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回復させる生き方

お盆には移住した友人を訪ねて京丹後へ。京都駅から電車で3時間の山奥である。

京丹後市は昔丹後ちりめんと漁業でめちゃくちゃに儲かり、そのせいで賭博文化が発達しパチンコが産まれ、バブルの時には自殺率全国1位になった街だ。

現在は豊かな自然と食文化と海と温泉がウリで、若い移住者を招致している。

その、移住して来た若者のうちの1人が中川圭くんだ。

彼は写真家でもあるのだけど、もともと東北出身で、東京で庭師をしていて、皇居のお庭を切ったりしていたらしい。激務に疑問を感じて辞めて、島根で有機農法を学んで、知り合いに「圭くんにぴったりの土地があるよ」と勧められて、そのまま京丹後に来た。

彼が暮らしているのは、この250年前から(!)残る、古い古い、茅葺き屋根の民家である。

「もともと行政が保全していたんだけど、何に使われているわけでもなくて、完全にお荷物になっていたんだよね。けど僕はどうしてもここでなんかやりたくて、地域おこし協力隊として移り住んで、管理権を引き取ったの」

山の中腹にある、このだだっ広い土地に、4棟ある見事な茅葺き屋根の家を、圭くんは自分で修繕し、草を刈り、電気を引き、トイレとお風呂をデザインし、大工さんを呼んできて作ってもらい、野菜を育て、牛を飼って暮らしている。

職人さんを呼んで葺いてもらった茅葺き屋根。

牛。温厚そうなので手なづけようと思ったらこの直後思い切り頭突きされた。

「初めてこの場所を紹介してもらった時さ、電気がビリビリビリって身体中を走ったんだよ。”ここだ!”って思ったね」

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