モルカーボールを手にした者はセカンドシーズンの幻覚(ゆめ)を見るか
見ちゃうでしょ。
そうとしか言えないくらい魅入ってしまった。
そして映画は確かに幻覚(ゆめ)ではなかった……。
先日、人生初の3D映画とMX4D映画をモルカーに捧げてきた。
一回目は、3Dだけで観に行った。いつもYouTubeやNetflixで観ているモルカー達がこんなに大きくて立体的に見えると、まるで自分がモルカーの世界に入ったように錯覚する。……
『PUI PUI モルカー』は子供向けのアニメでありながら、社会問題をシュールに取り扱っているとの評判を受け、一気に人気作に上り詰めたパペットアニメ作品だ。
一話、たった2分40秒しかないというのに、一気に世界観に惹き込まれてしまう。しかも、台詞がないので小さな子供から、私のような大きいお友達までも虜にし、はたまた海外でも大人気アニメらしい。
モルカーを初めて知ったのはTwitterだった。
私は毎日Togetterをチェックしているので、インターネットのトレンドは大体知ったつもりでいる。(インターネットの流行りしか分からなくなる。)
この時にも「こんなのが流行ってるんだ〜」という軽い気持ちで観始めた。
可愛い。
初めてみた時の感想はそれだった。
兎に角、可愛い。「時々ちょっとシュールな表情をするな、人間もコマ撮りみたいな感じなんだ」という感想で、ハマった!という感覚はなかったのだけど、YouTubeで最新作が期間限定で観れるし、Twitterで盛り上がっているので、毎週欠かさず観るようになってしまった。
「可愛いなあ。癒される〜」とだけ思っていたモルカーに対する見方が劇的に変わったのは第10話の「ヒーローになりたい」だった。
この話数で、推しモルと自分の趣味嗜好に気付かされることになる。
このストーリーの公式サイトに載っているあらすじを引用しよう。
ヒーローに憧れるアビー。念願だった初心者マークが取れた日、なんと美少女キャラクターの痛車にされてしまう。落ち込むアビーの前に、木から降りられなくなった子ネコが!
痛車に改造されたアビーは、可哀想なくらい落ち込んでしまう。ほかのモルカーたちに見られて、バカにされているんじゃないかと被害妄想をして泣いてしまい、自分の姿を見られないように建物の影に隠れて、しゃっくり上げながら、必死に涙を止めようとするシーンがある。
パペットアニメにも関わらず、アビーの孤独さが切に伝わってくるシーンなのだ。
ここでアビーのキャラクター紹介文も、公式サイトから引用させて欲しい。
真面目で好奇心旺盛。初心者マークを付けているが、いつか卒業できる日を夢見ている。ほかのモルカーに比べてプライドが高い。猫が苦手。
この情報はテレビで放送される前から公式サイトに載っていた情報だ。
さきほど載せた第10話のあらすじはアビーの初心者マークが取れ、プライドが高いにも関わらず、痛車に改造されてしまう話なのだ。
もう一度、キャラクター紹介文を読んで欲しい。
初心者マークを付けているが、いつか卒業できる日を夢見ている。
ほかのモルカーに比べてプライドが高い。
この2点を生かした設定が、10話で伏線回収されている。こんなにかわいそう可愛くキャラクターの感情を揺さぶる方法で………。
しかもストーリーの終わり方は「ヒーローは見かけではない」というみんなが幸せになれる終わり方なのだ。私の感情も十分に動かされてしまった。
……頑張るアビーちゃん、可愛い!!!
完全に好きだ。
モルカーの世界観も、アビーちゃんのことも。
これで映画を観に行かない理由があるだろうか。いや、ない。(反語)
一回目、3Dを観に行った日に話を戻そう。
モルカーがアップになると、飛び出してくるし、画面が大きいのでまるで自分が運転手になったような気持ちになるのだ。しかも、最高に可愛くてもふもふしているので可愛いが目の前に迫ってきて、たまらなく幸せだった。
これはMX4Dを見る必要がある。もっと幸せになるために。
3Dを観終わった瞬間、そう決意してその日の夜に二回目の鑑賞をインターネットで予約をした。しかも予約をした日は、入場者プレゼントのならせ!モルカーボールの2週目が配られる日だったのだが、その中にはランダムでアビーちゃんもいるのだ。
アビーちゃんが手に入ったら、ラッキーだな〜くらいのつもりでその日を迎えた。
一回目の時には売り切れで買えなかったパンフレットと、アビーちゃんのもっちりシールを手に入れて、開場時間を待った。
パンフレット、インターネットという噂で聞いていたけど、全話の絵コンテが載っていて、すごく豪華だ。もっちりシールは、アビーちゃんの可愛さが全面に溢れていて最高だ。…
そんなアビーちゃんを眺めていたら、開場時間はあっという間にやってきた。
チケットを確認してもらい、私の手に中身の見えない袋に入ったモルカーボールが手渡される。
アビーちゃんだったらいいな…と思い開封すると、本当にアビーちゃんが入っていた!!!!!
普段のアビーちゃんと比べてほぼ球体なのでまるまるとしている。手のひらへのフィット感が最高だ。ゆっくり軽く握ると「PUI…PUI…」小刻みに鳴らすと「PUPUPUPUPUPUPU」とまるで元気よく駆け回っているような音が出る。
「ならせ!」と書いてあるので、上映中は思いっきり鳴らしてあげたい。
物を鳴らしながら映画を鑑賞するというのが、初めての経験だったので、どんなものだろうと少し心配していたが、全くの杞憂に終わった。
いざ上映が始まると、客席にモルカーがいるかのように至るところからPUIPUI聞こえてくるし、MX4D仕様のおかげで、モルカーが走るとまるで自分が運転しているかのように小刻みに椅子が揺れ、パトモルカーが通ると、場内の赤いライトが点滅する。
3話でプールに入るシーンでは冷たい風が顔に当たるし、4話でテディちゃんがゴミを車内に出してしまうシーンは、その衝撃とともに椅子が大きく揺れる。
モルカーを応援したい時には、PUIPUI鳴らせばいいし、曲がかかった時には手拍子をするように、手元のモルカーボールをリズムよく鳴らした。特にミュージカル仕様になっている第9話「すべってサプライズ」と最終話「Let's!モルカーパーティー」の劇場の一体感はお互いが赤の他人とは思えないほど、素晴らしかった。示し合わせたように、鳴らすタイミングがみんな一緒なのだ。
あの日、あの時、あの場所に集まった私たちはモルカーを楽しみたい!というたった一つの確固たる目的だけで、こんなに意思疎通できてしまったのだ。手元のモルカーボールだけでそれを証明してしまった。
やばい、めちゃくちゃ楽しい。
改めて自分の初めてのMX4Dをモルカーに捧げて正解だったと思った瞬間でもあり、セカンドシーズンを心から待ち望んでいる自分がいた。
インターネットでは、すでに13話の幻覚を見ている人の情報を目にするがそうなるのも頷ける。こんなに楽しい経験をしたら、未来でも同じような経験をしたいと望んでしまう。
その日が来るまでは手元のアビーちゃんを鳴らしながら、ファンアートも眺めつつ私も幻覚を楽しもうと思う。