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BtoBのエンプラ狙いマーケティングの難しさを、婚活&物件選びで例えてみた

日々、BtoBマーケティングの支援をしていると、よく聞くのが『エンタープライズ企業(大手企業等。以下エンプラと表記)を狙いたい』という声です。

で、理由を聞くと下記のような答えが返ってきたりします。

・うちのサービスは、人数単位課金だから費用対効果良くするために、人数が多い会社から攻めたい
・うちは商材単価が高いから、規模が大きい会社じゃないと購買できない
・自社サービスの利用企業一覧を良くして実績アピールしたい。
・うちのサービスは従業員が多い会社向けの課題解決サービスだから
etc...

なるほど確かに、それは大手を攻めるべきだし、納得感があります。


ここでまず初めに僕のスタンスを共有すると、僕はエンプラ狙いを肯定も否定もする立場ではないです。


ただその上で、皆その層を狙っているのになんで難しいのか、どのくらい狭いのか等を自社目線だけでなく、下記のような多面的な視点

1相対的な競合との競争環境視点
2相手(エンプラ)側の視点
3アポイントにおける他の重要要素の視点
4マクロで見た母数の視点

から見る機会が中々ないなと日頃思うことがあるので、例え交えながら、つらつらと今回記事書いてみました。
少し耳が痛い話するかもなので、ご容赦ください。

エンプラ狙いの難しさとデメリット

さて、まずエンプラ狙いのメリットや理由は上記の通り明らかな上で、逆にデメリットや難しい要素をいくつか挙げてみましょう。

<期間、決裁者系>
・稟議フローが長くなりがちなため、成約までの期間が長くなりがち
→例:予算確認問題や、稟議フロー、法務チェック等

・エンプラは、担当者が対応しやすい
→大手企業の役員、決裁者クラスがいきなり出てくるケースは少ない
→下から上にあげる構造は想像以上に難しい

<自社体制系>
・エンプラ目線向けの契約体制が整っていない問題

→ISMS、約款、セキュリティ等
・そもそもエンプラ向けに向く商材と、向かない商材がある
→本当にエンプラ目線でその商材はMUST HAVEなのか

<その他>
・エンプラは既に大体の商材や委託先、
仕組みが揃っている場合が多く、ニーズをもたれにくい

→『例:人が多い会社だからこそ効率性を上げることに意味があって、
そのうえでこんなSaaSがあって』
等といっても、そもそも結構そろってるケースが多いです。

<母数と競争倍率>
・皆そこを狙っているから競争倍率が高い
→上述のようなメリットがあるわけなので。
もう、そりゃあ本当に皆が皆そこを狙っています。

・母数が半端なく限られてくる
→少し前のデータですが、下記のデータ等を見てもらえればと思います。
*もう少し新しいデータあったら誰かください。。

キャプチャ

そもそも従業員300名以上の会社なんて、マーケットの約0.6%しかいないわけなんですね。色々なツッコミポイントを考慮したとしても1.5%以下で。


そうすると例えばメルアポや広告打っても、マーケット母数的に、1周回り切っちゃう、フリークエンシー問題(1ユーザーに対し何回も同じ内容が配信される問題)等がでやすく、これが思いの外えぐかったりするわけですと。。


基準がずれている問題

さて、とはいえこれだけだとイメージつきにくいので、前章で最後に挙げた、この母数と競争倍率について、もう少し深ぼってみましょう。

まず先ほどの、母数の少なさ×競争倍率の高さの状態って、

母数の狭い生簀の魚を、皆で取り合っている状態

なわけです。そりゃあ難しいですよね。。ということで。


ただですね、ここで意外と厄介なのが

『そもそも僕たちはあまり企業規模を重視してないんですよね』

というけど、基準が意外と高いケースでして。


例えば『そもそも僕たちはあまりターゲットを重視してないんですよね』という人に、詳細なターゲットを聞くと、『最低従業員数100名以上くらいの中規模以上の会社であれば大丈夫です』という意見がでたりするわけです。

さて、じゃあ従業員数100名以上ってどのくらいいるかというと、もう2%もいないわけなんですね。

キャプチャ


婚活市場で例えてみると。。


これがどういうことか、わかりにくいので婚活市場で例えてみましょうか。

例えば、『結婚相手に求める基準』みたいな質問をしたとして、

『私は、あまりお金は重視していなくて。
最低限、年収500万円くらい稼いでいればいいんですよね。』

という答えがあったとします。
ただここで、それこそデータとしても、未婚で500万円稼いでいる人の割合って、18%しかいなかったりすると。

*下記等参照


そうなると、少しだけ強い表現になりますが、『じゃあ相手に上位18%セグメントを求めるということは、あなたは逆に上位18%側に入っているんですか?』ということを思う人もいると思うんですよね。

*実際そういった内容はTwitter投稿ベースでも思う方多かったり。。
→ https://tsuisoku.com/archives/56081278.html

こういう、意外と自分の求めている基準が、そもそも高いのかどうか知らない問題って、結構あるよなーと思ったりするわけです。


ここで婚活の例えから話をBtoBマーケに戻すと、前述した従業員100名以上の2%ラインを狙うということは、

さっきの婚活条件ですら18%、そこよりも更に数倍以上の厳しい条件を求めているわけですと。

それこそ『未婚で年収1000万円』みたいな基準で、知らぬ間に自分がマーケに条件を求めていたりするわけで。

そうなると先ほどと同じ話で、じゃああなたの会社は、プロダクトは、本当に上位2%に入っているのか?という話になってきたりするわけです。

もちろんこんなことをいうと

『婚活とマーケ一概に比較できるわけないだろ』
『従業員数の多さで決まる訳じゃないだろ』
『上位2%のターゲットだから、上位2%のプロダクトは安直じゃないか』
『このデータ元って、こういう統計条件だからそもそもおかしいよね』

