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音楽ストリーミングのリリース前に簡単にできる特典キャンペーン - ソーシャルアンロック

楽曲をデジタル限定でリリースすることが増え、これまでのCDのときに行っていたキャンペーンをデジタルに置き換えながら、ファンと盛り上がりを作っていくことを皆さん試行錯誤されていることと思います。
私は3年ほど、レーベルなどでデジタルのディストリビューションなどに携わっていますが、いろいろ単純作業と脳みそを使う仕事があって大変ですよね。楽できることは楽したいので、楽できそうなツールを試したりしています。

画像1この記事ではその中でもCD時代の「予約特典」「購入特典」にあたるものを、簡単に【無料で】行えるツール:Feature.fmをご紹介します。手間のかかる作業をツールを使うことで簡略化し、もっと別のことに時間と脳みそを使ってみんなでレベルアップしていこうぜ!というものです。

TuneCoreを利用しているインディペンデントアーティストの方でも利用できますので、ぜひご活用ください。
ストリーミングにおいて重要な長く聴かれる環境を作るためには、Spotifyの公式プレイリストを狙うよりも有用なのではないかと思います。

ネット上でもよく解説されているような前提のお話を挟むので、わかってるよ!という方は下の「本題」まで飛ばしてください。

ストリーミング時代のリリーススケジュール

本題の前にですが、現在デジタルリリースを行うにあたり、情報解禁(プレスリリース含む)の仕方が2パターンあると思います。
・事前に情報解禁をする
・当日もしくは配信と同時に情報解禁する(サプライズ!)

ここで今回は前者に絞って、例えば〇週間前の情報解禁を行うケースでの「目的」を考えてみましょう。
CDの場合の情報解禁は「予約をとるため」という目的が多かったと思います。予約が初回プレス枚数を見積もったり、店舗へのイニシャル数を決めたりする材料になります。予約を集めるために特典の情報を発表したりもします。

それでは、ストリーミングで事前に情報解禁を行う目的は何でしょうか?

CD時代からの慣習でなんとなく事前解禁をしていて、リリース日まで時間が空いて忘れられる、というのでは勿体ない!
では当日のサプライズリリースが良いのかというと、必ずそうでもない。いろんなケースが当然あると思います。
せっかく事前に情報解禁をするのであれば、リリース日までに多くの人に届けるための準備をしたいですよね。じゃあ「予約をとる」ようにしましょう!

ストリーミングの予約とは

画像2このようなものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。(参照:HANCEさん)
通常の配信まとめリンクとは違い、ボタンにPre-save, Pre-addと書かれています。
※上記参照リンク先はリリース日2021/5/26以降は通常のまとめリンクになります

SpotifyはPre-Save、Apple MusicはPre-addという名称で、予約機能を提供しています。
これはリスナーが登録するとリリース時に自動で自分のライブラリ/お気に入りに楽曲が登録されるというもの。iTunesなどで事前に予約購入をすると当日自動でDLしてくれる、というものが昔からありますがそれと同じイメージです。
BREIMENさんのツイートがわかりやすいです。

リスナーとしては、検索して探さなくても、自分のライブラリを見に行けば良くなります。

そして、アーティスト側のメリットとしては「リリース直後にライブラリに登録する人が多いってことはこのアーティスト人気なんだな…!」ということがサービス側のアルゴリズムに好影響を与える!と…いわれています。その結果、新しいリスナーのおすすめ欄などに現れるかも。あくまで「いわれています」「かも」なのですが、そのリスナーがライブラリを眺めたときに目に入る可能性がシンプルに増えるわけなのでデメリットはないですね!

しかし、リスナーにとってはひと手間であり、メリットもあまり体感しづらい(結局検索すりゃいいし、ライブラリ入ってたってわたしは検索する)ということもあり、レーベルではこの予約を集めるために「予約完了画面のスクショをDMで送ってくれたら/ハッシュタグでツイートしてくれたら、〇〇をプレゼント」という特典キャンペーンをとっている所も多いのですが、いかんせん対応する側はマンパワー。応募がどしどしと来るような規模の大きいアーティストでやるのは気が遠くなります。

やっと本題になりますがこれを自動化できるツールをご紹介します。

本題:Feature.fmについて

早速ですが、こちらが実際に作成したものです。
Spotify用
Apple Music用
ブラウザであなたの利用しているSpotifyかApple Musicのアカウントにログインし、登録をすることになります。

新潟のアイドルグループRYUTistの新曲、君島大空さん作詞作編曲の「水硝子」を例に利用しています。せっかくなのでこの記事のBGMとして聴いてください。

今回は「Spotify / Apple Musicのライブラリに事前登録」をしてくれたら「YouTubeの動画に移動する」というものになっています。
このように【「A」してくれたら「B」できる】という仕組みをソーシャルアンロックと呼ぶそうです。ソーシャル(SNS等)のアクション(鍵)で何かをアンロックするということですね。

今回はリリース済の楽曲なので即ライブラリに登録されていると思います。
リンク先の動画も公開されているものですが、これを限定公開の動画にすれば特典になります。リンク先はURLを自由に設定できるため、申込フォームでも、DLリンクでも、なんでもござれという感じです。

同様のサービスができるものはtoneden、Presave.ioなどが存在しますが、実際に登録してみたところ、今回のようにA(鍵)にあたる部分にPre-Save / Pre-addを無料プランでも設定可能なサービスはFeature.fmのみだと思います。

