[野球] 陽岱鋼、FA権を行使 (記者会見映像を追加)

日本ハム陽岱鋼がFA宣言「まだ成長していく」

陽岱鋼がFA権行使を表明 日本ハムに涙の別れ

日本ハム陽岱鋼「1週間くらい考え悩んで」FA宣言

【日本ハム】陽岱鋼がFA宣言!「野球人生は1度しかない」

 半ば予想されていたこととはいえ、いざこういう事態になると寂しいし悲しいとしか言いようがない。日本シリーズ直後から残留したいと意思を表明していたものの、陽自身も、チームを去らざるをえないと覚悟していた節がある。それでも北海道にもチームにも愛着があり、直前まで悩みに悩んだというのは本音だと思います。

日本ハムへの残留の思いについては、若手中心のチームであることに触れ、「自分がいたらおかしいなと思う」と話した。

 まだ29歳、野球選手としてこれから脂が乗ってくるはずの陽から「自分がいたらおかしい」なんて言葉が出てくること自体がおかしい。そう思う人も多いと思います。たぶん球団からは、これから若手中心に切り替えていくことになり、もう特別扱いはできないし、今年の成績では年俸も上げられない、ぐらいは言われたと思います。陽の希望は複数年契約だと思いますが、おそらく球団としては野球選手としての陽は既にピークアウトしていて、これから先の伸びしろは期待できない、複数年契約はデメリットが多すぎるという判断なのでしょう。確かに陽はここ数年ケガがちで、肩や足の衰えもある。特に盗塁王をとった2013年以降の足の衰えは顕著でした。野球選手の基本は足=下半身がしっかりと動くかどうかですから、これはかなり痛い。バッティングもムラがあり調子の波が激しすぎて計算しづらい。守備では依然球界最高峰の技術がありますが、年俸2億という待遇に見合う働きは期待できない。なのでFA時期を迎えても引き留める動きがなかった。もちろん球団の出す条件をすべて呑めば残留できるでしょうが、陽にだってプライドも生活もある。つまりは実質的に戦力外のようなものでしょう。過去、森本も、小谷野も、鶴岡も、生え抜きの中堅選手たちがそうやってチームを去っていった。ついこないだの吉川だってトレードという形ですが、チームに不要という判断をされたから放出されたわけです。

 つまりは陽は自分から新天地を求めて積極的にFA権を行使したのではなく、行使せざるをえないように球団側から追い込まれた。極端な言い方をすればそういうことになるでしょう。大田のトレードも、陽をFAに追い込むことになった。ですがそういう球団のやり方は、反面、チームの中に余剰戦力を置かない、つまりまだ動けるのに使わない=飼い殺しにはしないという方針でもあります。金にあかせて片っ端から長期契約を結び、ボロボロになって絞りカスになるまで使い潰し飼い殺すようなやり方はしない。以前金村曉が阪神に放出された時もそうでしたが、まだ野球選手として高く売れるうちに自由の身にしてあげようという心遣いがある、とも言えるわけです。戦力外→自由契約ではなく、FA宣言で高く売れるような余力を残したままリリースして、次の若手に切り替えていく。それがファイターズの方針です。

 選手が30歳近くなりプロ野球選手として完成の域に近づいて、年俸もそれなりにあがっていくと、費用対効果の問題が出てくる。使える総予算が決まっている日本ハムファイターズ球団はそこがシビアなので、費用に見合わない中堅やベテランは容赦なく放出され、空いたポジションを若手に競わせる。つまりファイターズはチームとして完成されることが永遠にない。いつまでたっても工事中の渋谷の街のように、いつまでたっても完成途上のチームなわけです。なので連覇が期待できない、というよりは狙わない。常勝チームを作るのではなく、常に新陳代謝して流動的な若いチームで居続ける。そういう方針なんでしょう。

 一方で同じ中堅・ベテランでも、なにがなんでも引き留める選手もいる。最近では大野や宮西がそうだし、稲葉や金子誠もそう。彼らは厚遇でチームに残留させた。メジャー帰りの田中賢介を呼び戻したことも同じでしょう。だが小谷野や森本や陽は切り捨てた。その違いは、将来の幹部候補としてチームが考えているかどうか、ではないでしょうか。大野や賢介や宮西は将来の監督やコーチとして見込んでいるわけです。それは必ずしも選手としての実績や実力だけではない。チームに忠誠心があり、トップとしてチームを統率するだけの器であるかどうか、ということもあるでしょう。

 チームがそういう方針である限り、我々ファンはそれを受け入れるしかない。陽の個人的なファンは悲しくて寂しくてやりきれないでしょうが、ファイターズはそういうチームなんです。陽がいなくなった後釜は岡や大田や淺間がポジション争いを繰り広げるでしょうし、それを楽しみにするしかない。それがいやなら、ほかのチームを応援するしかないのです。この性急な新旧交代のサイクルがうまくいかなくなって、5年も6年もBクラスに沈むようだと方針も変わるかもしれませんが、10年で5度の優勝、2度の日本一なら十分ですよね。

 ただし選手はどうでしょう。実績十分の先輩たちが容赦なく切られていくのを目の当たりにして、自分だけは別だと思える選手は少ないはず。ちょっとでも衰えたら自分も切られる。西川も近藤も中島も若いうちから一軍に抜擢された分、FA取得も早い。促成栽培の野菜のようにどんどん育てられ出荷されていく。これからは選手の新旧交代のサイクルは、どんどん早くなっていくでしょう。

 明るく、手足が長くすらりとして、走攻守すべてが派手で華があった陽は、スーパースターの名にふさわしい選手でした。9/21ホークス戦1点リードの9回裏二死2,3塁、江川の大飛球を背走に背走を重ねスーパーキャッチした超超超ファインプレーがなければ、日本一はおろかリーグ優勝もなかったはず。先日TVで珍プレー好プレー番組をやってましたが、プレーの難易度もさることながら、チームの優勝に直結したスーパープレーという意味で、今年あれ以上に価値のあるプレーがあったとは思えない。あんな凄いプレーを大一番でできる。そんな素晴らしい選手の穴を果たして埋められるのか。不安は大きいですが、ともあれ、陽の今後の野球人生に幸あれと祈るしかありません。

 あの涙涙のドラフトから10年。本当によく頑張ってくれました。今までありがとう、陽岱鋼。また、どこかで。

[11/8 追加]

記者会見の映像があがってきました。完全版がなく、いろんな断片的な映像を見比べると・・・

日本ハム「陽岱鋼」~FA権行使!! 

陽岱鋼 FA権行使 退団へ 会見映像

陽岱鋼に事実上戦力外通告⁉︎FA権行使へ

「残りたい、残留したいと最後まで球団に言ったけど、チームは若い選手中心になるから、来年の戦力構想に自分の名前がないと言われた。球団の予算のこともありますし、そこで自分がチームに残るのはおかしいと思った」(大意)

こんなに悲しくて寂しいFA会見はない。陽は頭のいい子で、球団の方針をよくわかっているから、言いたいこともこらえ、泣きたいのをこらえながら、ただ精一杯の笑顔を作るしかない。

ハムはそんな球団だと頭では理解できても、感情はまったくついていかないですよ。今後もこんなことが続くんだろうなあ。

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通りすがりのヨッパライ。主に音楽に関する文筆業。野球はファイターズ。