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「大切な二人」が対話するための事前準備(前編)

久しぶりの更新になりました。オープンダイアローグ夫婦のダイアローグ、今日のお題は「2人で対話するための準備としての個人作業」です。

(この記事は、「相談室おうち」のメルマガの記事のリミックスです。メルマガは毎月10・20・30日の3回発行しています。)

今回の夫婦ダイアローグは、2020年7月6日に、おうちリビングで行いました。

「二人で話す前に、まず自分はどう思ってるのか」

(ふゆひこ:細字)「夫婦は対話が大事だよ」っていうけど、「なるほど完璧な作戦っスねー、不可能だということに目をつぶればよー」(©ジョジョ)という気持ちもします。

「できないんだよ、そもそも」とか、「そういう状況じゃないんだよ」「どうやったらいいの」というときに、「まずは〈自分一人でできること〉をしてみたら」っていうことを、けいこさんが話し始めたので、おもしろい!と思って、急遽レコーディングしております。

――(けいこ:太字)ふゆくんがさっき言ってくれたとおり、夫婦でお話ができたらそりゃえーに決まってる。だけど、夫婦で話をすること自体が今は難しい状態っていう方もいるかなと思ったから。

例えば、相手がその話に乗ってくれないとか、「向き合ってくれるはずがない」っていう思いがあったりとか。

そのときに、そのままの状況でい続けることもできるけど、「そう思ってる自分」とか「私は本当はどんなことを相手に伝えたいのか」とか、そういうことを考えてみるっていうこともできるな、と思ったのね。

(ふ)「本当はどんなことを相手に伝えたいのか」。

――そうそう、それも一つだし。あと、例えば「『相手が向き合ってくれない』とかって思っていることについて、私は今どういう気持ちでいるか」とかさ、自分の不満とか心配とか、不安とか恐怖とかっていう気持ちがあるんじゃないかな、って思ったりするわけね。

なんか、そっちについて「こういうことをやってみたことがあるよ!」っていう経験を伝えることができるんじゃないかなあ、とか。私が知ってる、他の人がやってる方法とか。「セルフコンパッション」みたいなことも含まれるかもしれないけど。

夫婦で話すとか、夫婦でセラピーを受けるとか夫婦カウンセリングを受けるみたいなこと以前に、そういう準備をやっておけると、 より、何て言うんだろうな、有意義になったり。自分で自分のことを整理しておいて、自分のことは知っておく、っていう。

自分のことだから分かってるって思いがちだけど、 意外と自分のことは分かってなかったりする。私の経験だけど、けっこう自分で自分のことが分かってないっていうことってあるなーって思うから、「自分のこと、まず分かっておく」みたいなところから、もう一回「どういう夫婦関係を相手と結びたかったのか」とか「今後どういうふうな未来のビジョンを描きたいと思っているか」とかっていう、「二人で話す前に、まず自分はどう思ってるのか」みたいなところ、そんなことができるといいんじゃないかなって思ったの。その部分をメルマガとかで伝えられたりできるとどうかなって思ったの。

(ふ)私は、けいこさんから話題を出してもらって、こうして夫婦でお話ができるのがすごく嬉しくて。夫婦の話をそのまま収録してメルマガに載せるなんて、一石二鳥で、「こんなツラい仕事初めてだ・・・」って、昔『タモリ倶楽部』の「ラーメン屋で呑む!!」っていう企画で井筒和幸監督が嬉しそうに言っていたけど(笑)、そういう感じ。

そいで、「そうそう」って思いながら聴いてたの。あと、何かやっぱ整理したくなっちゃうんだよね、「そうそう」って聴いてると。

間にセラピストなどの他者(第三者)を入れて夫婦で話す場合と、2人だけでっていうのは、やっぱり異なるように私には感じられる。2人で話すのはすごく難しいんだよね。何て言うか、対話の訓練というかトレーニングっていうのを受けていてギリギリできるかできないか、っていう感じで。

だから、訓練を受けていない一般の人は、セラピストとか進行役を間に入れてオープンダイアローグをするのが安全と思うんだよね。

それは、オープンダイアローグでファシリテーションをしてもらえば、けいこさんのいうような「自分がどういう人間か知ったり」っていう作業を事前にしておかなくても、その場で「自分」ってのは出てくるし、それを互いに突き合わせるっていうのができるからだと思う。

