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東京オリンピック ボランティアドライバー体験記38

受付で、私がもともとアサインされていたドライバーだ、ほら、ここに名前が書いてあるだろう、と私は一覧表を示しながら主張する。一つの車両に2人のドライバーがいるのはおかしいだろう、と。

よく考えたら、初期のころやったように、2人で一つの車両に乗るなどの工夫をすればよかったのだが、頭に血が上っているので、そんなことに思いは至らない。どうやら前半ドライバーは、予定より早く仕事が終わったので、もう帰宅してしまったらしい。ところがその人はチェックアウトしていないのか、ドライバーポーチを返していないらしい。ドライバーは2人もいるのにポーチがどこにもないそうだ。

ポーチごときがそんなに重要か、と冷静さを失っている私は思う。こっちはトリプルブッキングされたんだぞ。どうやらインド人の予定が早まったので、ドライバーを早く寄越すようC駐車場に申し出たのに、なかなかやってこないので、A駐車場で待機していたドライバーに仕事を割り当てたらしい。そして肝心のインド人ステークホルダーはやって来ない。

そんなにポーチが重要なら、私が探しにいってやるよ、破れかぶれになった私は、シャトルでC駐車場に戻る。どうせドライバーがもう一人いるのだから、ステークホルダーが来ても地位を奪い合わないといけない。だったらもう私がポーチを見つけ出してやる。

そう思ってC駐車場でチェックインカウンターやら受付やらに聞いてみたが、結局ポーチは見つからない。まだ戻ってきていないのだ。やっぱりなんのあてもなく探しにきたのは無謀だった、と私は虚しくA駐車場に戻る。

するとその間にインド人ステークホルダーがやって来たらしく、A駐車場に待機していた控えドライバーがもう出発した、と受付で言われる。まあそうなるであろうことは半ば予想していた、というかドライバーがもう一人いたから私はポーチ探索に出たので、仕方ないのだが、今日はやることなすこと裏目に出る日だ、と思う。受付の人に、「ポーチを探しに行ってくれたんですね。でも行く時は今後、ひと声かけてくださいね」という当然の指摘を受ける。今後、と言われてもあと2日しか活動期間はないわけだが。

受付で同情された私は、さっき入ったという予約を回してもらう。行き先は略称で記されているが、どこのことだかよくわからない。受付の人もよくわからないと言うので、ステークホルダーに直接尋ねてみるしかない。

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