブルなビートと煌びやかなシンセサイザー、表現力豊かな楽曲展開の全部が詰まった高純度なポップソング。

Dehd - Stars
2016年の1stアルバム『Dehd』から常にサーフロック〜ガレージロックの路線を貫いてきたDehd。〈Fire Talk〉から〈Fat Possum〉に移籍したばかりの彼らがリリースした最新アルバム『Blue Skies』の魅力は何も変わっていないこと。いつも通りのキラついたサウンドにいつも通りのドラムと曲構成が成立してしまうのは、常に狭い範囲の中で突き詰め、ドライブでかけたくなる曲を生み出せるDehdだけかもしれない。


<KAJI's Select>

Alex G - Blessing
2019年のアルバム『House of Sugar』以来、実に2年半ぶりとなる新曲は衝撃だった。『Beach Music』リリース以降、オルタナティブ・ミュージックの可能性を実験的に示してきた彼が、新たに挑戦するのは過度に振り切ったインダストリアル。纏わりつくDeftones~Team Sleep周辺のNu-Metalの空気と、露骨に90sアンダーグラウンドを突き進めた先に生まれた少しストレンジで、でもどこか面白い音楽。カウンターカルチャーそのものの体現者となった彼にしか到達できない、唯一無二の境地がここに見える。

SOAK - purgatory
まだ16歳の時にその才能を見出されて一気に注目を集めるようになったBridie Monds-Watsonによるプロジェクト、SOAK。通算3枚目にして、過去最高を塗り替える傑作がドロップ。今回はこれまで以上にギターミュージックの影響に傾倒し、その面白さを追求した作品となった。Radioheadの『The Bends』にインスピレーションを受けて制作されたと本人が語るように、そのダイナミックなバンドアンサンブルには、90年代のロック音楽の魅力とそこに対するリスペクトがたっぷり詰め込まれている。

Bloomsday - Voicemail
Saddle Creek、Fire Talkと並んで今USで最もイケてる音楽を次々とリリースする、Dustin Payseur (Beach Fossils)主宰のBayonet。新たに送り出すのが新人フォークデュオBloomsday。HovvdyミーツSun JuneミーツCassandra Jenkinsと言うべきか。フォークリスナーの核心を突くような、完成された美しいサウンドプロダクションに驚く。Whitneyが登場した時の感動と衝撃に近いものを感じ、今後の動きにますます注目したくなる素晴らしいデビュー作品。


<RYODO's Select>

Crack Cloud - Please Yourself
Crack Cloudにしか作り出すことのできない世界観。それに僕たちは心踊らせる。MVの最初からまさかのMac DeMarco登場。そんな短いシーンで大丈夫かというほど豪華なキャスティングから幕を開けるこのムービーは、これぞ「コレクティブ」といったような大所帯によるミュージカルのような映像が展開され、とにかく圧倒される。途中には日本盤のCDやポスターも登場し、2020に予定されていた来日公演がなくなってしまっただけにいつかここ日本で観たいと切に思う。待望の2ndアルバムがは今年リリース。今年一注目と言っても間違い無いだろう。

PVA - Untethered
PVAがついに再始動。2年前のデビューEP「Toner」がものすごく良かっただけに多くのファンの間で新作が待たれていた彼らが最高に痺れるニューシングルをリリース。以前まで所属していたBig Dadaが今年からリニューアルしたこともありNinja Tuneからのリリースとなったこの曲は、レーベルの色がうまく足し算されたエッジの効いたダンスチューン。群雄割拠なUKシーンだが、彼らはやはり頭ひとつ抜けているなと感じる。次にシーンの中心にくるのは彼らで間違い無いだろう。

Kikagaku Moyo(幾何学模様) - Meu Mar(ぼくの海)
日本が世界に誇るバンド、Kikagaku Moyo。彼らの活動休止前最後のアルバムはその位置付けに相応しいマスターピース。まるで60〜70年代にタイムスリップしたかのような風貌とオリエンタルなサイケミュージックは世界中からの絶大な支持を誇り、日本より海外で人気と言っても過言ではないほどだ。活動初期に使っていた浅草橋のツバメスタジオで録音されたという今作はスタジオがビルの屋上にあるということもあってか、どこか開放的で聴いていて本当に気持ちが良くなる。今回セレクトした"Meu Mar"はその中でも特に気持ちいい曲。サイケでもありながらシューゲイザーのようなギターの轟音もあり、目を閉じれば幼少期の頃眺めていた海の記憶を思い出す素敵な一曲。


今月はなんと言ってもAlex G、衝撃の新路線に驚いた人も多かったのではないでしょうか。近年のエモ、ポップパンク再評価の流れを辿る中で、まさかAlex GまでもがNu-Metalの領域に足を踏み入れるとは。しかも完成度はバッチリでしたね。
同じく00sポスト・ハードコアのインフルエンスというところではLuby Sparksの新作も衝撃でした。多彩な楽曲ラインナップから幅広くジャンルを囲い、現代のスタイルにブラッシュアップした、これまた傑作となりました。
その他にも、いよいよデビューとなったThe Smileなど、素晴らしいリリースがあり、上半期ベストに入るような作品が多数あった印象でした。6月は一体どのような作品が登場するのか、楽しみに待ちたいですね。

ここで紹介した楽曲は全てマンスリープレイリスト「Fresh」で聴くことができます。ぜひチェックを。また過去の「Fresh」セレクト楽曲は「Fresh ARCHIVES」プレイリストでチェックできますので、そちらも合わせて聴いてみてください。


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