見出し画像

‟世界最古のオーケストラ” 1200年の時を超える「神楽」と「雅楽」

秋も深まり、年末に向けて日々の忙しさも増してまいりました🍂
すっかり朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたが、お体には十分お気をつけください。

さて、当社では先月に秋季例祭の神賑かみにぎわい行事として、本殿前に特設舞台を設え「雅楽の夕べ」を催し、毎年恒例の雅楽の奉納演奏を行いました。

「雅楽の夕べ」にて御神前で演奏した、神様に捧げる音楽は雅楽ががくといいます。
また、そこで演じられる神楽かぐら」は、御神前で神さまをもてなすために奉納される歌舞です。

今回は目にする機会はあるけどよく知らない…「雅楽」「神楽」についてのお話です!


◆神様のために演じられる「神楽かぐら」 

神楽は、神事において神に奉納するため奏される歌舞です。

神楽の語源は、「神を降ろす場所」という意味の「神座(かみくら・かむくら)」が転じたもの。

神座かみくらに神々を招き(降ろし) 祝福することで、巫女が人々のけがれを祓ったり、神懸かりをしたりして人々と交流するなど、神座かみくらは「神人一体の宴の場」であり、そこで舞われた歌舞が「神楽かぐら」と呼ばれるようになったとされています。

『古事記』『日本書紀』に記される、天の岩戸の前でアマノウズメノミコトが舞い踊り、神懸かりをして魂振たまふり(霊魂を活性化させること)をしたという神話は神楽の原初といわれ、その本質的な役割を示しています。

神楽は神前で神事として奏されるほか、神楽殿のように奏するための特別な場所を用意して、神賑かみにぎわい(神様への奉納行事)としても行われます。

上代から連綿と伝わってきたこの「神楽」は、平安時代にその形が整えられ今に続いています。


◆現在の神楽

現在の「神楽」は、大きく3つに分類されます。

1.上代から伝わる日本固有の歌舞である「国風歌舞くにぶりのうたまい」の一つとして、宮中祭祀で奏される雅楽の「御神楽みかぐら

2.祭礼の中で雅楽器を用いて奏される祭祀舞さいしまい

3.篠笛や能管、太鼓を用いた民間の里神楽さとかぐら


残念ながら民間の私達が、宮中祭祀の中で奏される「御神楽」を見ることのできる機会は殆どありませんが、宮中の音楽団である宮内庁式部職楽部の演奏会などで時折目にすることが可能です。

祭祀舞は、近代に整えられた神社の御神前で舞われる舞を指します。
私達が見ている神社の「神楽」は概ねこの祭祀舞のイメージかと思います。

神職の養成機関でもある國學院大學でも毎年10月に「観月祭」という形で、雅楽や舞楽、祭祀舞の奉納演奏を行っております。


里神楽は宮中の御神楽に対し、各地の神社や民間で奏される「神楽」。

神話をもとに演劇化され、地域差も大きく種類も多様で、地域ごと、神社ごとと言ってもいいぐらいに異なる姿を見せてくれる歌舞です。

近年は神社のお祭りなどで参拝者向けに演奏されることも増えました。
ぜひ足を運んでいただき、その奥深さを味わっていただけたらと思います😊

◆「雅楽」は“世界最古のオーケストラ”

神道や仏教の祭祀と密接なつながりがある雅楽は、古代アジア大陸の諸国からもたらされた音楽や舞に、上代以前から伝わる音楽や舞が融合して日本化した伝統芸能です。

5世紀頃より流入の始まった唐(中国)や高麗、百済など朝鮮半島の歌舞や、その後流入したベトナムやインドなどのアジアの音楽が、古来より伝わる日本の伝統音楽と融合しながら統一の体系化がなされ、10世紀頃、平安時代に現在の形に成立したと言われています。

宮中を始めとする神社祭祀と密接に関わり、皇室の庇護を受けながら1200年の時をかけて日本人の感性に研ぎ澄まされ、今日まで伝承されている雅楽は、言うならば “世界最古のオーケストラ”

日本の有形無形の伝統文化を内包し、日本を代表する音楽でもある雅楽は、重要無形文化財(芸能)にも指定され、国家の庇護のもと発展していきました。

2009年にはその歴史と高い芸術性を世界から評価され、宮内庁式部職しきぶしょく 楽部がくぶユネスコ無形文化遺産にも登録されています。雅楽は世界的にも認知されている伝統芸能なのです…!

今も雅楽は、宮内庁の式部職楽部に所属する楽師を中心に守られています。

宮中祭祀における式楽を中心に奏楽を奉納し、国賓や陛下ご臨席の迎賓会での演奏なども務めるなど天皇陛下の随意のもと、皇室をあげて雅楽の伝承に勤め、1200年続く伝統文化を守っているのです…✨

◆継承し、広がり続ける「日本の伝統芸能」としての「雅楽」

当社でも教化活動として、小野雅楽会おのががくかいという創立135年の民間最古の雅楽団体を主催しています。

「小野雅楽会」の活動は、当社の御祭神「芸能・芸術の神様」である小野篁公の御神徳に由来しているもの。

毎年9月23日には本殿前に特設舞台を設営し、「雅楽の夕べ」として秋季例祭の神賑わいの奉納演奏も行い、芸能活動として雅楽を、伝統文化をお守りしています。

小野雅楽会は、毎年10月後半に行われている國學院大學の生徒さんが100人規模で祭礼の奉仕を行い、雅楽や神楽を納める「観月祭かんげつさい」の指導という形でも、伝統芸能の継承に取り組んでいます。

今月の御朱印にも雅楽のモチーフが…♪

「秋奉」特別御朱印

近年ではさまざまな演奏団体によってコンサート形式でも演奏会が開かれる雅楽。

日本の伝統芸能としてだけではなく、私たちの身近な音楽としても注目してみてくださいね🎵

いいなと思ったら応援しよう!