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人には人のインターネット - ツクール&フリゲ編

人には人のインターネットがある。
いつ、どこで、どのように、どんなコンテンツと共にインターネットと出会い、そして歩んできたのか。インターネットの移ろいは非常に早いかつ流行り廃りがあるので「いつ」というファクターは「どんなコンテンツ」の部分と大きく結びつく。

私が小学3年生である2002年のあるとき、父が急にデスクトップパソコンを買ってきた。OSはWindowsXPでNEC製のごくごくふつうのスペックだった(気がする)。パソコンがやってきてからほどなくしてYahoo!BBのADSLによるインターネット接続ができるようになった。これが私とインターネットとの出会いである。

当時のインターネットにあるおもしろコンテンツを知っているわけでもなく、検索能力がほぼないに等しい小学3年生の私にとってインターネットとはYahooの導線からのみつながるページが全てだった。

そして突然、黒船がやってきた。
IT関連の会社に勤めていた姉(16歳上)の旦那さんが家族で我が家に遊びにやってきたときに教えてくれた。

「よしくん、インターネットで無料のゲームがダウンロードできるんだよ」

最初はよくわからなかった。OS標準で入っているソリティアやピンボールしかやったことのない私にはどんなゲームなんだ?という疑問しか湧かなかったのだが、あるひとつのサイトを教えてもらったのだ。

それがVector。おそらく当時フリーソフトがもっとも集められていたサイトはここだろう。このVectorでゲームのカテゴリがあるのだが、そこからゲームを無料でダウンロードして遊べるよ、ということを教えてもらった。ちなみにZIPファイルを解凍するというような概念を覚えたのもこのタイミングだ。

このフリーでダウンロードできるゲームは大体RPGツクールなどのゲーム作成ソフトで個人ゲームデザイナーが作っているものだ。いわゆる「ツクール界隈」である。(ちなみにツクール以外で作られたものももちろんある。)

このツクール界隈の存在を知ってから、私にとってインターネットは無限に楽しみが湧いてくる魔法の空間となった。Vectorを漁るのはもちろん、オーガニック検索でのまだ見ぬフリーゲーム探しにも没頭した。

以下、やったゲーム(一部)を少し振り返ってみたいと思う。

1. ライラ君の大冒険

これは人生ではじめてダウンロードしてプレイしたフリーゲーム。いま思うと結構レベルデザインがめちゃくちゃなクソゲーだがこれが無料でできてしまうなんて!と衝撃的でずっとやっていた。キーボードによる操作というのもなかなか慣れずなぜかめちゃくちゃ印象に残っている。

2. Holy Knights〜忘れられた手紙〜

今でこそDirector's Cut版(完全版)で配信されてるが、当時体験版の頃からプレイしていた印象に残っているRPG。宛名のない一通の手紙から始まるストーリーで、フリーゲームなのにこんなにシナリオも良くてゲームとしての完成度も高いということに衝撃を覚えた。そして、他に台頭していたフリーゲームがなかったこととゲーム作者のサイトで掲示板等が賑わってたこともあり、二次創作や交流などのコミュニティがとても盛んだった(幾年経つと崩壊していったが...)。ゲームクリア後にサイトでクリアコードを入力すると隠し情報が見られるというのもなかなか斬新だった。とにかく思い出が深い作品。ちなみに外伝と2もある。

3. 洞窟物語

今や様々なハードに移植されている名作。当時このグラフィックのクオリティで無料なのが本当に信じられなかった。ただ私は2Dスクロールアクションが苦手で結局最後までクリアできなかった...。

4. 支配の指輪

今はもう公式では配信されていないがインターネットの海にはかすかに漂っている名作。かな〜りオーソドックスな王道RPGだが、寄り道要素やアイテム収集要素が適度にあって飽きなかった。何周もやった。レベルデザインがめちゃくちゃ良かった説。これに影響されて自分もRPGツクール2000をお年玉で買って自作ゲームを作ろうとした(もちろん挫折した)。

5. Ruina 廃都の物語

こちらも言わずと知れた名作。ゲームブック風のRPG。主人公選択や好感度によるマルチエンディング、シビアながらかなり良調整された難易度で何周もしてしまう面白さ。世界観がめちゃくちゃ練り込まれているのもポイントが高い。ふつうに売っててもおかしくないレベル。ツクールの歴史に名を残している作品の一つ。

6. イストワール

これも言わずと知れた名作。歯ごたえがあり戦略性を求められる難易度と探索の楽しさが他の追随を許さない面白い作品。これも何周もした。今でもたまに遊びたくなる。

7. ミスティエッグ

やりこみ要素がハンパない系RPG。ストーリーはよくある感じだがエグいのはランダムエンチャントのアイテムドロップ収集システム。より強い武器や防具を手に入れるためにストーリーを進めるのをそっちのけで何十時間もダンジョンに潜ったりしてしまう大変危険なゲーム。トータルで軽く400時間くらいはプレイしていると思う。私をハクスラ系のゲームに目覚めさせたのもこれ。

8. ざくざくアクターズ

ここ最近の作品だが、間違いなく2010年代ダントツトップの殿堂入り長編RPG。神がかったレベルデザイン、自由度と戦略性に幅のある戦闘システム、ふつうに泣けるストーリーと文句なしのゲーム。その証拠に二次創作やコミュニティが非常に活発。2010年代に入ってから正直フリゲ界隈はあまり盛り上がってなかったためここにきて突如スーパースターが現れた感じである。絶対にやってほしい。

と、まあ挙げればキリがないのだが100作品以上は確実にやってきている中で印象に残っているものはこんなものだ。

そして、フリゲを取り囲む文化圏もまた面白い。
フリゲを作る人がいれば、そのためのドット絵素材を配布する人、BGMを配布する人、ゲームに使うスクリプトを配布する人、二次創作サイトを作る人、などなどいろいろな人がいた。

このフリゲで使われている絵やBGMめちゃくちゃいいけど誰だろう、というところから有名ではないが自分のお気に入りのコンポーザーを見つけたり、好みの絵師を見つけたりなど広がりを見せることができた。

あまりリアルな場で語れる人が多くないツクール&フリゲ界隈だが、確実に私のインターネット人生に影響を与えている要素の一つだ。

あなたのインターネットを形作る要素は何ですか?

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UI/UX Designer at HERP, Inc.
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