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社長芸人による芸人経営学.1

私はこの記事を書いている時点で、経営者として11年目を過ごしてきました。

会社を起こしても3年以内に半分潰れるとか、5年で3割以下になるとか、そんな声も聞きます。

創業10年を迎えられる会社は、全体の1割以下。そんな話も耳にしたことがあるのではないでしょうか。

一応、金もコネも無い私がどうにか会社を10年以上存続させてきた経験から、「お笑い芸人」を一つの事業と考えた場合における、経営的視点からの戦略や市場分析をご紹介していければと思います。

そして、この記事においてとても重要なことがあります。

それは「芸人事業として成功する理屈が分かっているからって、私が面白いとは限らない」という点です。

経済学者が皆金持ちではありません。風邪をひく医者もいます。

だから、私が芸人として面白くなくてもこれから紹介する「芸人経営学」の信憑性については何ら影響がないという点を、事前に強く申し上げておきたいのです。

これはとても重要なポイントです。しつこいようですが、私自身の芸人としてのスキルと芸人経営学の信頼性については相関関係がありませんので、留意してお読みください。本当に留意してください。。。

第1項 芸人事業における成功の定義

まず、芸人を事業として捉えた場合、どのような基準で事業の成功を測るべきであるか考えます。

一つは「芸人としての収入で生活を維持できているか」という点です。所得におけるお笑い芸人による収入の割合とも考えられます。

基本的に、芸人はアルバイトをしています。私の研究によると、アルバイトをせずに芸人としての収入のみで生計を立てている割合は、全芸人の1%以下であると推測されます。

この場合、芸人というのは「私は芸人である」と自称している全ての人々を「芸人」と定義しています。

一般的に考えると、「芸人」とは芸で飯を食っている人を指すと思われる方も多いと思います。

しかしながら、皆さんがテレビで見かける芸人にもアルバイトをしていたり、出演料だけで生活を維持できない人は大勢います。

でも、その人々は人を笑わせることで報酬を得ているわけです。

その意味では、まず「芸人」という定義が「職業ではなく肩書き」であるという認識が必要となります。

収入がなくても弁護士は弁護士、税理士は税理士。評論家というのもそうでしょう。

例えば、会社員で生計を立てながら、趣味の延長で映画にとても詳しい人がいるとします。その人がインターネット上に投稿した映画に関する考察がとても優れていてメディアに取り上げられた場合、それが長期継続していく中で、主たる収入が会社員としての給与であったとしても「映画評論家」と名乗ることに違和感はありません。

むしろ、会社員と名乗られたまま本格的な映画評論をされる方が受け手は困惑するでしょう。

このように、芸人の定義を「自己申告による肩書き」とした場合、芸人としての成功は「芸人として得られる報酬で生活を維持出来る事」と考えることができます。

また一方で、芸人という仕事がとても不安定で、一定期間芸人の報酬で生活できていたとしても「売れなくなった」場合に、一転して成功から失敗になってしまうとも考えられます。

更に言うと、芸人というのは極めて属人的スキルによって成立するため、他者への譲渡や組織化が極めて難しい事業です。

つまり、肩書きとしてはいつまででも名乗っていられるものの、長期間収入を稼ぎ続けないと成功と呼べないと言うことになります。

しかし、これはまた不自然です。仕事には「引退」というものがあります。定年退職や早期リタイヤなどもその一つです。

とするならば、芸人としての成功を「平均生涯年収と言われる2.7億円以上を稼いだ時点」で達成したと定義するのが自然ではないでしょうか。

私の考える芸人経営学においては、「2.7億円を得る」という目標を達成した時点で「芸人事業の成功」と定義し、その実現のための方法について考察していくものとします。

皆さまの支えがあってのわたくしでございます。ぜひとも積極果敢なサポートをよろしくお願いします。