他人のふんどしを借りるとき
子どもの頃から誰かとつるんで一緒に何かをすることが苦手でした。団体行動が苦手で協調性が少し欠けていたと思います。友達がいなかったわけでは無いですがずっと一緒にいることが苦痛でお泊り会とかたまにすると寝るまでバカ騒ぎしているのに朝になるとすっかりそのテンションが冷めて帰るタイミングを見計らってしまうそんな子どもでした。
当時からいじめが問題になっていましたが、いじめられるでもなくいじめるでもなく独特な雰囲気を醸し出していたようで「大図は俺たちに持っていない自分の世界を持っている、大図ワールドだ」とクラス一番の人気者から言われたことを今でも覚えています。あ、いじめられていたのかな・・・。
今でも根本的にその性格は変わっておらず家でも会社でも自分ひとりになれるスペースや時間が無いと苦しくなってしまいます。数年前、事業を大きくしようと人員を増やして結局上手くいかなかったのはこの性格における要因がとても大きいと思います。ご迷惑をおかけしました。
自分が現在生業としている刺しゅうやデザインは基本的に作業するときは1人なのでそういった面から見ても理にかなっていると書きながら気づきました。noteを毎晩書き続けていられるのもきっとそうですね。
そんな一匹狼の私ですが時として他人のふんどしを自ら借りに行くことがあります。刺しゅう作家として活動を開始し数年、手芸本の仕事や手芸教室の仕事は来るが仕事の幅の拡がらなさに不満と不安を持っていました。
今はもう無くなってしまったのですが10年以上前に神保町にあったamuletというお店の2階で刺しゅうの個展を開かせてもらったときに知り合いの知り合いということで近所に住んでいたイラストレーターの阿部 伸二さんとデザイナーの奥さんが遊びに来てくれました。年齢も近く話も合ったので意気投合しその後食事に行く間柄になり仕事の相談などもしていました。
ファッションやCDジャケットなどのオシャレな仕事をいっぱいしている二人にどうやって仕事を取っているのかと聞いたら直接企業や知り合いづてで連絡が来るほかにイラストレーターのコーディネート会社に入っていてそこからもたまに来るよと教えてもらいました。
▼イラストレーターのコーディネイト会社 BUILDING
当時コーディネート会社なんて存在を知らなかったのですが自分の代わりに企業から仕事を取って来てくれたり、企業が案件にあったイラストレーターを探すのに相談したり、お金の事を自分の代わりに交渉したり、分かりやすくいうと芸能事務所のようなものでした。それを聞いたとき仕事の幅を拡げたい今の自分にとって救世主の様な存在だと思いすぐに紹介してほしいと頼み込んだのでした。
優しい阿部さんはすぐに連絡を取ってくれて、おそらく当時から売れっ子だった阿部さんの頼みでは仕方が無いと面接をしてもらえることになりました。行く前から社長がめっちゃこわいから気を付けてと言われてたのですが会ったら本当に怖くて、ビビりました。それは暴力的ではなく猟奇的な怖さでした。目力が半端なくて全部こちらのことを見透かされているような気分でした。
「大図さんはどういった仕事がしたいの?」と聞かれて「何でもやりたいです。」と答えた後あの目で睨まれたときにはマジで殺されるかと思いました。何でもやりたいっていっちゃだめなのかな・・・。でも何でもやりたいんだよな・・・。落ちたな・・・。とトボトボその日は帰路についたのでした。
でもみなさん安心してください。私は売れっ子の阿部さんのお友達です。見事にコネ入社をすることが出来、オシャレで有名なBUILDINGの一員となったのでした。阿部さんこれからも売れ続けてください!
▼阿部さんと奥さんのデザイナーしょうじさんの会社カレラHP
▼阿部 伸二さんポートフォリオ
コーディネート会社に入ったからと言って仕事がいっぱい来たわけではなく、これまで通りコツコツ仕事をしていたのですが1つ大きな変化がありました。それは世間が刺しゅう作家としてだけ認識していた自分を見る目が少し変わり、自分が見る世界も広がったということです。何でもできるんだって思ってもらえたし自分でも何でもやっていいんだと改めて気づきました。
人は生まれた場所では無く今いる環境で変わると思うのです。今いる環境から抜け出したいなら行動しましょう。人のふんどし借りたっていいじゃない!
▼コーディネート会社ビルディングの森社長がKindleで本を出したよ。ほんと目力パネェよ。長年現場を見てきてるから書いてることの説得力もパネェよ。
▼BUILDING内の私のポートフォリオページです。見てね。
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