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現実

「もう知らない!」そう言って走り去っていく彼女。
違う女性と一緒にいたところを彼女に見られてしまい。
その理由を尋ねられ、言いよどんだことが原因だった。

必死に後を追って踏切の前で何とか追いつく。
どくどくと脈打つ胸の鼓動をどうにか抑え彼女に伝える。
女性には君に送る婚約指輪について相談してたんだと。

驚いた顔を見せる彼女、僕はカバンから指輪の箱を取り出す。
「会った時からずっと好きだった」彼女の薬指に指輪を通した。
彼女は照れるように指輪を見た後、太陽のように笑った。

転瞬、視界が真っ暗になる、そうか戻ってきてしまったのか。
ゆっくりと体を起こしゴーグルを電源につなぎ直す。
早く彼戻らなければ、僕の心はもうこの世界にはないのだから。

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