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“万人受けするハイカカオなビターチョコレート”

日本の製菓業界を牽引する技術と知識を生かしながら、プロのための材料をつくり続ける森永商事。彼らが2008年から手がけるクーベルチュールブランド「ショコラマニュファクチュール」は、発売開始から7年の月日が流れた2015年にひとつのターニングポイントを迎えていた。

当時森永商事のチョコレートテクニカルアドバイザーを務めていた植﨑義明氏(現「ラ・リヴィエ・ドゥ・サーブル」代表)との共同開発により、新たなラインナップを追加するプロジェクトが持ち上がったのだ。

「万人受けするハイカカオなビターチョコレートをつくってほしい、というのが植﨑代表からいただいた最初のリクエストでした」

そう話すのは、森永商事の研究開発部でリーダーを務める渡部眞一朗さん。
チームは植﨑代表のリクエストに応えるべく開発に着手。本社ラボでシェフと共に試作を重ね、理想の味わいを模索した。

フェルモ

試行錯誤を繰り返し、完成したのがカカオ分70%のダークチョコレート「フェルモ」。開発のポイントはカカオ豆のブレンドにあったという。

ラボにはパティシエやブーランジェとして勤務経験のあるメンバーを含むテクニカルスタッフ12名が在籍。開発はもちろん自社製品を使ったレシピ提案も行っている

「カカオ感の強いガーナ産の豆と、濃縮したレーズンのような酸味を持つマダガスカル産のカカオ豆を組み合わせて、そこへさらにエクアドル産のカカオ豆をブレンドすることで全体の調和を図りました。

それまでは、たとえば『コンキスタドール』のような酸味の強いチョコレートは焼くと香りが飛びやすかったり、逆に後味がしっかりしたチョコレートは生菓子だと華やかさに欠ける…みたいな一長一短がありました。ですが個性の異なるカカオ豆をうまくブレンドすることで、個々の欠点をカバーするだけでなく、味に厚みを持たせることができたんです。おかげで生菓子でも焼き菓子でも程よく主張できる万能なチョコレートがつくれたんじゃないかと思います」