Focus Vol. 9
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Focus Vol. 9

ORM

昨年からデビューが待たれていたUKのWet Legを始め、現代ロック・シーンの英雄となったFontaines D.C.、USインディー・シーンの奇才Toro Y Moiの新作など。素晴らしい作品が多数リリースされた4月から、ORM的注目楽曲をご紹介。それでは参ります。

<RYODO's Select>

Sorry - There's So Many People That Want To Be Loved
現行UKアンダーグラウンドシーンのカリスマバンド、Sorry。今年に入ってから初となるニューシングルは、ちょっぴり切なくもクールな一曲。歌詞の中で人々は愛されたいと思っていると同時に孤独でもあるということを宇宙飛行士に喩えているのが彼ららしい表現だと感じると同時に、それがMVのコンセプトにも上手く取り入れられており相変わらずのセンスの良さを感じる。曲自体は最新の作品である2021年のEPというより初期の頃に近い印象で、「Home Demo / ns Vol.Ⅱ」に入ってそうな雰囲気。2020年以来となる2ndアルバムは果たして今年出るのか。この曲を聴きながら気長に待ちたいと思う。

Oliver Sim - Fruit
メンバー三人の中で唯一ソロデビューしていなかったThe xxのベースでありボーカルのOliver Simが、最高にクールなシングルと共についに始動。自身がクィアであることを公表している彼が幼少期の自分に向けて書いたもので、自己受容を讃える歌詞と流石The xxといったようなメランコリックな美しいメロディが素晴らしい1曲。仏映像作家Yann Gonzalezが監督を務めたMVの中にはこの曲を共に制作したJamie xxもこっそり出演しており、それも要チェックだ。

Pizza Crunch - Flatfoot
グラスゴー出身の4ピースインディーロックバンド、Pizza Crunch。バンドネームはインスタグラムの投票機能で決めたという何とも現代らしい彼らだが、この曲を聴いた最初の印象は「"Blue"期のCommunionsか?」というものだった。声はCommunionsよりは低いが、爽快な青春ギターロックサウンドはまさに彼らに通ずるものがあると感じた。今年の夏はこの曲を車でかけて海へと繰り出そう。


<HAYATA's Select>

nabeel  نبيل - samaa' baitha  سماء بيضاء
イラクのインディーソロアーティスト、nabeel – نبيل。アメリカのインディーバンドと言われても納得してしまう、退廃的な美しさをもつドリームポップ、シューゲイズの今作「samaa' baitha - سماء بيضاء」は彼にとってまだ2つ目のシングル。情報が少なくイラクの音楽シーンや彼のバックボーンなどは全く予想つかないが、その異質さにも妙な魅力を感じる。まだ生まれたばかりのイラクのSlowdiveことnabeel – نبيلに注目だ。

juno roome - just like before
ニューヨーク/ブルックリンを拠点にベットルームポップを鳴らすjuno roome。韓国にルーツを持つ彼の今作「just like before」はキャリアで初めて韓国語と英語で作られた曲で、柔らかいファルセットボーカル、全体的に霞がかった雰囲気の中に光るトランペットがノスタルジックで心地よい気分にしてくれる。早く起きた朝に聴きたくなるような繊細なムードに包まれた時間は今最も必要かもしれない。

Supershy - Happy Music
Tom Mischによる新プロジェクトSupershyが始動した。ジャジーなギタープレイにヒップホップやロックの要素が足された演奏が特徴的なTom Mischとは違いSupershyはギターを引かず、今までの制作と距離を置いた、できるだけ楽しくストレスのないプロセスでのダンスミュージックに意識が置かれている。こうして作られた開放的で80年代的なハウスミュージック、「Happy Music」は今夏のライブハウスの主役になるに違いない。


<KAJI's Select>

Trudy and the Romance - Angel
“50sミュータント・ポップ”を自称する、UKはリヴァプール出身のインディー・ロックプロジェクトTrudy and the Romance。3年ぶりの新曲。“カントリー・ポップとアメリカのスタジアム・ロックへの冒険”だという今回の作品。これまでの哀愁たっぷりのメロウなバラードを引き継ぎ、Bruce Springsteenを彷彿させるエヴァグリーンで王道な路線に振り切った一曲。今までの“Trudyらしさ”とこれからのバンドの方向性を繋ぐ、ホープフルなトラックの誕生。

Duster - Familiar Fields
昨今のポストロック再評価の流れで再び光を浴びるようになった、USスロウコア・シーンの伝説的バンド、Duster。突如リリースされた最新作『Together』からの一曲。サウンド、スタイル、ムードを活動開始当初から一貫して続ける彼ら。そのよどんだ空気と無気力な様にはどこか共感できる要素があり、近年の作り込まれた技巧的で難解な音楽を斜め上から見下ろす感じがある。ミニマルでヒプノティックな今回のアルバムは多様にジャンルを跨ぎながらもまとまりがあり、ロックにとどまらない点こそがこのバンドを“伝説的”たるものにしているのではないだろうか。

Toro y Moi - The Loop
Washed Outらと共にテン年代初頭のUSチルウェイヴ・ムーブメントを牽引したサウスカロライナのSSW、Toro y Moi。名門Dead Oceans移籍後初のフル・アルバム。『MAHAL』は70sサイケデリックに傾倒した作品だが、作中には彼がこれまでのキャリアで取り組んできたファンクやラウンジミュージックの要素も丁寧に取り込んでいる。場面ごとに色を変えながら要領良くアレンジを利かせていくところには思わず息を飲む。そして何より彼自身の“音楽を楽しむ姿勢”が聴いている我々をも幸せにしてしまう、まさに“HAPPY MUSIC”。


SorryやTrudy and the Romanceなどの良質なUKインディーから、Supershyのダンスミュージックまで幅広いリリースが続いた4月。また、イラクのnabeel  نبيلを知れたことはまさにインターネット時代の恩恵でした。

これからもUK・USのインディーシーンはもちろん、第三国からのアーティストにも迫っていきます。面白いインタビューも控えているのでぜひ楽しみにしていてください。

ここで紹介した楽曲は全てマンスリープレイリスト「Fresh」で聴くことができます。ぜひチェックを。また過去の「Fresh」セレクト楽曲は「Fresh ARCHIVES」プレイリストでチェックできますので、そちらも合わせて聴いてみてください。


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DIY media based in Tokyo. ここではライターの3人が自由に特集や記事を書いていきます。 https://linktr.ee/orm_tokyo