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[書評] 戸部田誠著『芸能界誕生』『ニューミュージックマガジン 1972年5月号』

 「渡辺プロ」「ホリプロ」「サンミュージック」など、戦後の近代的な芸能プロダクションがいかにして成立したか、終戦後の進駐軍からジャズ、ロカビリー、GSと時代を追いながら、さまざまな関係者の証言から掘り起こした書。大手芸能プロを興した人物の多くは進駐軍相手の楽隊屋上がりだった、とか、日劇ウエスタンカーニバルの話とか。こういう昔の芸能界の話は好きなのでよく読む。「壮絶な舞台裏」と銘打ちつつ、芸能界のブラックな体質や大手プロの横暴や弊害、問題点にはあまり触れられないので、ややきれいごとに過ぎるきらいはあるが、非常に面白い歴史読み物であり、知らなかった話も多く勉強になった。

 そして副読本としてニューミュージックマガジン1972年5月号の特集「日本のロック史を再検討する」を併読すると興趣倍増でした。


 特に福田一郎、ミッキー・カーティス、加藤和彦、中村とうようによる座談会「"色気"があったロカビリー・スターたち」は興味深く、ロカビリー時代から現場にいた福田先生と当事者だったミッキーさんの証言は貴重。エルヴィス・プレスリーと電話対談した時の話など面白い。ロカビリースターへのファンの熱狂ぶりはGSなど比較にならない、という話も出てくるが、そういう熱狂はジャニーズに受け継がれたのかもね。頭脳警察のパンタが次代の大スターかも、というミッキーさんの予想?はよく覚えてるが、当たったかどうかは…。年表など資料としても貴重なので、古本屋で見つけたらぜひ。

中村とうようによる特集の序文


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