見出し画像

正直者

中学生の頃。
僕と友達は部活帰りに怖いお兄さん「なんだよ!?」と絡まれた。

絡まれたというと聞こえが悪いが「こーゆー車かっこいいよね!」と目の前を通った赤い車に向かって友達が手振りを交えて話していた、その手振りがお兄さんにとっては『喧嘩を売られている。』という解釈になりその赤い車に乗ったお兄さんがやってきた!と言った方が正しいのかもしれない。(ヒェー!!??)

「あおったから来たんだよ!どっちだよ。」とお兄さんが言ってきたから僕は正直に友達を指した。そしたらお兄さんは「オメェか!!」と友達の自転車のカゴを思いっきりミドルキックをし、通りすがる人たちが僕らをいい感じで避けつつこっそりこっちを見てくるのがわかった。
『お願い!さけるのはチーズだけにして。お願い!』
と誰も助けてくれない状況の中、お兄さんの車がカッコイイって話をしてただけだと話しても激おこぷんぷん丸のお兄さんを止めることはできなかった。

この状況をリセットするやり方は教科書にも載ってないし先生も教えてくれなかった、とにかくお兄さんにひたすら謝ったが終わりが見えない。

「名前は!?」
「学校は!?」
「出身は!?」
とお兄さんの事情聴取に正直に答える僕とやや嘘をつく友達。
『そうだ、こいつ結構ずる賢いやつだった。』
と友達の逃げようとする姿勢にむかついた。

「お前、小学校どこだよ!?」
ん?僕?小学校?なんで?僕だけ?ええ?

と疑問に思いつつ、正直に卒業した小学校を伝えた。

お兄さん「オレぇも同じ小学校だよぉ!!(ややキレ気味なトーン)」
僕「あ、そうなんですね。すいません!」
お兄さん「○井って知ってるか?」
僕「いえ、知りません!すいません!」
お兄さん「覚えとけ!二度とあおんじゃねーぞ!」

僕・友達「はいっ!!すいませんでした!」
ブーン(マフラーの音)・・・

正直者は救われました。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?