M1のぺこぱネタに学ぶ、自己アウフヘーベン法とは
突然だが、僕は『お笑い』が好きで。
中でも特にM1が好きで。
今年も準々決勝らへんから、ほぼ全組のネタを見ていたり。
準決勝もライブビューイング観に行ったり。
もちろん決勝も観た。
もちろん、本当に詳しい人からしたら、にわかかもしれないが、にわかながらに、お笑いが好きな方なのかなと思う。
さて、そんな中昨日、M1グランプリ2019の決勝が行われた。
大会がどうとか、どのコンビが『すごい』とか『よくない』とかは、正直評論できる力もないし、各々の好みもあるので、この場では控えておく。
ただそのうえで、僕が個人的に今回一番『学びになった』のが、ぺこぱさんだ。 *以下敬称略で記載させて頂きます。
知らない方のために、少し補足すると、ぺこぱは、松陰寺 太勇(しょういんじ たいゆう)さんとシュウペイさんの2人によるお笑いコンビだ。
*著作権あるので、動画貼れないですが、素人の僕が、経歴等の説明をするよりも、ネタを見て頂いた方がイメージが湧くかもしれないので、良かったら直接ネタ見てみてください!
「ツッコミ方改革」をキャッチフレーズに、今回のM1でも、決勝に進出しただけでなく、最終ラウンドの3組にまで進出した。
だが、過去最多の5000組以上のエントリー数状況からしても、事前の知名度からしても、多くの方が今回の『ぺこぱの決勝最終ラウンド進出』という結果をM1前に予測することは難しかったのではないかと思う。
実際、僕自身もAbemaの番組やおもしろ荘などで見て、ぺこぱのことを事前に知っていたが、まさかここまで行くとは思っていなかった。
そんなぺこぱの漫才を見ていて、自分自身学びになる点があったので、備忘録も兼ねて、見た翌日の勢いのまま、記事を書いてみた。
ぺこぱのネタの特徴
さて、そんなぺこぱの漫才において、個人的に特に特徴的だと感じたのが
1、否定しかけたものを
2、再否定し
3、結果尊重・肯定する
というツッコミのシステムだ。
ツッコみというと、指摘したり、いじったりするものが多い中で、否定しかけたものを、再否定し、結果肯定するというスタイルは、まさにツッコみ方改革だなと感じた。
例えば
相手:ネタ中に相方が立ち位置を、自分とかぶせてくる
自分:いや、かぶっている、、、、
自分:なら俺が避ければ良い
とか
相手:野菜のナスかと思いました。
自分:いや、ナスじゃない
自分:とは言い切れない、色合い(全身紫色)だ。ヘタ(髪型)もついている。
みたいな具合だ。
こうして、自動思考的に思ったこと(ナスじゃない!)で主観的な批判や指摘をして終わるだけでなく、客観的な視点からも見て(全身ナス色)、それを再否定し、相手を尊重・肯定している。
実際、ぺこぱのツッコみを聞いていると、出てくる言葉として
『いや、~~~、とは言い切れない』
といった言葉が多いことに気づく。
『いや』という言葉で、多くの方が思いそうな否定や指摘をした後で、
『とは言い切れない』という言葉等を通して、それを再否定することで、結果として肯定的に、ポジティブに受け止められる仕組みになっている。
そのため、ぺこぱのツッコミは、
for youとしての相手への否定や指摘だけでなく、
最終的にfor meとして、自分にも矢印が向いている点が特徴的だ。
だから、結果として誰も否定しないし、傷つけず、肯定する形に見える。
哲学的な視点から見るぺこぱのネタ
さて、このぺこぱの漫才の特徴を、一度抽象化して別の哲学的な視点から見ると、アウフヘーベン思考に近いのかなーと思ったりして。
*アウフヘーベン思考は、ドイツの哲学者であるヘーゲルさんの哲学概念を表す言葉で、「弁証法」という思考プロセスの中で最終段階を表す用語だったりします。*詳細書くと長くなってしまうので、省いちゃいます。
例えば、Aという見方があった時に、それに対して、対立するBという概念をぶつけることで、Cというそれらの上位概念となるものを生み出そうとすることで。
ちょっとかっこつけてややこしげな言い方をしたので、具体例に言うと
Aさん:これは丸でしょ!!