Feature.FMでも課金すればこちらのSKY-HIさんのように両サービスを並べられるようです。1リンクに対して$50でこの機能を解禁するか、月額課金になります。
リンク2つ程度でしたら一つのツイートにも収まりますし、無料でもいいんじゃないかと思っています。わかりやすいですし。
(プランのページを見るとフリーで今回の機能にあたるaction pageは作れないように書いてあるのですが、謎です。仕様が変わるかもしれません)

リンクをつくろう

Feature.fmにアクセスし、「GET STARTED NOW」から会員登録しましょう。

画像3

画像4上の「I’m artist」を選択してください。下の選択肢では複数アーティストを抱えることができますが、今回の目的のリンクを作成することができないようです。

画像5検索窓にアーティスト名を入力。Spotifyのデータを結びついているようです。
SELECTし、次のページでアーティスト情報を確認し「Save and Get Started」。

画像6プランを訊かれます。
フリートライアルは期間付きのお試しになりますので、その状態でハイレベルなリンクを作成しても期間が終わると使えなくなるはずです。一度押してしまうとトライアルが始まり、どの機能が上位プランの機能かわからず、ややこしくなってしまうと思いますので左上の×ボタンを押して逃げましょう。

いよいよ作成です。トップページが現れました。

画像7「ACTION PAGES」のタブを選び、「+」ボタンか「Create Action Page」を選択。

画像8作成画面です。
What action would you like the user to take ? ユーザーに何してほしい?と訊かれています。
無料状態では前述のA(鍵)の部分を下記の選択肢より選ぶことができます

Spotify
・Pre-Saveの登録
・既発作品のライブラリ保存
・アーティスト/ユーザー/プレイリストのフォロー

Apple Music
・再生
・Pre-Addの登録
・既発作品のライブラリ登録
・プレイリストのライブラリ登録

画像9SpotifyのPre-Saveを例に説明します。「Next Step」をクリック
次のページの項目について

Release Date
リリース日です。0時は12:00 AMになるのでご注意を。

Spotify URL to Pre-Save
楽曲URLが必要になります。ディストリビューターから事前に入手してください。
TuneCoreを利用している方は、納品後にサービス側での処理が終わった数日後、マイリリースの「配信ストア・配信先」に現れるブランドのアイコンをクリックてください。

画像10

配信日より前にはエラーページが表示されると思いますが、ブラウザのアドレスバーに表示されているURLが作品の直リンクになりますのでコピーしてください。(仕様が変わっていたらごめんなさい)

Button Text / Action Success Message
ボタンに表示するテキストと、成功時に出るメッセージ(お礼ですね)

Include a post action destination URL or unlock
今回一番重要!チェックを入れ、遷移先のURLを入れて下さい。
YouTube限定公開動画だったり、限定壁紙のリンクだったり、限定音源のDLリンクだったり、申し込みフォームだったり、アイデア次第でいろいろできると思います。

Also follow an artist
自動でアーティストのフォローも同時に行うような設定が可能です。チェックを外す理由は無いかと。

Collect fan email addresses
のちにダイレクトメールを送ったりしたい場合はチェックを入れてメールアドレスを入手することもできます。

入力したら「Add Action」
これらの入力内容はappleでも大きく変わりません。
またA(鍵)を「予約」ではない条件にした場合もリリース日の設定がなくなるくらいです。

画像11Page URL
URLの後半を自分で決めることが可能です。

Image / Title
リリース前でジャケット画像やタイトルが自動で紐づかない場合は入力しましょう

Preview URL
視聴用の音源を貼っておくことが可能です。リリース後は実際の配信リンクでもよいのですが、リリース前はどこかにショートバージョンを公開している場合でしたらそれを貼っておくのもよいと思います。
あくまで視聴用ですので、フル音源を貼るとなんだかちぐはぐになってしまうのでご注意。


画像15先に入力した要素を編集したい場合はこちらの歯車マークから行くことができます。

以上!右上のSaveボタンで完成です。お疲れ様でした!!!!

画像13「Get Link」ボタンからURLを入手できますが、各サービス名が書かれたボタンを押すとURLの末尾に識別子を追加し、アナリティクスに活用することが可能です。
必要が無い場合は下のCOPY LINKを。

画像14「YouTube」ボタンで入手できるURLを踏んで来たユーザーはYouTubeから来たユーザーですよとアナリティクスが整理してくれて観ることができるようになりますので、各サービスに貼るURLを使い分けることでどのチャネルからどれだけアクセスがあったかを知ることができるようになります。
このブログで使用したリンクは「Website」のものにしてみました。無料版では7日間のアナリティクスが取得できます。

なお、ファンの方に予約作業をしていただくのは少し難しい部分もありますので、アーティストさん側から簡単な画像や動画で説明をされると良いかと思います。


また、今回のようにアーティスト本人ではなく外部の人間がリンクを作ることもできるので、アーティスト主体ではない、ウェブメディアがプレイリストをフォローしてもらうための企画や、ファンによる応援企画で利用するのもありかもしれません。

私はFeature.fmの回し者でもなんでもなく、役に立ちそうな便利なツールを試してみたという感じですので、何か仕様変更などでうまくいかない部分が出てきたらご容赦ください。
作業自体は簡単ですので、こちらを使ってリリース日までの盛り上がりを作っていきましょう!もちろん、リリース後のキャンペーンとして利用することも可能です。
ぜひ、お役に立てばと思います。

当方、レーベル、ディストリビューターでのデジタルディストリビューション、プロモーションを経て現在フリーです。DM等でお仕事おまちしております

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