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終わらない歌

オワコンという言葉を耳にするようになった。
Youtube全盛になった頃にいよいよテレビやラジオはオワコンになるなんて言われたけれど、今度はChatGPTで、あれもこれもオワコンなんだそうだ。
終わったコンテンツを略しているつもりなんだろうけれど。
結局、ほんとうに終わったコンテンツなんてあるのだろうか?

確かにブームがあれば、それが下火になることもある。
でも終わらないんだな。そんな簡単に。
サブスクが流行してもCDはなくならないでしょ?
終わるわけがないんだよ。
下火になるだけだ。
火はもう一度燃え広がることだってあるからね。

映画館っていうのは何度厳しい波に直面しただろう。
テレビが家庭に普及した時。
ビデオが家庭に普及した時。
娯楽の王者からまたたくまに転落していったわけだ。
そして、今は配信が家庭に普及した三度目の波を迎えている。
東宝に続いて東映もチケット代2000円を発表した。

あれ?と思う人もいるかもしれない。
テレビより前の時代。映画の黄金期もあったのに。
興行記録の記録を越え続けていることに。
全体の興行成績で言えば、どうなの?となるかもしれない。
だって去年の年間興行収入は2000億円越えたらしいし。
今年は更に計測し始めてから過去最高になる見込みとか。
ちょっと信じられない。
ちなみに動員数も、上映される作品数も増え続けているらしい。
どうなってんだろ。

なんかこう、ちょっと厭な感じがするでしょ。
するんだよ、これが。
富がどっかに集中してるとしか思えないでしょ。
一部でそれを分配しようという動きもあるみたいだけどさ。
それは製作側で生まれている動き。
海外なんかである小さな映画を守るやり方。
上映館の方はそういう話を聞いたことがなかったりする。
でもそのシネコンも厳しいからチケット代を値上げするという。
ええええ?どうなってんだろ。なんかおかしいだろ。
と、僕なんかは思います。

観客が入る作品をどれだけ上映するか。
その作品からの単価をどれだけ上げるか。
観客が入らない作品をどんどん上映終了にしていく。
数字をみて売り上げ見込みを上げていく。
観客が入る作品を持つ配給会社との関係性を強くしていく。
観客が入る都市部に映画館を建てて、地方部を潰していく。
たくさんのメディアや企業を巻き込んで、大キャンペーンをして映画というよりも、映画を軸にしたコンテンツビジネスを展開していく。
まぁ、そういうことだ。
もちろん、産業である以上、売り上げをあげることは正義なんだけどね。
そこに関わって働いている人がいてその家族だっているのだから。

過去の作品などマニアックな作品は配信で。
映画館ではイベント的にという形に進んでる。
でもなぁ。でもなぁ。って思うよ。

だからさ。多分なのだけれど。
僕の記憶では単館ブームとかミニシアターブームっていうのがあった。
あれは確かにブームだったよなぁって思う。同じブームなのかな?作品と映画館の両方にブームがあったって記憶になってる。僕の中では。
つまりは「ミニシアターに行く」という特別な感じが新しいコンテンツになればいいだけなのだと思う。
それが難しいのは商業映画と呼ばれる映画も数字で割り切られて、シネコンで1週とかで打ち切られちゃって、どんどんミニシアターに回ってくる状況なのかなぁなんて思う。結構な有名なゲイノージンがミニシアターで舞台挨拶とかするけれどさ、単館ブームの時もミニシアターブームの時もマイナーな俳優が出ていたっていうイメージなんだけどなぁ。
やっぱり知る人ぞ知るとか、まだ世に知られていないっていう魅力もあったと思うもの。カウンターカルチャーな部分って確かにあったもの。
マイナーがなくなったわけじゃなくてメジャーがなくなっちゃった。
メジャーを指さしてあんなもんニセモノだぜって言っていたはずが、なんかメジャーそのものが消費される文化になっちゃった。

じゃあオワコンになるのかって言われたら、ならない。
オワコンって言って終わったものなんかない。
むしろ、コンテンツとしての終わりじゃなくて、そいつの中で飽きたかどうかだけの言葉なんだよな、オワコンなんて。表面をスイスイと歩いていればそりゃそうなるよ。消費し続ければいいよ。

いないはずがないんだよ。
尖ってる連中はあちこちにいるんだから。
そこに哲学があるかどうかだべ。
僕はそう思う。
細分化されてすべての文化はマニアの持ち物になるのかもしれないけどさ。
それでもやっぱムーブメントみたいなものはまだまだ来ると思う。

と。
すくなくても僕はそういう理想を持って進むよ。
そうじゃなくちゃいかんとつくづく思った。
名古屋シネマテークのことでも改めてさ。

富じゃないんだよ、富じゃ。
新しさとか、競争ですらないのだよ。

火だよ、火。哲学的な火だ。
死ぬほど怖いものかもしれんがの。
ぬぐわおっ。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。