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キッズケアラボ

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医療ケアが必要な子どもたち(医ケアキッズ)の活動・発信拠点。彼ら彼女らが活動すると、大人も地域も変化していく。ソーシャルイノベーターなキッズたちの活動を紹介します!
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2020年5月の記事一覧

注射なんて家でしないでよ。〜在宅医と予防接種〜

今日の訪問診療で。 僕は、予防注射には複雑な気持ちがこみ上げる。子どもの気持ちになったら嫌なこと。大人の気持ちになればちゃんとやってあげたい。 医者としては仕方ない役どころ。でも嫌われたくない。 今日、約束の予防注射。 複雑な思いながら袖をめくると…話せないその子の気持ちが目にとまった。日中通ってる先で保育士が書いてくれたのかな? この子のハッピーを応援してくれてる人がたくさん、たくさんいる。安心して嬉しい気持ちになる。僕の悪者としての覚悟がきまる。 在宅での予防注射

死神とひまわり

ある7月、1歳の子の紹介相談を受けました。名前はゆかりちゃん。重度の心不全があり、完治は不能。余命3週間とのことでした。生まれてからこれまで、ずっと入院しています。手術をしたり集中治療室に入ったりしながら今まで過ごしてきました。これ以上の治療が困難となった今、生まれてから一度も暮らしたことのないお家に帰って、家族団欒を過ごさせたい。という依頼でした。  オレンジは、断るという選択肢はありませんので、当然受けます。まずは入院中の病院に挨拶がてら会いに行きます。ちょうど七夕

有料
400

出会う場所と出会うきっかけを変えてみる 〜医ケアキッズ、ディズニーに集結〜

史上初の試み、日本中から医療的ケア児がディズニーランドで待ち合わせ!ディズニーキッズケアラボの様子を発信したFacebookやtwitterをまとめておきたいと思います!(2019年9月9日-10日開催) 9月8日【いよいよ明日!】 ディズニーキッズケアラボ!!! 全国8県から8人の医ケアキッズと家族、ケアチームがディズニーに集合!とにかく楽しみます! そして、旅を通して見つけた、気づいた、出会えた ハッピーポイントや出会いを、どんどん繋いでいって、いつでもどこへでも、楽

制度は超えて、ニーズに愚直に 〜戸枝陽基さんの言葉〜

戸枝陽基さん、から学んだこと。もらった言葉。 来年の海があるかどうかより、来年の海を想う今を支えます。 2013年3月、愛媛松山で開催された、日本在宅医学会。 小児在宅医療を手探りで実践し始めた僕は、小児在宅医療の講演やシンポジウムがあれば、かたっぱしから参加していた。この時も、シンポジウム 「小児在宅医療の展望-医療 と福祉の協働による新しい コミュニティーの創造」に参加していた。 シンポジストとして登壇されている、戸枝陽基さんを初めて見た。 とにかく、いまだに強烈

悩ましいほど一生懸命に。不確かだからこそ信じる。〜まちのほしくし、吉田花蓮が行く〜

雑誌「小児看護」で オレンジキッズケアラボ・ほっちのロッヂの保育士、 吉田花蓮の連載が始まりました。タイトルは「保育はなが〜い滑走路」 いいタイトル!ぜひ、ご覧ください! 医療的ケア児、通称、医ケア児・医ケアキッズ。 子どもであるがために親が、 病気であるがために医療者が、 彼女ら彼らを制限したり管理したりする。 愛情や優しさが根拠になる制限と管理だから、 ダメですよ、とは言いにくい。思いにくい。気づきにくい。 経験ある大人は「安全」ばかりを望んでしまう。 不安定さを

WONDER

映画「WONDER ワンダー 君は太陽」 遺伝子の病気で27回の手術を受けた10歳のオギーが、初めて地域の学校に通い始めるものがたり。 視線、無視、いじめ、 支えられる側を超えて、支える力を発揮しながら あたりまえの存在へ。 沁みた言葉をメモっておきます。 人をいたわれ。みんなも闘っている。 相手をよく知りたかったら、方法は一つ。 よく見ること。 正しいこと、親切なこと。どちらか選ぶなら、親切なことを。 ケアラボキッズのチャレンジと重なるところばかりで、感情動かし

僕を支えている名言たちと“福子伝説” 〜道標にしている名言が走馬灯のように巡った日。キッズケアの奥深さ、難しさ、楽しさ。〜(再編集・再掲)

1月のある日、小児がんに関する研究のミーティングと 小児在宅医療についてのワークショップに参加。 小児がんに関わる人はみんな優しくて熱い。でもその優しさが、子どもであり、病人である「人」に向けられた時、何かを奪うことがある。 それに気づかずそれが優しさだと思い込むことで楽になろうとする人もいるし。 優しさってなんだろう、って落ち込んだり自分を責めている人もいる。 熊谷晋一郎先生の「希望とは絶望を分かち合うこと」という言葉が、頭の中でぐるぐると何度も登場していた。 熊谷晋