等、色々な意見があるかと思います。

ただ、あくまでも例えの話として、このマクロな数値感、基準感を知っておくのは、マーケするうえで、結構大事かなーと思うわけです。


何はMUST条件で、何はWANT条件なのか


さてさて、ここまで話していく中で『それでもうちは100名以上の会社じゃないとだめだし、そこを狙うんだぞい!』という方もいるかと思います。

最初に述べたとおり、それ自体は、僕は否定も肯定もしません。
ただ一つ問いとして。そこで、ではいざ100名の会社との商談がセットされたとしましょう。

そこで極論『ニーズがない、決裁者じゃなく担当者が出てきた』となった時、皆さんはどうしますか?という話で。

それでも『100名以上ならOKだし、そこからは自己責任だ!』と捉えられるなら良いかと思います。


ただそこで『いや、100名以上かつ、ニーズもあり、かつ決裁者じゃないと嫌なんだー』となり全部必須条件となると、先ほどの婚活の例で言うと、実際は年収だけでなく、ほかの条件も潜在的にいくつかあるということで。

『年収1000万円以上で、身長180センチ以上で、顔と、性格良い人』

並みに難しい条件になってくるわけなんですね。

それこそいよいよ0.1%切ってくるぞと。
もうねえ『野生で伝説のポケモンと出会う』みたいな難しさになってくるわけです。。。



ただですね、それでも『いや、そもそもorでなく&条件で考えるべきだ!』という方もいるかと思うので、別の例えもすると。

アポイントに求める条件って、物件選びと近いなーと思っていて。

例えば月の家賃の予算が決まっているとするのであれば、
・家の広さ
・駅からの近さ
・バストイレ別か
・セキュリティ
・騒音や治安
等々、どれも欠かせない条件の中から、トレードオフで取捨選択をする必要があるわけです。

そこで、どれはMUSTで、どれはWANTの条件かを決めるわけで、そこに価値観や思想とかが出てくるわけです。

例えば、バストイレ別と、セキュリティはMUSTで必須だけど、駅から歩くのはWANTだから最悪しょうがないかなーとかね。


アポイントも同じで、例えばこんな感じで決裁者性、ニーズ性、ターゲット性があった時に、どれはMUST条件で、どれはWANT条件なのかとかを決めておくと良いのかなーと。

キャプチャ2

*BANTとかここの項目は色々ありますが、一旦割愛します。。


そうすると、自分たちのターゲットが『年収1000万円以上で、身長180センチ以上で、イケメンな人』みたいな話から、どれはMUSTでどれはWANTなのかわかっていって、よいんじゃないかなーと思います。

『例えば、規模基準はこのくらいで良いけど、決裁者性は担保してほしい』となるのであれば、じゃあそもそも決裁者をベースとしたマーケティングにしましょうとかですね。←ちょっとだけ宣伝感

キャプチャ


最後に

さて、とはいえで『じゃあ求めている条件が高いことはわかったけど、とはいえうちのサービスは規模大事だから、それならどうしたらいいんだよー』という話も一定出てくると思っていて。

ここで、最後にもう1つ伝えられるとするのであれば、それは点としての高さだけでなく、線としての角度を大事にした方が良いのではということで。

例えば

・従業員1000人いるけど、前年比で減収の会社
よりも、
・従業員数50人で資金調達してBS余裕あったり
・前年比30%とかの成長率持つ成長企業
とかの方がお金払えるケースって結構多かったりして。

エンプラを狙いたい本質が、お金を払えるかどうかであったりするのであれば、今の点としての従業員数や売上の高さよりも、意外とYonY(前年比売上高成長率)の角度とかの方がキモだったりするかもなーと。

定点の高さと、角度の話は、分解して思考すべきで↓

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先ほどの年収の例で言うと、今年収500万円だけど、業界的にしんどくちょっと下がってきている人(YoYで前年比割れの人)よりも、今360万円だけどYoYで毎年の給与の増加率が高い人の方が、むしろお金の支払いは良かったりしていて。

そういうことを考えていけたら、マーケがもっと柔軟性高く、うまくいくんじゃないかなーと思ったりする今日この頃です。


最後に、この記事で伝えている基準の高さって、企業規模だけでなく、業種性が強かったりと、形は違えど意外と多くのマーケターが苦しんでるんじゃないかなーと思っていて。

他にも

・テレアポ会社に依頼したけど、うまくいかなかった
・婚活相談所いったけど、理想の相手に出会えなかった
・不動産会社いったけど、良い物件見つからなかった


等、色々な悩みがアナロジーとしてこの期待値問題に近いなと思っていて。

この記事が、そんな方々の、色々な悩みの一助になれば幸いです^^

それと、かくいう僕達もまだまだレベルが低いし、正直同じ様なことを思う部分もあるので、自戒も込めての記事として、これからもがんばります^^

ではでは!


*この記事の例えは、恋愛や不動産選び等、皆が経験することだとイメージしやすいかなーと思って例えてみましたが、もし万が一一部表記等不快な思いする方いたら、ごめんなさい。


*記事読んでよかった方、シェア頂けるとすごーーく嬉しいです^^


*少しだけ宣伝になるのですが、僕たちは、経営者、決裁者の方向けのビジネスマッチングサービスを運営しています。ぜひ色々な方とオンラインでつながってみてください^^

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