私の楽器は?

今日は「元弱小吹奏楽部員の記憶(2)」、楽器決めについてです。曖昧な記憶を拙く書き起こします。


無事に6年生引退&サンクスコンサートも終わった、真冬も真冬、2月のど真ん中であった。インフルエンザ等で、活動休みの部員も多かったと記憶している。

みさちゃんを始め、クラスの子達と連れだって音楽室へ向かった。全員で挨拶し、早速楽器体験が始まる。皆てんでバラバラになって各パートを巡った。

私は、一番初めにトロンボーンを吹いたと思う。そのパートが男の先輩が2人で、ニコニコして怖くはなさそうだな、行きやすいなと思ったからだった。(この2人の先輩は中学の吹奏楽部でも一緒だったが、徐々になかなかしたたかな人物なのだと分かってきた。ヘラヘラしているように見えて、うまく人と人の間に取り入って丸く場を収めたり、巧みに話を聞き出したりしているように見受けられた。そんでもって、ユーモアもあるし、先生にはっきり意見するし、誰も彼らを悪く言う人はいない、みたいな)(というか、トロンボーンパートって先輩も同級生も、後輩も、全員優秀だったな。人間・人格的にも、頭の良さ・成績的にも。必ず部長か副部長を輩出していた)

私が生まれて初めて触れた管楽器は、トロンボーンだったというわけである。意外にもすんなりバズィング(でいいんだっけか?)の要領をつかんで、「音がでた」。ちょっとびっくりした。単に音がでただけであるが、これが大変嬉しいもので、なんだか恥ずかしく照れる感じもして、顔が火照っていくのが分かった。新しい楽器に挑戦するときは、いつだってこそばゆいものである。

「すごい!」と褒められて、ますます照れた。すかさず先輩が本体を持たせてくれる。うわあ、こ、これが、スライド…!!!すごい、ステージで目立ってる、かっこいいやつだ…!!!(今でもトロンボーンのスライドには感動してしまう。本当に、めちゃくちゃ軽々とスルスル動くのよね!私はいつになったら慣れるんだ)
ド緊張していたので、重さや金属の独特な匂いや冷たさはあまり感じなかった。
そうして音楽室で一等くらいに速く、「音出し」をすることに成功したのだった。

こんな具合で、2日間くらい各パートをまわった。当時は気づかなかったが、先輩達は良い印象を持ってもらいたいので私たちをやたら褒めたり、話しかけたりしてくれていたのだった。
吹奏楽あるある→先輩側は、楽器体験の時その子が音が出ると、周りの友達をわざわざ呼んできて「才能あるよ~」「○○ちゃん、すご~い」などとみんなで褒める。そんで「そんな…」とか言うと、さらに「かわい~」と褒める。

3日目、とうとうその日がやってきた。先生が「3年生はここに一列に並んでもらえる?」と告げる。順繰りに、それぞれの管楽器の本体なしで渡されて吹いてみる、パーカッションは先生が手拍子したリズムに倣ってスティックで叩いてみる、というちょっとしたテストをするためだった。

みさちゃんと私はソワソワして並んだ。先生は「音が出る出ないで決めるわけじゃないんだよ」と言う。でも、やっぱり緊張するのだ。結局私はどれも全然音が出なかったし、リズムもゴタゴタだった。先生の目の前に立ってガチガチになって、顔面は真っ赤だった。
音が出た友達には、まるで英雄の帰還のように拍手喝采をした。でも心の中では、自分は全然出来なかった。一発で音が出る子もいるのに。自分は何の楽器になるというのだろう……。と、がっかりしていた。机に座った先生が、何かを紙に記入している。何書いてるの、先生!!!と叫びたかった。

翌日、担当する楽器が発表された。

私はテナーサックスになった。正直、サックスになるとは思ってなかった。こんなかっこいい楽器でちょっと嬉しい反面、「でかい方?」という気持ちがあった。アルトサックス担当になった男の子はひょろっとした背の低い子だったので、「絶対背の高さでこっちにしただろ」とも思った。(私は背が学年一高かった。これを家族に言ったら多分そうだね…と言われたし、今でもそう思う)俗に言う「花形」とはアルトのことであるから、それはちょっとがっかりした。

しかも、アルトの方には幼稚園から幼馴染みの優しい先輩がいたのだが、テナーの方は、なんというか、体も大きいし、性格の悪そうな意地悪そうな目つきの、全然知らない女の先輩だったのだ。(ここで言うが、それは全くの偏見で、初めの頃は確かに理不尽に怒られることもあったが、それは今考えると私が悪かったから当然のことだし、だんだんと仲良くなってくると楽しくて優しい人なのだとわかった。人を外見で判断する典型的な悪い例だが、小学3年生の思考だと思って堪忍してほしい)全く幸先不安な中、なんとなくテナーサックスを吹き始めることになった。

(疲れたので後は次回に書く)

ただ、私はこの与えられた担当が本当に正しく、良かったと思う。「与えられた」にすぎない運命なのだが、なんの不満もなく、大変満足しているのだ。先生は私の素質というよりかは、単にパートの人数とかを鑑みてあてがっただけかもしれないが、こんなにしっくりくる。この時点で、その後の人生が決定しちゃったのも不思議だ。しかも私に限らず、少なくとも自分から見ればだが、他のみんなも適材適所という感じだったのも不思議である。先生は直感的にそういうのがわかるのか???

とにかく私は、テナーサックスがこれ以上無いというほど自分にぴったりな楽器だと思う。本当に、心の底から思っている。っていうのを、改めてここに残しておきましょうねー。



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