過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問47
さん、こんにちは。
公認心理師受験生Kidです。
さて、掲題の通り、問47です。
------------------------------------------------
問47
更生保護の内容として、誤っているものを1つ選べ。
① 恩赦
② 保護観察
③ 更生緊急保護
④ 特別改善指導
⑤ 仮釈放・仮退院
------------------------------------------------
正解、 ④です。刑事施設においては、作業とともに矯正処遇の中心となる改善指導及び教科指導が行われます。
改善指導及び教科指導は、従来の教育等に代わるもので、受刑者処遇法によって受刑者に対して指導を受けることを義務付けることができることになりました。
これらの指導に加えて、刑執行開始時及び釈放前の指導が行われ、改善指導、教科指導、刑執行開始時の指導及び釈放前の指導の4つを併せて矯正指導と呼びます。
上記のうち、改善指導とは、受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるために行う指導を指し、「一般改善指導」及び「特別改善指導」があります。
一般改善指導とは、講話、体育、行事、面接、相談助言その他の方法により、①被害者感情を理解させ、罪障感を養うこと、②規則正しい生活習慣や健全な考え方を付与し、心身の健康の増進を図ること、③生活設計や社会復帰への心構えを持たせ、社会適応に必要なスキルを身に付けさせること等を目的として行う指導をいいます。
特別改善指導とは、薬物依存があったり、暴力団員であるなどの事情により、改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し、その事情の改善に資するよう特に配慮した指導をいいます。
特別改善指導には、薬物依存離脱指導、暴力団離脱指導、性犯罪再犯防止指導、被害者の視点を取り入れた教育、交通安全指導及び就労支援指導があります。
これらについては刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)の103条に規定があります。
(改善指導)
第百三条 刑事施設の長は、受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、並びに社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるため必要な指導を行うものとする。
2 次に掲げる事情を有することにより改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し前項の指導を行うに当たっては、その事情の改善に資するよう特に配慮しなければならない。
一 麻薬、覚せい剤その他の薬物に対する依存があること。
二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員であること。
三 その他法務省令で定める事情
上記の第1項が「一般改善指導」を指し、第2項が「特別改善指導」を指します。
特別改善指導の種類と対象者は以下の通りになります。
薬物依存離脱指導(R1):⿇薬、覚せい剤その他の薬物に対する依存がある者
暴⼒団離脱指導(R2):暴⼒団員である者
性犯罪再犯防⽌指導(R3):性犯罪の要因となる認知の偏り、⾃⼰統制⼒の不⾜等がある者
被害者の視点を取り⼊れた教育(R4):⽣命を奪い、⼜は⾝体に重⼤な被害をもたらす犯罪を犯し、被害者及びその遺族等に対する謝罪や賠償等について特に考えさせる必要がある者
交通安全指導(R5):被害者の⽣命や⾝体に重⼤な影響を与える交通事故を起こした者や重⼤な交通違反を反復した者
就労⽀援指導(R6):刑事施設において職業訓練を受け、釈放後の就労を予定している者等
これらの特別改善指導は、矯正局から提示されている標準プログラムに基づき、各施設において実践プログラムを策定、実施しています。
各施設では収容している受刑者の特性や施設の置かれている状況等に応じて、「医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術を活用」(同法第84条第5項)しながら、科学的根拠に基づく効果的な指導を行うべく努力を重ねていると考えられます。
上記の通り、特別改善指導とは、刑事施設で行われる作業とともに矯正処遇の中心となる改善指導及び教科指導を指します。
更生保護は、犯罪をした人や非行のある少年を社会の中で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの人たちが自立し改善更生することを助けることで、社会を保護し、個人と公共の福祉を増進しようとする活動です。
対して特別改善指導は刑務所等で行われている取組であり、刑事施設に入所している間に自分が犯した罪の重さを自覚し反省を促すとともに、過ちを二度と起こさないよう、改善更生の意欲を呼び起こして社会生活に適応できる能力を身に付けさせるために行われているものです。
更生保護は、社会復帰に向けた出所・出院後の指導や支援ということになりますから、その辺で弁別することが大切です。
以上より、④が誤りと判断でき、こちらを選択することになります。
引用URL:https://public-psychologist.systems/14-司法・犯罪に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-47/#google_vignette
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?