見出し画像

『「ヒックとドラゴン」inコンサート』

夫は下戸でわたしも酒はそんなに強くないのだけど、理由をつけて酒が飲めればいい精神は脈々としてある。結婚記念日からひと月ずれたきのう「『ヒックとドラゴン』inコンサート」を見てきた。

前日からソワソワして、当日も早く起きすぎて昼寝をしてしまい、慌てて出かける準備をした。原宿駅から歩いた。青空と白い雲。NHKホールの客席には、年齢も性別もばらばらで、ドラゴン、トゥースのぬいぐるみやTシャツを着ている人もちらほら。夏休みに入っただろう、子どもたちの姿もある。深く、長く、愛されている作品だ。

「シネコン」とは映画を上映しながら、オーケストラが生演奏する「シネマコンサート」という比較的新しい映画イベント。オーケストラの演奏にもかかわらず映画にあわせての演奏だから、スピード感は絶対である。宣伝されていたラジオで「譜面が電子で」「読むのがむずかしい」などとも聞いた。まさに映画のための演奏。映画は9割が音だ、となんどかテキストも読んだけど、それが生演奏で目の当たりにできるのだから、ファンにとって最高の鑑賞環境である。

わたしが「シネコン」を最初に見たのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の第1作目、お祭り騒ぎだった2015年頃だったか。そのときは、まだ「午前10時の映画祭」でかかる前後だったような。第1作がスクリーンでみれること自体、貴重かも、と胸躍ったもの。22日にも『BTTF』の公演があったようだ。思い返せば2日連続で名作を演奏するチーム、神奈川県フィルハーモニー管弦楽団もすごい。

さて『ヒックとドラゴン』映画の公開は2010年。当時を観た人はどれほどいるんだろうか。じつはWOWOWで放映しているタイミングにチャンネルをあわせながら「ぼくの住む島は!」というナレーションや、少年とドラゴンの物語という”ありがち”な物語にこそばゆさを感じていた。

だから、夫がおすすめしてくれるきっかけがなければ今でも観ていなかったのでは、とも感じている。もちろん鑑賞後には「なんで早く観なかったんだ」と後悔するわけで。シリーズも、スピンオフも見切れないほど観ている。

改めて今回はスクリーンで見れるこそ自体が、嬉しい第1作目。なんといっても飛行シーンはよかった。

ドラゴン・トゥースとの初飛行。カンニングペーパーが飛ばされたヒック。足で操作するギアの入れ替えが書かれた、カンニングペーパーがないと思う通りに飛べなくなるのだが……それをいちいち確認していたら間に合わない!ヒックはトゥースと心を合わせて感覚で勝負すると決める。その瞬間、瞬間で「きっ!」「きぃっ!」と響く金属音は、決意と覚悟の音だった。

BGMと効果音の異なりかたもこのステージだから気づけた?すばらしい演出だ。

そしてインターミッション(20分休憩)明けに、アスティとヒックと、トゥースの夢のような飛行シーン、映像ももちろん素晴らしいが、音楽と場内の一体感で本当に空を飛んでいるような感覚を味わったような気さえする。

上演中は隣席の夫が、ぴくりとも動かず、舞台上にくぎづけだったのも面白かった。

そしてこの作品、にくいところがエンディングの台詞&エンドロールで泣かせてくる。エンドロールで涙をこらえるのがいかに大変か!

高揚感。鳴りやまない拍手。アンコールで幕間演奏の曲をすこし。指揮者・佐々木新平氏と、演奏者が笑顔のグータッチ。退場アナウンスが流れてもまだ拍手が続いていた。ここで、スタンディングオベーション?とも立ち上がるのか、とも身構えたけれど、タイミングの難しさもあり。その分、ただただ拍手で感動を伝える事しかできず。思えばコロナの感染拡大もあれだし、よかったのかもしれない。

映画館で見る体験とはひと味もふた味も違う。言って、S席に9800円&A席に7800円払う観客って、よっぽど(の映画&作品ファン)だから、その一体感交えて、”本当の”映画体験といっても過言ではないのかも。と、悦に浸る。感想を言い合おうと入った飲食店でも、会話していたら涙がじわじわ、じわじわ(笑)

シリーズを見返して、もう少し言語化していきたい。

おまけで映画を見て気づいたことメモ↓

仲間5人の両親ら→スクリーンで気づいたけど、顔がそっくり!
父とバイキングの子育て心配シーンがいい
母の胸当てでつくられた帽子→母も勇敢なバイキングだった&母不在の家と推察できる(母もドラゴンに殺された、父の恨みなども)
ラスト→バイキングの父ら、性格が変わったわけではない。そのままで「世界」が変わっている驚き&感動。
主人公はヘマでドジばかり、ドラゴン解放までしてしまう→なぜ主人公にイライラしない?→父の台詞「あいつはハイハイしていた時から変わってた」鍛冶屋のゲップ「(バイキングの魂を)止めることはできない。(見守ってやろう)」→親目線でヒックを見守ってしまう?
主人公は説明より行動してしまう衝動系→アスティにヒック「あいつもおびえていると思った、弱い自分が重なった」は、とてもいいセリフだし、キーポイント。シーズンを通して、アスティからの理解がヒックの原動力になる。

この記事が参加している募集

夏の思い出

ここまでお読みいただきありがとうございました。サポートいただいた分は、映画の制作費や本を買うお金に充てたいと思います。