抱っこ魔との闘い

抱き癖なんていつの時代の話だろう?

それでも抱っこに応じるのが怖いのはなぜなんだろう。

我が子の乳児期はとんでもない抱っこ魔で、置いたら泣く、何なら寝てるときも抱っこでないと気が済まない子だった。

支援センターに遊びに行っても、子どもをフロアに下ろせないので周りの人からは随分不憫がられた。どんなにおもちゃがあっても抱っこでなければ泣いていた。

当時の私の気持ちは、泣かれるくらいなら抱っこしてたほうがマシ。だって、本当にずっと泣いてるんだもの。寝てくれるなら抱っこでもいい。そうでないと私が眠れない。

ここでもやはり支えだったのは、佐々木正美先生の「子どもへのまなざし」。好きなだけ抱っこしてあげたらいい、と。

子どもが出す大人への最初の希望。これが満たされず大きくなっていくと、もっと高度なことを望むようになる。そうなると叶えてあげることができなくなるかもしれない。

どこかで必ず手をかけなくてはいけない時期がある。それがこの乳児期であるならどれだけ容易なことか。そう考えると、確かに抱っこすることは肉体的にも精神的にもきついのだけど、間違ってないと心の中で言い聞かせて、ほぼ望みを叶える形で抱っこしてきたと思う。

3歳の今でも確かに甘えん坊で抱っこが大好きな子だけど、今のところ無茶苦茶なわがままとか、イヤイヤとかはない。多少イヤイヤ期はあったけれど、どうしようもないときというのはあんまりなくて、少々拍子抜けしてるのが今。外出することも全然苦ではない。電車でも図書館でも静かに過ごせる。

乳児期の望みを叶えるというのは、信頼感の形成の一環であって、それをしてないのに言うことを聞いてもらいたいというのは確かにお門違いだ。

これから先、この子がどう育っていくかなんてさっぱり分からないけれど、あのときもっと抱っこしてあげたらよかった、と思うことは恐らくないだろう。

抱っこしてほしいという赤ちゃんの望みがどうか叶えられる世の中でありますように…

追伸:ハグの習慣がある地域ではまた別の考え方があるのかもしれない…とか実は思ったりもします。


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