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焼きそばの果てしなき旅【その7・めん亭はるもと後篇】

いきなり本題からは逸れるが、ソース後がけ焼きそばと云うのがあるのをご存じだろうか。僕が認識する中では2タイプあって、ある程度味付けがしてある焼きそばに更にソースなどを後がけしてカスタマイズするタイプ。そしてもう一つは全くソースなどの味付けはしていないブランクな焼きそば(具は入っていたり入っていなかったり)にソースなどで初手から自分の好みで味付けをするタイプ。後者は札幌の『焼きそば屋』と云う明快な名前のお店で2018年に体験した。

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この通り白い、と云うか黄色い。味なし焼きそばと謳われているくらい全く味付けがない。ある意味究極であろうかとも思う。

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卓上のこうした調味料で各自味付をするシステム。

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ウマウマウー。この場合調味料は加熱されないことになる。焼きそばの妙味がソースなどが炒められて香ばしく感じられることにあると考える向きにはヒジョーに物足りなく感じられることと想像する。ただ僕がこの焼きそばで一番心揺さぶられたポイントは、麺そのものの味わいや食感などの持ち味がストレートにダイレクトに伝わって来ることだった。

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焼きそばの麺自体を存分に楽しむためには麺以外の要素が少ない方が良いと云うのは自明の理。世の中にはそうしたソース後がけ味付けは各自でと云う焼きそばが複数存在する。最近知ったのは大阪の今里焼きそばと云う焼きそば。まだ食べたことはありません。詳しくはここでは触れないが、ソース完全後がけタイプ。その具にちょっと心惹かれた。牛肉と玉ねぎ。これはやってみよう。こうして札幌のインパクトから大阪のアイディアを経て名古屋の『めん亭はるもと』の麺でそれを再現するという壮大な(でもないか)ソース後がけ焼きそばが自宅のキッチンで実現することとなった。前フリが長くてすみません。

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試作№006。なかなかイイじゃないか。味付けは軽く塩コショウのみ。

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全国の様々なソースがウチにある。色々試すことが可能だが、ここはやはりコーミソースで行ってみよう。

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ウマイ。とってもウマイ。ウマウマウー。心からウマイと思う。牛肉と玉ねぎの旨味と、加熱されていないソースのスパイシーさが麺の持ち味を最大限に引き出していると思う。どうだ。どうだどうだ。ソース後がけ焼きそば。ここでまた余計なことを考えた。ここから具材を抜いて、旨味は他のもので代替して、シンプルに麺をあじわえないだろうか。

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試作№007。ラードで炒めて、塩と旨味調味料だけで味付けした。我ながらスゴイところに入って来たと思う。

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ウマイ。でもまだもっとこの麺の魅力を引き出せるかも知れない。

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試作№008。ラードを使わずにサラダ油を使用。味付けはまたもや最小限。

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ウマイ。ウマイけれどもう少し突き詰められないものか。その時、閃いた。

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試作№009。バター炒めにしてみた。バターはあまり加熱せずに溶けたところに麺を絡めた程度。ほぼバター和え麺となった。焼きそばからはかなり離れた気もするすみません。

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ウマウマウー。この麺の美しさ。美しさは味に通じる。小麦粉がマエストロの手によって麺になる過程で様々な音色をその中に内包し、こうして焼きそばとして調理されることでメロディーになる。シンプルなメロディーだけど歌い回しは精緻にして複雑。麺を噛み締めると歓びも切なさも全てが解き放たれる。焼きそばの世界の涯にやって来た。ちょっとエッジが過ぎるので少し戻ろうか。

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試作№010。ふたたびソースの出番だ。具ナシ。ここまでの様々な手法(大袈裟な)を駆使してソース焼きそばに戻ってみた。

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麺は軽く下ゆでして、水で締める。その麺をかなりしっかりと焼き付けてみた。パリッとした表面とともっちりした部分が混在してとても美味しくなった。味付けはまたも控え目に。心にじんわりと沁みる味わい。これだね。ウマウマウーめん亭はるもとの麺でこれだけの旅が出来た。深く深く感謝。シロウトだけどこれからも焼きそばを究明して参りたいと思います。

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番外の試作№011。カルボナーラ風にしようと思って玉子に火が入りすぎてしまった。やれやれ。

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でもこれはこれで昼食として大満足だった。ウマウマウー。ストイックでもスタンダードでも思い付きでも何でもアリ。焼きそばは自由だ。自由であり続けたい。

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焼きそばの果てしなき旅はまだまだ続きます。

焼きそばの果てしなき旅【その1】
焼きそばの果てしなき旅【その2】
焼きそばの果てしなき旅【その3】
焼きそばの果てしなき旅【その4】
焼きそばの果てしなき旅【その5】
焼きそばの果てしなき旅【その6・めん亭はるもと前篇】

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