[日本ハムファイターズ観戦記] 7/4 もはやハムの外野陣は崩壊している

ソフトバンク 8 - 3 日本ハム

  恐れていたことが起こりました。もう日本ハム・ファイターズの外野守備は機能していません。これまでもうすうすわかっていたことですが、ソフトバンクとの戦いでそれがはっきりと露呈しました。

 1回表、一死後、今宮のHRでリズムを崩した加藤は、続く柳田とバレンティンの連打でたちまち2失点。いつも立ち上がりだけはいい加藤が、立ち上がりに失点です。そして続く長谷川のセンター前に抜けるヒットで、2塁走者のバレンティンが一気に生還し計3失点。センター前ヒットでバレンティンが生還? 普通あの当たりで走者がバレンティンのような鈍足なら3塁に自重するのが当然です。だがホークスのベースコーチは躊躇なく右腕を回して、バレンティンも躊躇なく本塁を狙い、クロスプレーになることもなく悠々と生還した。生還したバレンティンはニヤニヤ笑っていましたが、してやったりという表情にも見えました。なぜか? 西川の弱肩がホークスに見抜かれていたからです。もちろんあの当たりでバレンティンが本塁まで走るはずがないという西川の油断もあったでしょうが、捕球してもいつも山なりのタマしか返してこない西川の肩が弱っている、あるいはなんらかの故障を抱えていることをホークスは見破った。だからあのケースでは躊躇なく走者はホームに突っ込むように、ミーティングで指示したのでしょう。その前のバレンティンのセンターオーバーの2塁打で柳田が1塁から一気にホームインしたのも、処理したのが西川だから躊躇なくいけたのではないか。

 それがはっきりしたのは3回表、決定的とも思える2点を失ったあとの一死1,2塁で、上林のセンター定位置からやや右よりの平凡な外野フライで、走者2人ともタッチアップで進塁を許した場面です。深いライトフライで2塁走者がタッチアップするならわかりますが、あの当たりで1塁走者まで進塁を許すなんてありえない。解説の稲田は「どのチームもあそこに打球が飛んだら迷いなくタッチアップさせるでしょうね」と一般論のような言い方をしてましたが、これはもちろんハム球団や西川に遠慮した婉曲な言い回しで、要は、西川の肩が弱っているのはパリーグの他球団はすべて把握済だよ、ど の球団もどんどん走ってくるよ、と言っているのです。西川はタッチアップした2塁走者(特に俊足というわけでもない長谷川)を刺そうとセンターからサードに返球しますが、山なりのタマが、サードの守備位置のはるか手前に飛んできただけ。横尾が慌てて前に出てキャッチしてましたね。その間に1塁走者の川島がタッチアップで2塁を陥れてましたが、西川が自分の肩の状態を把握していたら、無理せず2塁に返球して1塁走者の進塁を阻もうとするはずです。それをしなかったのは注意深さ、冷静さ、集中力を欠いていたと言われても仕方ない。8回一死一塁、高谷のセンター前ヒットで1塁走者の松田が三塁を陥れた場面も同様です。あんな平凡なセンター前ヒットで、特に俊足というわけでもない松田に易々と3塁進塁を許してしまう。西川の肩が弱く、それを相手もわかっているから、センターに打球が飛んだらどんどん先の塁を狙わせてくるわけです。2日の試合でも、明石のかなり浅いセンターフライで三塁走者が躊躇なく本塁に突っ込んでラクラクセーフになる場面がありましたが、いわば、現役引退寸前のころの金本やラミレスみたいなものと思えばいい。

 ここまではっきりと弱点が露呈し、それを相手球団が執拗に攻め立ててくる。守備そのものも、怠慢とまでは言わないが、注意力散漫で集中力を欠いている。この試合は当然他球団のスコアラーたちも見ているはずで、この日のホークスの攻め方は全球団に共有されたはずです。半信半疑だった他球団も、今後は思い切った走塁を仕掛けてくる。打者もセンターを狙い撃ちしてくるでしょう。当然西川の肩の状態はハム球団も把握しているはずですが、特に対策を講じている様子がないのはなぜか。今ハムの外野守備コーチは、現役時代代打専門だった矢野コーチで、飯山コーチも金子コーチも小笠原コーチも内野手出身ですから、コーチ陣に外野守備のスペシャリストがいない(ファームに紺田コーチがいるだけ)。守備に関しては選手、西川や大田に任せておけばいいと思っているのかもしれませんが、いずれにしろ西川に守備面の助言ができるコーチが誰もいないという状況なんじゃないか。西川は若いころに肩の手術をしていて、もともと肩は強くないですが、我々のようなシロウトにもわかるぐらい最近の弱化ぶりは目に余ります。(ついでに言えばハムの一軍には走塁コーチもいない。ハム球団の守備走塁軽視の姿勢がよくあらわれています)