それを2人だけでやろうとするときって、だからやっぱり、けいこさんのいうように事前準備が必要になると思う。

ある程度マインドフルになれて、自分について知っておいたり仲良くできるようになっておいたりするとか、コントロールできるようになっておくっていう「準備」が必要だと思うんだよね。

そんな作業って、ダイアローグの勉強を始める前からちょこちょこね、自分のトラウマ治療みたいなところで始めていたけど、一般の人でもやっておくといいことっていっぱいあるよなーって思う。

「聴いてもらっておくこと」「スキーマ処理」「トラウマケア」

(ふ)基本的に「やんなきゃいけない」くらいのことって5つぐらいあると思うんだけど、その方法がいっぱいあるなーっていう感じがしていて。教えてほしいと言われたら喜んでするけど。

「どうして聴けないか」を5つぐらいに分けたときに、ひとつは「聴いてもらっていないから」「自分の中にもう溜まってるから」っていうことがあって。

二つ目は、トラウマ(傷つき)がある。未処理のトラウマが。聴こうとしている自分自身に。

三つ目は「スキーマ」。無意識に則っている価値観や「べき思考」みたいなもの。

あとは、相手との力関係(権力の問題)と、コントロールしきれていない感情かな。

これら5つは別々というより互いに繋がってる。トラウマ(傷つき体験)からスキーマ(生きづらい世界観)ができたり。「聴いてもらえていない」ということ自体がトラウマだったりするし。

それらの「下処理」っていうか、2人でダイアローグするときって「あらかじめどこかで聴いてもらっておく」こととか、「トラウマに気づいておいてそれをケアしておく」こととか、あとは「スキーマ(価値観)をハッピーなものに書き換えておく」とかっていうことが多分、2人でする対話には必要で。

そうじゃないと、そのスキーマに基づいた反応で「君はこうするべきだ」とか「べきじゃない」とか、トラウマに基づいた反応をして「なんか怖い」とか「怒られてる」とか感じて、その結果、自分を守るために相手を攻撃するとか、そういう行動をして、もう対話にならなくなったりすることがある。司会者がいれば別だけど。

スキーマから出てきている単なる「自動思考」なのに、その誰かから刷り込まれた自動思考を自分の考えだと思ってしゃべったりもするから、そもそも、その、いまこの話に参加しているのは誰ですかって話になって・・・。その人の口をついて「世間」とか親とかの考えが出てきてるだけで、けいこさんの言葉でいう「私」が出てきてないわけでね。国際会議に喩えると、国内の意見(自分の中)をまとめてから国連の会議(相手との対話)に出なきゃいけないみたいなことなんだよね、きっと。だからそう、2人で話すときに必要な作業だなって思うよね、「事前の個人作業」が。

個人作業って何度やってもいいんだけど、集団とか、それこそセラピストとやったりなんかしてもいいんだけど、対話したい相手とやるのはちょっと難しいかなっていうか・・・そういう関係じゃないから対話が必要、という状況を想定した話なので、これ。

「聴いてもらっておくこと」「スキーマ処理」「トラウマケア」。夫婦とか親子とか、マンツーマンで対話しようとしたときの、「対話できる自分づくり」のポイントは大きくこの3つだと思います。

そのために、「セルフコンパッション」とかいろんな方法があるけど、「私はこれがよかった」「こういう人にはこれがいいかもね」とかって、お互いのオススメのやつを紹介していってもいいのかなと思った。「これをやったらできるようになる」とか「これが良かったよ」っていう。なんか、そう思いました。

――大事な相手だから「聴いてほしい」」「知っておいてほしい」「受け止めてほしい」って思うし、相手のことも「聴きたい」「知りたい」「話してほしい」って思うんだけども、「聴いてほしい」っていうのが怒りとともに「聴いてよ!!!!」みたいになってしまうと、相手も構えるのは当然の反応だと思うのね。聴く方は相手が感じている怒りそのものも受け止めながら自分の感情をコントロールしながら聴くっていうのは、大切な関係性であればあるほど難しい。トレーニング受けても難しいことだと感じる。

怒りを我慢して話すっていうのも、やっぱりちょっと違うなぁって思っていて、我慢しきれなくなったところで怒りとともに出てくる感じがしている。だから、その我慢や怒りの部分を自分で処理をするっていうのかな、感情のところを本当に話したい人以外の他者と話しておく。エチケットを身につけておくみたいな感じかなーって思ったの。

(後編へ続く)

相談室おうち mina4recovery.com
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