東の果てで気づいたこと~根室→釧路③
ここから先は観光バスによるバス旅だ。
道東三湖(摩周湖、屈斜路湖、阿寒湖)を見ておきたかったのだ。
レンタカーによる周遊も検討したが、釧路空港から摩周湖までが約90kmと知って断念。時間ないので無理です。
そんな中、阿寒バスが運営する道東三湖をめぐるバスツアーがあると知って飛びついた。
釧路駅→摩周湖→硫黄山→屈斜路湖→阿寒湖→釧路空港→釧路駅の約9時間のコースである。
以下、タイムライン形式でお届けする。
08:08 釧路プリンスホテル
バスは道道391号を北上し、摩周湖へと向かう。
途中、車窓から釧路湿原を眺めることができるようだ。
事前に、バスガイドのおねえさんにそれとなく聞いておいた。
「座席の右側と左側。どちらが景色を見やすいですか?」
「うーん。右側、ですかねえ」
しかし、同じ景色が続くため、目が馴化してしまう。
馴化すると異物の発見すら容易ではなくなる。この場合は、動物だ。
「今、シカがいましたよ」
え、どこどこ?
「あー、草むらに隠れてしまいましたねえ」
釧路空港の正式名称は「たんちょう釧路空港」である。
タンチョウは大型の鶴であり、実はタンチョウヅルという呼び名は正しくないのだそうだ。
つがいでいることが多く、釧路湿原は越冬地でもあるが、さすがにこの時期は見かけないとのこと。
動物を神と呼んで大切にするアイヌにおいては、タンチョウは「湿原の神(サロルンカムイ)」でもある。
「あ、タンチョウもいますね」
え、どこどこ?
「あれはサルですね」
次々に動物を発見するおねえさん。
ところが、こちらはまったく見つけられない。なんか悔しいな。
おねえさん、すごい! 野生動物を瞬時に見つけるスーパーパワーの持ち主なの?
そうこうしているうちに、バスは摩周湖に到着した。
09:52 摩周湖
アイヌ語では「カムイ・トー(神の湖)」と呼ばれている。
バイカル湖(ロシア)に次いで世界で2番目の透明度の高さを誇り、晴れた日は摩周ブルーの美しい景観が見る者を惹きつける。
はずなのだが……。
この日はあいにくの曇り空。霧に覆われて、対岸すら見えない。
摩周湖は1年のうち100日以上も霧に包まれているといわれている。
とりわけ6月から8月にかけては霧が多く発生する。
つまり観光客は夏休みのハイシーズンであればあるほど、霧の摩周湖に遭遇しやすいというわけだ。
そのためか「晴れた摩周湖を見ると出世できない」「婚期が遅れる」などと、やっかみ半分の迷信が生まれたほどである。
子供の頃から湖が好きだ。ダム湖が大好きだ。
湖には異界への入口があるのだという。
晴れて美しい景観を眺めるのもいい。
でも、霧に閉ざされた湖面のゆらめくさまを見るのだって悪くない。
何かが潜んでいそうな、そんな気配を感じるのだ。
摩周ブルーが見れなかったからって、べつに悔しくなんかないんだからねっ! ←ツンデレちゃん発見☆
10:44 硫黄山
硫黄臭といえば別府温泉なのかな。嬬恋村(群馬県)とか。
残念ながら温泉めぐりなどしている時間的余裕はない。ゆえに、
となるのだが、さすがは北海道。スケールの大きさが違う。
湖に行ければ御の字だったのに硫黄山も見られるなんてお得感があるな。
11:34 屈斜路湖(砂湯)
日本最大のカルデラ湖であり、淡水湖としても日本最大の面積を持つのが屈斜路湖だ。
東西約26km、南北約20km。水深は最深部で約125m。
屈斜路湖形成当初は現在の倍ほどの面積があったというのだから驚く。
屈斜路とはアイヌ語の「クッチャロ(沼の水が流れ出る口)」が語源で、浜頓別町にあるクッチャロ湖と同じ由来を持つ。
その名の通り、湖を流れ出た透明度の高い水は弟子屈町や標茶(しべちゃ→アイヌ語で大きな川のほとり)町を経て、釧路湿原へと向かう釧路川となる。
釧路市民の母なる川、釧路川の源流が屈斜路湖なのである。
バスは湖のほとりにある砂湯付近の駐車場に停まった。砂湯とな?
なんか楽しそう。でも、ここでの滞在時間は20分しかない(涙)。
屈斜路湖といえばクッシーだよな。
この湖を一躍有名にしたUMA(未確認生物)の痕跡は……あ、いたいた。
クッシー、こんなところにいたのか!
1973年に湖面に浮かぶ謎の影が目撃されて以来、ネス湖で目撃された未確認生物ネッシーになぞらえてクッシーと呼ばれるようになった。
その後も目撃報告は相次いだが、近年は話題にのぼることもなく、人々からは忘れ去られようとしている。
ああ、もう時間だ。バスに乗らなくちゃ。
クッシーなんて本当はいなかったのだろうか。
いや、クッシーはいる。みんなの心の中にいる。
少なくとも俺にはいろいろ感得できたぞ(笑)。
いったんCMでーす!
[阿寒岳奥之院で見たものは? ④につづく]