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父は釣り師。

子供の頃、よく父が家で魚を捌いていた。
普段は料理をほとんどする事はなく、たまに母が不在でナポリタンを作ってくれた事があったけれど大ぶりザク切り半ナマの玉ねぎが入った父のナポリタンは私は嫌いだった。

だが魚は別。母の故郷である茨城県へお墓参りに行くと、帰りに必ず大洗にある市場へ行き魚を買ったり、一緒に釣りへ行ったりして、それを父が上手に捌くのをよく見ていた。
幸い、魚の内臓が気持ち悪くて見られないタイプの女子ではなかった為、食い入るように見ては、切りたてのヒラマサをよくつまみ食いさせてもらっていた。

今年は父の日に妹と一緒に酒のつまみセットを買って送った。すると父からこんなLINEが入った。
「ありがとう!いつも何もしてやれなくてごめんね!」
LINEを送ってきた相手が父でなければ、誰かの為に何かをしてあげたいなんて、おこがましいこと考えなくていいんじゃない?なんて返していたかもしれない。だが、流石にね、お父さんにそんなこと言えないし、そもそもそんなこと思ってもませんが。

父が私に何をしてくれたか、何もしてくれなかったのか、どう感謝してるとか、もっとこうして欲しかったとか、それは小っ恥ずかしいのでここに書く気はありませんが、少なくとも私がイカを捌けるのは父のおかげだ。

よく見ていたおかげで、魚は数年前に金沢で買った小鯛を裁こうとして手を切って以来避けているが、イカなら完璧に出来るような気がしている。多分。何が完璧か知らないけど。

私ももう35歳になるし、運良く優しき働き者の旦那もいる。元気に育っただけでも感謝感謝なので、何もしてくれなくていいから、父には長生きして欲しいと思うのでした。

でも、あわよくば新しいオーブンレンジを買って欲しい。

ちゃんちゃん。

#コラム #家族 #料理 #市場 #父の日 #趣味 #日記

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