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自分が生きたいと思える場所を考える機会に―池上沙衣さん【卒業生インタビュー】

舞台は広島県尾道(おのみち)市。昭和レトロな街と、瀬戸内海の島々を結ぶサイクリストの聖地「しまなみ海道」などで知られています。

尾道市若者チャレンジ講座(以下若チャレ)は、地域で何か挑戦してみたいひとを対象に、まちづくりのプロフェショナルをアドバイザーに迎え、月1回×6ヶ月間で企画立案~実施までをおこなう活動です。

若チャレは今年で7年目を迎え、今までに60名以上の卒業生を輩出してきました。この記事では、過去の受講生にインタビューをおこない、若チャレに参加したきっかけや、講座の感想、現在について話を伺います。

今回インタビューさせていただいた人 
・池上 沙衣 (いけがみ さえ)さん
・7期講座(2021年)卒業
・最終発表タイトル「尾道に来て、はじめてみたこと、やってみたこと」 

参加した動機は?

その当時は尾道市地域おこし協力隊として勤めていて、活動の一環として参加しました。いろんな人と繋がれたらいいな、とも思っていました。

地域おこし協力隊の活動で、海釣りも体験!尾道を知って、伝える活動をされていました。

受講中のエピソードを教えてください。

ゆる部活という名前で、お試し的にやってみたいことをやってみる時間もありました。

ゆる部活に参加したときのことが印象に残っています。

ゆる部活とは?
若者チャレのOB/OGがそれぞれ部長を務め、広島県尾道市内でゆる~く行っている活動のこと。コーヒー部や、坂登り部など多種多様。若者チャレンジ講座受講生たちの、プロジェクトの実証実験の場としても使われています。

市内の街歩きをするゆる部活だったのですが、そのときはカメラ関連のプロジェクトを企画した講座参加者の実証実験を兼ねての活動でした。

地域に詳しいOG/OBの方と街歩きをしたので、尾道の知らないことを聞けて楽しかったです。私がただ一人で商店街を歩くだけでは出会えない人とも、OB/OGの紹介で知り合えたりもしました。より深い話を引き出したりもしてくれたので、初めて知り合った地域の方々と一気に深い話ができることがよかったです。

参加してみてどうでしたか?

尾道で何かしたい人と思っている方が結構居るということを知れたこと、そして実際に地域で活動されている方を訪問して繋がりが持てたことがよかったです。若チャレのチューターの方も、以前に若チャレ卒業して、そのまま地域で何かしている人だったので、そういう方に出会うきっかけにもなりました。

参加後の予定は?

滞在先のオランダ、アムステルダムの日常。池上さんが憧れていた場所。

尾道市地域おこし協力隊の任期が終了し、2022年6月末からはかねてから興味があったオランダでワーキングホリデーをしています。もともと海外が好きで、「海外に行きたい、働きたい。」と思っていたんです。

若者チャレンジ講座の受講当初も、海外に関連することをやりたいと思って「地域の人と外国人観光客向けのガイドをする」というプロジェクトを検討していました。ところが、途中で方向性を変える必要が出てきてしまったんです。

最終発表をどうするか悩んでいたところ、「地域おこし協力隊の期間でやったことをまとめてみたら?」というアドバイスを運営の方からいただき、自分なりにいままでの活動を10個にまとめました。

池上さんが最終発表会で紹介された「1年間の活動でやった10個のこと」

結果的に活動を振り返る良い機会になりましたし、「とりあえずやってみたら意外とできることがある」と気づくきっかけにもなりました。そして活動を振り返ったことで、自分の今後の方向性も決めることもできました。

若チャレや地域おこし協力隊の活動で移住者の方々から話を聞く機会がよくあったのですが、「地域が好きで来ました」「尾道で暮らしたいから来ました」という方がとっても多いんです。

話を聞いて、尾道の良さを再認識できた一方で、「自分が生きたい場所ってどこだろう?この人達みたいに(場所を)選択して生活するのっていいな」と感じるようになって…。

1年目の任期が終わる頃が、ちょうど少しコロナが落ち着いたタイミングで。ビザの関係で、年齢的にも行くなら今だ、今行ってみようと思ったんです。そこで1期目の終わりに退任して、以前から興味のあったオランダに行くことを決めました。 

あなたにとって若者チャレンジ講座とは?

池上さんが尾道で活動されるなかでの気づきを発表いただきました。

私なりの表現ですが、「すごくお得だな」と思いました。

若チャレは参加条件に年齢制限がなくて、活動も月1回。尾道でやりたいことがあれば、市外の人でも参加ができます

地域と関わる仕事となると、その地域内の企業や役場で働くか、地域おこし協力隊などの短期職務を得て働くぐらいで、あまり選択肢がありません。個人で地域と関わろうとすると、どこにアプローチしていいかわからないひとも多いのではないでしょうか。

若チャレのいいところは、講義のなかで地域で活発に活動されている方や、活動のサポーター、アドバイザーの方と繋がれることではないでしょうか。その方々を通して、短期間で地域のひととつながって、ディープなところも知ることができます。

さらに自分のやりたいことをブラッシュアップできて、活動を一緒に取り組むメンバーとも出会えます。しかもそれが無料なので、地域で何かやりたい方なら参加しない理由が見つからないと思います。

尾道のように海、山、街、サイクリングなど、人が来訪する要素をたくさん持っている地方都市ってなかなかないので、そういう特別な場所で開催される若チャレってすごくいいなと思いました。

尾道に来る以前、地域おこし協力隊以外にも、地域活性に関わるチャンスを探したことがあるんです。でも「ローカルビジネスに関心がある人」対象のイベントや情報が多くて。私の場合、知らない地域で即ビジネスと言われてもピンとこなかったんです。

若チャレは起業しないといけないものではなので、地域と関わるにはすごく手軽でいいなと思います。もし地域おこし協力隊してなくても、若チャレを見つけていたら参加したいってなったんじゃないかと思います。

反対に若チャレは大きなビジネスを始めたい人には向いていないけれど、気軽に地域と繋がりたい人にはちょうどいいと思います。月1回の講座で、自分のやりたいことを形にするかどうかも、自分自身に委ねられているので。自分のペースでできたのも、私にとってはちょうどよかったですね。

※池上さんが地域おこし協力隊の任期中に立ち上げ、運営をされていたnote『尾道ぐらし』はこちら。移住を検討される方に人気のページです。

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