[日本ハムファイターズ観戦記] 7/3 今は雌伏の時(になればいい)

ソフトバンク 4 - 1 日本ハム

 昨日は「今季ベストゲーム」と浮かれてしまいましたが、今日は一転して今季ワーストゲームと言いたいような酷い試合でした。昨日あれだけいい勝ち方をしたのに、それが続かない。良いチームはそれをきっかけにぐんぐん調子を上げていくものですが、それができないのは、やはり弱いチームということでしょう。

 初回、近藤の2塁打と渡邊のタイムリーで、いいカタチで先制。ですがそのあとが続かない。続く二死満塁のチャンスで野村が凡ゴロで追加点ならず。3回は無死満塁で渡邊、清宮、野村が凡退し無得点。4回は一死一二塁で大田、近藤が凡退で無得点。5回は無死一三塁で清宮、野村、宇佐見が凡退して無得点。ここまでなんと残塁10。

 初回の「スミ1」だけで、何度も絶好のチャンスを作りながら拙攻に次ぐ拙攻で一向に追加点が入らない。こういう試合展開になると、流れは必ず相手チームに行く。それは長いこと野球を見ていれば誰でも知っている鉄則のようなものです。案の定、それまで5回散発3安打無失点と抑えてきた有原が、無死一三塁のチャンスを逃した直後の6回表に突如崩れます。先頭の栗原がヒット、今宮が送って、柳田のタイムリーで同点。そして続くバレンティンに初球の甘いスライダーをレフトスタンドに持っていかれて、あっという間に逆転。ハムがあれだけ塁上を賑わせ攻め立て続けて無得点なのに、この回、たった7球で3点を失ってしまいました。柳田のヒットまではまだいいとしても、バレンティンのホームランは完全にバッテリーミス。同点にされたあとに踏ん張って抑えるのがエースなのに、逆に緊張の糸が切れたのか、いかにも不用意な一球でした。有原は次の回にも緊張感を欠いた不用意な投球で追加点を奪われ(髙谷の2塁打は3球目、牧原のヒットと栗原の犠牲フライは初球)、ダメを押されました。8回までは投げたものの、エースとは言いがたい投球だったことは間違いありません。確かに味方の拙攻に次ぐ拙攻は同情に値しますが、仮にも来季からポスティングでメジャーに行きたいと公言するような投手が、この程度の逆境を耐えられないようではダメです。それまでどんないい投球をしていても、一度リズムを崩すと止めどもなく崩れ続ける。有原の悪い癖は全然直っていません。

 さて問題の打撃陣の拙攻です。清宮、野村のどちらかひとりでも、3回あった得点機で一本打っていればまるで試合展開は変わったはず。昨日の勝利の立役者2人が、今日は一転して戦犯呼ばわりです。しかしこれは仕方ない。まだプロ野球選手としては未成熟で未完成の駆け出し。これから経験を積みスキルを得て成長していく選手たちです。今日のような結果にいちいち目くじらを立ていたら、成長するものも成長しない。もちろん3回と5回のチャンスに経験豊富な杉谷なり横尾なり松本なりを代打に出していれば、結果は違ったかもしれない。開幕から勝ちのないエースにどうしても勝ちを付けたければ、そういう手はあったと思いますが、栗山監督はあえて彼らにそのまま打たせた。失敗しても、その苦い経験が必ず実を結び、シーズンの最後の最後の勝負の時に生きてくると信じているからです。

栗山監督は言う。「今だけを見ていない。日本一になるための逆算。オレはそこへ向かって、やることをやるだけ」。清宮と野村が成長しながらチームに貢献しなければ、異例のシーズンを勝ちきれない。0封負けのさみしい敗戦の中で、唯一の光が、進むべき道を照らしていた。

 これはおとといのゲームの記事ですが、つまりは清宮や野村のような若手が成長し大爆発を起こせば優勝できる(そうでないと優勝できない)、今はそのために我慢して、結果が出なくても根気強く起用し続けて、成長と覚醒を待つ、ということでしょう。そういうことならそれでいいと思います。首脳陣が彼らをファームではなく一軍で育てると決めたのだから、見る側も目先の結果に一喜一憂せず、覚悟を決めて見守るべきです。だから栗山さんのあとの監督のためにも、勝てるチームを作ってほしい。くれぐれも目先の勝負だけ考えてブレないようにしてほしい。今は我慢の時、雌伏の時です。しかし彼らの十分な成長と進化が、果たして今季ペナントレースに間に合うかどうかは大いに疑問ではあります。それまで我々は、そして監督はずっと我慢し続けることができるか。

 しかし「まだ若いから」「成長途上だから」という言い訳が効かない選手もいます。27歳、5年目の宇佐見。巨人から移籍してきて、今は主に有原が投げる時に先発マスクを被ってますが、一昨日の試合では満塁でホームフォースアウトのケースなのに突入してきた三塁走者にタッチしようとして落球し、決勝点を与えるという、中学生でも犯さないようなボーンヘッドをやらかし、今日はバレンティンに不用意なバッテリーミスともいうべき決定的なHRを打たれ、打っては東浜の前に3打席凡退と全くいいところなし。特に5回のチャンスでの打席は酷かった。清宮野村が凡退したあと、初球シンカーに手を出してあっさり一塁ゴロ。前の打席で同じように初球シンカーを打って一塁ゴロに終わった場面のリプレーを見ているようでした。巨人から移籍してきた時は、打撃がいいという触れ込みでしたが、ハムに来てから全くいいところがない。打てないばかりか、前の打席の経験を全く生かせず同じミスを繰り返す。おとといの守備ミスといい、打てない守れないリードもできないじゃ、なんのために一軍にいるのか。そもそもなぜ有原とバッテリーを組むのが清水ではなく宇佐見なのか。有原が指名した可能性もありますが、どちらかと言えば、いろんな選手にチャンスを与えたいという監督の意思じゃないでしょうか。いずれにしろ、ここまで打てない、守れない、学習能力もない選手であれば、打てないのは同様でもまだ捕手としてのディフェンスの基本はしっかりしている石川亮を使ったほうがはるかにマシだと思います。

 今日、唯一良かったのはブルペンを酷使せず済んだこと。明日は加藤の先発なので、よくて5回、へたしたら3回で降板でしょう。なるべく早く先取点をとって試合の主導権を握り、早めの継投で逃げ切るしか勝機はありません。清宮や野村は当然あしたもスタメンでしょう。それはそれでいいですが、良くも悪くも彼らは一生懸命プレイするしかできない。そこをどう勝利に導くか。監督やコーチの手腕が問われます。 

 

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