 かくなるうえはすぐにでも西川をセンター守備から外すべきでしょう。西川のプライドもあるでしょうが、勝利優先ならそれしかない。となると守るなら、陽が移籍するまで守っていたレフトか(センターやライトほど強肩は求められない)。レフトの近藤をライトに回し、ライトの大田がセンターを守る。もしレフトも無理ならDHか、一時守っていた一塁しかない。そのさいのセンターは杉谷か松本でしょう。西川が一塁かDHとなると、中田は外せないので清宮や王の出る場所がなくなりますが、そこは首脳陣の判断でしょう。守備を重視するなら、西川はもうセンターを守らせるべきではない。

 いずれにしろ外野守備の要であるセンターを守り、ゴールデングラブ賞を何度も受賞した西川の肩が弱化し、守備じたいも注意力散漫で集中力を欠いている。もう鉄壁だったはずのハム外野陣は崩壊している。西川の肩が休養や治療でなんとかなるならいいですが、そうでないなら、根本的にハム外野陣を解体・再構築しなければならない。松本をファームから引き上げたのは、首脳陣が西川の肩の状態を把握していたからかもしれません。西川は今オフメジャーを目指すと公言しており、その後釜作りは急務だったわけですが、その時期が思ったよりも早く訪れた、ということかも。

 問題山積みなのは外野守備だけではありません。今日もまた、3回に石井のタイムリーエラーが出て致命的な追加点を取られてましたが、どうもハム選手の足が地に着いていないというか、ふわふわと腰高でどっしりとした落ち着きがないのが気になる。果敢に攻めてのミスではなく、なんてことのない場面でのミスが多すぎる。金子コーチ、飯山コーチという守備の名手が指導しているのにどうしたことか。7/3現在でハムのエラー数は11と、パリーグでダントツの多さです。楽天は2,ロッテは4,ホークスは6なので、守備の差がそのまま順位の差になっていると言っても過言ではない。さきほど、球団全体が守備走塁を軽視した態勢になっている、と書きましたが、そもそも今の監督になってからその傾向は顕著なので、球団の姿勢は監督の姿勢を忖度しているだけなのかもしれません。

(追記)その後、こんな記事がアップされました。

栗山監督は「それは別に今年に限ったことではない。それは分かっている」と話した。その中で、中堅で西川を起用する理由は「ハルキ(西川)の守備範囲で拾えているボール(打球)の多さとか、いろんなことのプラスマイナスでやっている」と説明。球界随一の俊足でカバーできる打球も多い。的確な野球観で外野全体を統率する能力にもたける。もちろん、打力や走力で得点を生む力など総合的判断での中堅起用。だからこそ、チーム全体の歯車がかみ合わないと中堅西川でのプラスアルファの強さが生まれない。波に乗れないチームを象徴するシーンが、主将に集中した。

 話は変わりますが、ホークスの8回の継投には驚きました。無死満塁になって、新人の津森を3連投のマウンドへ。松本の内野安打1本で、今度は勝ちパターン中継ぎの嘉弥真にスッチ。嘉弥真が併殺崩れと内野安打で2点をとられると、今度は今球界一といっていい切り札のモイネロまで投入。ガツンと打たれたり四球を連発しているわけでもないのに、3点とられてもまだ4点差あるのに、貧打のハム相手なのに、慎重になりすぎじゃないでしょうか。最終回はなんと5点差ある状態で守護神の森まで投入。工藤監督は「あそこは(投手を)注ぎ込んでいい場面だった」と言っていたらしいですが、来週からはハムよりもはるかに手強い、投手力も守備力も打撃力も戦術面でも、おそらくパリーグ最強の楽天と6連戦が待っているのに、ブルペンは持つんだろうか。他人事ではありますが、ちょっと心配になってしまいました。

 ともあれ、6連戦もあしたが最後。先発は新人の河野です。連敗ストッパーを新人に託すのは心苦しいですが、なんとか悔いのない、そして今後に繋がる投球をしてほしい。そして野手は、ガンガン打ってくれとは言わない。つまらない守備ミスで投手の足を引っ張るのだけは勘弁してほしいものです。

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