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正義ってなんだ?

少し前の話。
友達と映画を見に行った。

そこで出会ったのだ、映画泥棒に。

外国の人だろうか、明らかにスマホで映画を撮影していた。僕らが気づいたのは、映画のエンドロールの時、録画のマークと録画時間2時間30分という文字が隣の人のスマホに見えた。

確信は無かったが、映画泥棒が座っていたのは、スクリーンのちょうどど真ん中、撮影するにはうってつけの席だった。

友達は店員さんに言うべきかと耳打ちしてきた。
僕は「言うべき」だと答えた。

エンドロール中盤、友達はそっと映画館を抜け出し、店員さんに映画泥棒かもしれないと伝えた。
僕もその後を追うように出て、対応を待った。

すると映画館スタッフのお偉いさんがでてきた。
僕らは事情を説明し、どの席のお客かを教えた。

映画館側の対応は何も出来ない。だそうだ。


何も出来ない理由は
30分に一回、スタッフが巡回していること。
スタッフが直接見たわけでは無いため、お客さんにスマホを見せろとは言えないこと。
以上の理由により何も出来ないと言われた。

まあそれはそうだろうなとは思った。
友達は「そちら側のルールにのっとって対処してもらえれば大丈夫です。」とお偉いさんと話していた。

ただ僕は納得出来なかった。
「それでいいのか?」という映画館側への不信感が僕に芽生えた。

今どき撮影なんて違法サイトへのアップロード目的であると推測できるし、外国人の犯行なのであれば、「あそこの店舗は撮影しやすい穴場だ」と広まる可能性がある。
犯行が犯行を呼び、さらなる被害が出るかもしれない。

そもそも映画泥棒のCMで
「不審な行為を見かけられたら、劇場スタッフへ」と言っているのに、言っても何も出来ないとは、じゃあもう言っても言わなくても一緒ではないか
映画を純粋に楽しみたい人からすれば不愉快だ。

そう映画館側へ言おうとしたとき、友達が僕の目を見て行った。「もう行こう」と、恐らく僕が何か言いたげなのを察したのだろう。

「もう何を言っても無駄だ」と友達に目で言われた気がして僕も何も言わずに映画館を出た。

あとから考えてもあの場で映画館側を責めるのは間違っていたし、あれは言うべきではなかった。

友達が制止してくれたから良かった。

友達がジェントルマンだった。ありがとう。

でも映画館側へ言いたかった。

まあ映画館側の意見もわかるんだ。
冤罪だったらとか、問題事を起こしたくないのは僕も分かる。分かるんだけど。

じゃあ何がルールなんだと思ってしまった。
映画を撮影するやつが悪で、僕らが正義のはずだろ、でもそうはいかないのだな。

真っ当に生きているやつが報われて
映画泥棒を働くやつらが裁かれればいい。

その一元論が通じないのもわかっている。
じゃあ正義ってなんなのよ。

分からない。

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