Bさん:いやいや、これは四角でしょ!!
Cさん:それらって、見方によるから、ひょっとして円柱なんじゃない??
みたいな感じで。
*さくっとつくったイメージ↓
ある意味ぺこぱのツッコミは、自分で擬人化した自分をつくってツッコむ、自己アウフヘーベンみたいなことをしているのがすごいなと思って。
人はどうしても、自分の目線からの見え方に固執してしまう生き物で。しかもやっかいなことに、そうした、認知のバイアスを自分で認知して崩すのは、すごく難しくて。
そんなときに、『いや』で一度否定し、主観的な主張をした後で、そっと『とは言い切れない』で、客観的な視点から、再否定して肯定的にとらえる。
そうして主観的なとらえ方の後に、客観的なとらえ方をいれると、良い捉え方ができるんだなーと、僕自身今回学ばせて頂いた。
ぺこぱネタの学びを現実に活かす
さて、このぺこぱのツッコミは、日常の色々なシーンで応用が利きそうだなと感じて。
例えば、恋愛にしろ、ビジネスにしろ、友達関係にしろ、様々なシーンで
『なんであなたはもっと私に本音で話してくれないの?心を開いてくれないの?』
と思うようなシーンがあるかもしれない。
そんなときに、ペコパだったらそのあとに
『いや、相手が本音を話そうと思えない、自分側に問題がないとは言い切れない』
と客観的な視点を加えて捉えたりするのかなと妄想する。
こうして、相手の立場に立ったり、相手の目線で見ようとして初めて、自分側の課題に気づけたり、自責で捉えられたりする。
これはSNSとかも一緒で。受け取り側は、文字数少ないSNSの相手の文言を、そのままで受け取って怒ったりするのでなく、こういう視点や背景もあるかなと捉えることで、ポジティブなとらえ方につながったりする。
だから実際、ネガティブ気味な人や他責思考が強い人に、
ポジティブに自責で受け止めようぜ
というアドバイスよりも
ネガティブに批判的に考えてしまうのはしょうがないから、その性質を生かして、そのあとで逆にもう一度批判して捉えてみようぜ!
という方が、結果ポジティブにとらえられるのかもしれないなと思ったりする。
ぺこぱのネタに学ぶ、主張と尊重の大切さ
ぺこぱの学びは、捉え方という聞き手側の話だけでなく、伝える側に対しての学びも教えてくれる。
相手の意見に対して、
『俺はこう捉えている。』
と主張した上で、
『でも、こういう見方もあるよね!』
という客観的な相手への尊重の一言も忘れないことで、建設的な議論ができるし、結果的に相手に自分の意見も通しやすくなる。
主張だけで頑固になると、2項対立が多くなり、都度相手と戦わなければならない。 すると夢追ったり頑張るにも、違う意見の人への説明コストが大きくなりすぎたりして、ちょっと息苦しくなるよなーーと。
何より、主張という名のもとの他責や、言葉の暴力になってしまうときもある。
そういった意味では、話すときに『主張と尊重』をセットで入れると良いんだなと学べる。
実際、他人である相手に、常に主張して共感してもらうのは難しい。でも、
共感側に、自分側に巻き込む主張だけでなく、
『共感』できないときに、『尊重』しようとする
という『それもいいね!』、『悪くないね』的な考え方は、情報や意見が溢れ、多様化する令和時代現代を生きやすくする、捉え方改革になりそうだなと思ったりする。
最後に、ただとはいえ
・ぺこぱあまり好きなタイプじゃないんだよね
・どうせ今回だけの一発屋でしょ
と思う人もいるかもしれない。
前提として、僕はぺこぱの回し者でもなんでもないし、この記事も、ネタ見た翌日に勢いで書いたものだ。
だからその主張自体を変えてほしいとか、共感してファンになってほしいみたいなことはなくて。
ただその上で、もしよかったらその主張の後に、一言付け加えてもらえたら嬉しい。
『いやとはいえ、ぺこぱが売れないとは、言い切れない』
と。
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