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#建築 記事まとめ

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建築系の記事を収集してまとめるマガジン。主にハッシュタグ #建築 のついた記事などをチェックしています。
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#建築家

フランク・オー・ゲーリーのマネジメント論

こんにちは。santas代表の宮崎です。 今回は、ハーバード・ビジネス・レビュー2023年7月号に掲載された『建築家フランク・ゲーリーのプロジェクトマネジメント』を拝読して、建築業界に限らず、様々な分野で応用できそうな内容でしたので紹介します。 フランク・オー・ゲーリーとは? フランク・オー・ゲーリーとは、カナダ出身の建築家で、現在はロサンゼルスを拠点にして世界中で活躍する建築家です。彼の作品は波型鉄板や金網、合板などの工業用素材を使って、複雑で独創的な形態を表現すること

「地域社会圏」は”パリピ”の集い?

「パリピの考え方だね」 山本理顕+仲俊治『脱住宅』を読み、夫(建築とは関係ない仕事をしているが、同じ藝大出身)にその概要を話した。 ちょっと端折りすぎかもしれないが、こんなふうに説明した。すると返ってきたのは、 という反応だった。 「パリピ」。言い得て妙である。 ずっと建築の設計をしている私でも、この本に書かれている暮らし方に若干の気恥ずかしさやためらいを覚えてしまう。確かに自分はできる、でも、誰もができる暮らしなのだろうか。そう疑ってしまう。 夫は、話を聞いて瞬

【建築】神聖さと親しみやすさを併せ持つ聖ベネディクト教会(ピーター・ズントー)

宗教の聖地巡礼があるように、建築にも巡礼がある。対象となるケンチクや建築家、テーマは人それぞれだが、分かり易い例を挙げると、ル・コルビュジエの建築を巡る旅などがあるだろう。 スイスの建築家ピーター・ズントーも巡礼対象の一人といえる。しかもズントー建築の多くは交通の便が良いとは言えない場所にあるので、巡礼と呼ぶにはピッタリなのである。(以前、ノルウェーの2つのズントー建築を紹介させてもらったが、あの旅も巡礼と言えたかもしれない) その中でも多くの人が訪れる建築が、スイス中央

【建築】建築の神様からの贈り物とは? 紀尾井清堂(内藤廣)

「思ったように造って下さい」 何らかの"モノ"をつくるに際して、このお題はすごく難しい。普通はテーマとか要望とか仕様に基づいてつくる。まあそれが多過ぎても困るとは思うが、「自由に」と言われてもねえ...。 この難問を出したのは一般社団法人倫理研究所、挑んだのは建築家・内藤廣、出した答えが紀尾井清堂。 どんな建物? どんな用途? 倫理研究所曰く「機能はそれに合わせて後から考えます」とのこと。スゴっ! プライベートな建物なので内部を見ることは難しいが、以前からこの建築には注目

【建築】未知なる空間の体験、それはKAIT広場(石上純也)

見学する前から本当に楽しみにしていた建築だった。そして実際に期待以上の建築だった。 以前、パビリオン・トウキョウ 2021の企画であるkudan houseのパーゴラ「木陰雲」を紹介させてもらった。その建築家は石上純也さん。個人的には現在の日本において最も頭がおかしい建築家だと思っている。(←最大級の褒め言葉) その建築家による"ありえない建築"が神奈川工科大学に出現した。 KAIT広場 その名の通り学生が集まる広場である。つまり友達と話したり、お弁当を食べたり、一

【TOP INTERVIEW: 建築家 青木 淳】あるべき真の豊かさを求めて。穏やかに戦う建築家

「デザインするときって、できあがるまでずっと結果はみえていないんです」 ― オープンしたばかりの「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店」を見てきました! 街の風景を受け止めながら、浮遊しているというか、静かに溶けているような様子が何とも不思議で、思わず外壁を触ってしまいました。後から「水の柱」がコンセプトと知り、納得しました。 不思議な物体ですものね。波打つように曲げたガラスでできていて、なにやらヌメっと揺らいで見えます。触りたくなりますよね。同じところから見ていても、天気や時

自分の時間を生きる。建築家が豊かに暮らすコツ

僕は「時間」に対して真剣に向き合っているつもりだ。 日々、周りの建築家・デザイナーたちを見ていると、時間の捉え方を曖昧にしているなと感じている。おそらくこれは他の仕事をしている人にも共通していると思う。 世の中に唯一平等なものがあるとしたら、それは「時間」だ。立場や世代、年収や知識に関係なく「時間」だけは平等である。 にも関わらず、「時間」の扱い方が雑な人が多い。そもそも「時間」を自身でコントロールしようとする意識が希薄な気がする。特に日本人は。 当たり前だが、僕の2

