[日々鑑賞した映画の感想を書く]「ロード・オブ・カオス」(2018年 ジョナス・アカーランド監督)(2021/7/25記)

 ノルウェーのブラックメタルの創始者メイヘムに起こった実話を元にした映画。音楽をシガー・ロスが担当している。スカイ・フェレイラも女優として出演。

 かなり良質な、切なくて悲しい青春映画だった。殺されてしまう主人公のモノローグで終わりまで話を進ませることで、ラストの救いのなさは少し軽減されるけど、やはり非常に気の滅入るお話ではある。

 自殺したデッドのように死に取り憑かれてダークサイドに落ちていく感じもわかるし、仲間内でエスカレートして止めどがなくなってしまう感じもわかる。ここで描かれるブラックメタルの暗黒面はロックという音楽の、あるいは思想の、めちゃくちゃ極端ではあるが、ある一面を象徴していることは間違いない。そういう意味で全然他人事とは思えない感じだった。

 自らの煽りで周りの行動がどんどんエスカレートしていく様子を見て逆に怖気付いてしまう主人公は、もうひとりの私たちなのだ。

 私が見たアマプラの配信はモザイクがかかっていて描写の過激さは少し柔らかくなっているようだが、それでも目を背けたくなるような残虐なシーンが次々に登場するのでご注意を。無修正版のブルーレイも出るらしい。(2021/7/25記)

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