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病は突然に~手術後編~

歩いて手術室へ行き
自分の名前や
これから行う手術の確認をした
右の卵巣を摘出する
手術室に入り手術台に寝ると
手際よく準備が始まった
難しい手術ではないとのことだったが
リスクはないわけではない
しかし任せるしかないので
怖いとかはなかった

麻酔が効いてくると言われ
ふわーっと目を閉じるようなイメージだったが
全然違って
一瞬のうちに意識がなくなり
気がつくと手術は終わっていた
あっけないものだった

体を揺さぶられて麻酔から覚め
ゆっくりぼんやりと目が開いた
特に問題もなく手術が終わったと言われ
ほっとした
瞼は重く半開きみたいにしか開かない
寝ぼけた状態のまま
付き添いの夫の顔を見て
力なく笑ったが
すぐまた寝てしまった
ベットが病室まで運ばれているのを
なんとなく感じていた

病室に戻っても体は動かせない
傷口が小さくて済む腹腔鏡の手術だったが
それでも体には負担なのだ
足には血流を促すためのポンプがつけられ
定期的に膨らんでは足を圧迫した
腕には点滴がぶら下がっており
口には酸素マスクがつけられていた
これが意外にも息苦しかった
寝返りもできなくて
全然寝られない夜を過ごした
少し気持ち悪くなったが
吐き気止めの薬を点滴にいれてもらい
何とか乗りきることができた

お腹の手術だったため
起き上がるのがなかなか大変だった
ベッドにもたれるように倒れて
リクライニングのスイッチで
上半身を起こしていく
手で踏ん張りながら
お腹に力を入れないように
ゆっくり体を動かしてまず座る
点滴のぶら下がってる器具の持ち手を持って
体を預けるように
ゆっくり立ち上がる

人間の回復力とはすごいもので
1日ごとに少しずつできることが増えていく
これが何よりびっくりしたことだった
2日くらい経つと
ゆっくりだが歩けるようになった
もちろん傷のあるお腹は痛いのだが

術後3日ほどすると退院できた
お腹に力は入らないし
重たいものも持てない
ヨボヨボな歩き方になって
階段も辛い
でもゆっくりなら歩けた
病院での処置もなくなったので
家に帰ることにしたのだ

病理検査をした結果
どうやらそこに良くないものがあったようだ
摘出して悪いものがなくなったかどうか
その後も経過をみるための通院が続くこととなる


続く








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