建築家/伊礼智×造園家/荻野寿也対談 "設計が生きる造園、造園で変える設計"―書籍「心地よさの ものさし」より

住宅建築で大人気の建築家の伊礼智さん。今年発行した「伊礼智の住宅設計作法Ⅲ 心地よさの ものさし」の見どころの一つは、造園家の荻野寿也さんとの対談です。この中から、住宅設計・建築に対する思いを語っていただいている部分を抜粋して掲載します。―――「心地よさの ものさし」より 内と外のつながりを当たり前に表現する伊礼智さんの住宅設計の見せどころは、周辺の風景や風や緑の切り取り方。庭のあり方が、その住宅を大きく左右します。造園を依頼できる場合は荻野さんにお願いするという伊礼さん。

【建築】階段! Stairs! 階段!

特に階段好きでもなければ、階段フェチでもない。しかし今まで撮った写真を改めて見直していると、階段もかなり撮っていたことに気付いた。 ということで今回は階段コレクション! ニュー・ミュージアム(SANAA) 箱をずらしたようなフォルムの美術館。その内部を貫く階段。最近こういう細長く、天井が高く、奥行のある階段が流行っているなあ。 プリンストン大学アートセンター(スティーブン・ホール) 必要性を感じない吊り構造かつ柔らかいデザイン。手すりに組み込まれた照明も無駄に凝って

【architect】岡山から発信できること|林業|CLT

昨日のnoteで日本における林業の現状を取り上げた コメントもいくつか頂き、林業や建築、環境に対して関心を持っている方が多い事を実感した さて日本の林業において、先進的な取り組みをしている自治体を取り上げたい それが岡山県真庭市である 真庭市の総面積の約8割は森林である かつては未整備により荒廃していた森林を市をあげて少しずつ間伐し整備を進めている 木質バイオマスと言って、製材時に使われなくなった枝葉や端材、樹皮やのこ屑、解体した木材などを使って発電をしている こ

【architect】隈研吾氏に学ぶ

この写真は1991年に完成した隈研吾氏設計の建築『M2』である 時はバブル真っ只中 東京に無秩序にバブルのように、つくられては壊される建築を揶揄するような建築で建築家隈研吾氏はデビューした 『M2』は「第2のMAZDA」の意味で、自動車メーカー・マツダが新商品企画開発の拠点としてつくったビルであるは 世田谷区の環八沿いに堂々と建つこの建築は、古代ギリシャのイオニア式オーダーという柱頭をパロディのように巨大化したデザインである 現在はマツダから売却されて別の所有者になって

第12夜 建築家と構造家の間の議論|TOPIC4 構造設計をするということの役割(金田泰裕さん)

この記事は、よなよなzoom#12:構造家と建築家の間の議論(2020年11月13日)で、ディスカッションされたものを編集しています。 構造設計をするということの役割(金田泰裕さん) 久しぶりに建築の方と話すので、若干緊張しています。ご存知ない方もたくさんいらっしゃるかと思うので、簡単に私が辿ってきた経緯を紹介しようと思います。よろしくお願いします。 構造設計者として独立するまで ©︎yasuhirokaneda STRUCTURE 私は芝浦工業大学建築工学科の丸山

建築家・松村正恒研究と日土小学校の保存再生をめぐる個人的小史  [12]2008年〜2009年:実施設計の進行と完了、改修工事の着工、そして博士論文の完成

 日土小学校の改修の実施設計は、前回書いた奇跡のような出来事が起こり、保存関係者で行えることになった。  市との契約は和田耕一さん(和田建築設計工房)が窓口となり、全体の統括と既存部である東・中校舎の改修設計を担当した。そして彼の元で、新築する新西校舎と外構を武智和臣さん(アトリエA&A)が、3棟の構造設計を東大の腰原研究室がそれぞれ担当した。契約期間は、前回書いた入札の翌日である2007年9月7日から、前回の記事の最後の時期である2008年3月31日までの半年で、新築とは違

設計するだけが建築家ではない

建築家、あるいは店舗内装などの設計者の現実的な職能や仕事の仕方を説明する本はこれまであまりありませんでしたが、なん冊かは出ていました。その中のある本に、「これからは建築家も物件を貸したり、何かを経営したり、定収入を保持していきながら設計のしごとをしていくのが良いだろう」というような意味のことが一行だけ書かれていました。その本が書かれた1990年代のはじめごろまで、建築家は別の仕事で何かを経営しながら本業の設計を続けるという生き方には反発を感じたでしょう。もちろん、今でもそう感