アトピーの子を見かけると自分がお節介になっちゃいそうで耐えてる

 わたし、物心ついたときにはもうアトピーでした。冬は耳たぶが裂けて黄色い汁が固まっていたし、夏は関節の内側が蒸れて湿疹ができていました。大学の講義棟の椅子、夏は蒸れるし冬は冷えてお腹壊すしでサイアクだった…。いまでもスカートははけません。蒸れるので。ソファを買うときは合皮だけはやめてくれと訴えました。蒸れるので。くつろげないソファはいりませんので。

 アトピーって、特に女でアトピーってQOLがものすごく下がるんですよ。服も下着も限られるし、メイクもシャンプーも自由に選べない。わたしは大学生のとき、アトピーで顔の皮膚が半分ただれてしまってメイクができなかった期間がありました。そんな状態でいるのに、あいつは女なのに化粧のひとつもしないと陰で言われていると知ったときはめちゃくちゃに落ち込みました(当時はまだそういう時代でした。今ならそいつの傷口に直にリキッドファンデーション塗ってあげるのにな)。

 そんな肌弱人生を送ってきたわたしと、アレルギー関係なにひとつ当てはまらない夫。その間に産まれた娘はどうやら上手いこと平均値を取ったようで、やや肌弱め、程度の肌を持って世に出てきました。ありがたいことです。スギ花粉などのアレルギー体質はそれなりに遺伝してしまいましたが、遺伝だからしょうがない。ごめんね娘。

 そのうちに娘が稚園に通うようになりよそのお子さんとの交流も増えると、やっぱりいまでもアトピーの子、たくさんいるんですよね。冬場、象みたいに黒ずんで厚くなった皮膚をボリボリ掻いてる子、どうしても気になっちゃって。一度、痒いよね~おそろい~!って同じようになった指先をお子さんに見せたらポカーンとされましたけど。大人でもアトピーの人はいるんだよ、って見せたかったんだけど、もしかしたら希望にならなかったかもしれない。ごめん。大人でもアトピーの人はいるんだよ。

 で、ママさんとお話するじゃないですか。わたしもアトピーなんですよ~って。そうなのーずっと掻いてて痒そうでかわいそうでさぁ~って大概言われます。そしてわたしはアトピーに対して問い詰めたい衝動を必死に耐えるのです。

 本当は言いたいんですよ。だって子供がかわいそうなんだもの、痒いのは本当につらいんだもの。「今やることはとりあえず湿疹を塞ぐことだからとにかく殺菌そして保湿だよ、利き手に出てるならハンドソープもあやしいね、ボディソープまさかビ○レじゃないよね、苦いボディソープは全部ダメだよ! 入浴剤はなに使ってる? モコモコのあったかシーツ使ってる? ダメだよ綿じゃないと! 夏場はどう? 湿疹はガサガサとジュクジュクどっち?」

 ……めちゃくちゃウザいじゃないですか。ちまたで話題のお節介育児アドバイスババアじゃないですか。世間話の範囲を超えています。だから頑張って黙ります。皮膚科どこ行ってる~? くらいの話で終わらせてました。アトピーは流行病ではなく生活習慣、がわたしの持論でして、湿疹は今の生活習慣のどれかが悪さをしているから、それをトライアルアンドエラーで潰していくしかないと思っています。ステロイドを処方されたら今の湿疹は一応治るけど、原因を潰さないとまたすぐ出ます。風邪みたいな治し方はできないんです。生活習慣と表現しましたが外的要因(夏の暑さ・紫外線量・冬の乾燥など)が原因の場合ももちろんあります。

 でもそれってすごくお金と手間がかかるんですよね。わかります。わたしの場合はだいたいソープ類が合わない事が多いので、使ってみてダメだったシャンプー丸々残ってるのが今二本あります。どうしようあれ。子供が痒がるんだけどおすすめの入浴剤ある? なんて訊かれたから応えたら「えっ高ーい!」なんて言われることはザラにあって、そのたびにちょっとだけ悲しくなります。当事者としては、この痒みが治まるのなら多少高くついても構わないくらいつらいんですけど……だからアトピー商法が成り立つのに……。

 というわけで考えました。アドバイスババアにならない程度に手間とお金をかけない湿疹対策。殺菌です。ひたすら殺菌。なんか殺菌したらいいってきいたよ! くらいなら言いやすいじゃないですか。アトピーの湿疹が治りにくいのは傷口に巣くう黄色ブドウ球菌のせいという研究結果もあるそうで(詳しくは各自ググってください)、とりあえず殺菌。余力があったら上からワセリン。わたしは主に手湿疹がひどいので、痒いときは頻度高めに消毒用アルコールぶっかけてます。めちゃくちゃしみますが、露骨に治ります。顔用化粧水の有名どころならオード○ーゲ、入浴剤は竹酢液がおすすめなんですがこれがまさに先述の高いって言われたやつなんで無理強いはしません。正直コスパ的にはそんなに高くないと思うんですけど…価値観は人それぞれなので…。

 ちなみにわたしはステロイド反対派ではありません。とにかく湿疹をおさえ皮膚の穴を塞ぐことが第一ですので、ステロイド剤はたいへん強力な武器です。ステロイドがなかったら皮膚を維持できないわたしに向かって「ステロイドってよくないらしいよぉ」とフワッフワの密告をしてくる人は一体何がしたいんですか? もちろん薬なしで健康に生活できるならそれに超したことはありませんが、それはアトピーに限ったことではありませんし。

 それでは皆様よい肌弱ライフを!

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