点数を上げるノート①~板書編
ノートをとるくらいなら集中して授業を聞いて欲しい、という声を時々聞きます。本当はどうなのでしょうか。
ノートテイクは授業をさまたげる。
何千人という子ども達を見てきました。学校でも板書をとりなさいと指導されていることから、ほとんど多くの子ども達が板書を何も考えずにそのままとる。私は何度も目の当たりにしてきました。
ノートを写すことに集中するあまり、授業を聞き逃してしまう。そういう子も少なくないのが実情です。カラーペンを沢山持っている子ほど、ノートをデコレーションしてしまうことに夢中になりがちです。
中には写すスピードが遅いこともあり、授業に取り残されてしまっている子もいます。先生もカリキュラムに追われて大変ですから、そういう子を待てないという「大人の事情」も存在します。
下手なノートテイクは、先生の話を聞けない原因になります。先生の話を聞かずにノートをとっても、それを読み解くのに高い学力が必要になります。ノートテイクは子ども達の理解を邪魔してしまうことがあるんです。
ノートテイクの効果を考える。
ノートをとること以前に、まず先生の授業を理解することが大切なのは言うまでもありません。しかしだからと言ってノートを取らなくても良いのでしょうか。
ノートをとることのメリットを考えてみましょう。
まず最大のメリットは「書く」ことです。書かなければ書くことに慣れません。えんぴつが重たく感じてしまうのです。書き慣れることが如何に重要か、皆様もお分かりになるかと存じます。
また、ノートをとることで、知識のつながり、まとまりを得られます。例えば『足利義満』と『北山文化』、『金閣寺』に『南北朝合一』などの知識のつながりが見えやすくなるというメリットがあります。
さらに、後で読み直し、先生がどこを重要と言っていたのか、試験のポイントをつかまえることもできるのも無視できない重要なメリットです。ここが出るよとか、ここが大切だととか、先生は結構話しているものです。
これらのメリット以外にも多くのメリットがあります。また別機会に述べますが、上記三つのメリットだけでも、ノートテイクは重要だとわかりますよね。
ノートを大人も見る。
ノートをとるのに時間がかかるという子や、すぐにデコレーションしてしまう子に対して言えるのは、まずノートを時間内に、最低限の出来栄えでとることが良いことだと感じてもらう必要があります。
とはいえ、実はこれはかなり難しい。お子様のタイプや課題によって、ノートに関する指導は千差万別です。ただ共通して言えるのは、大人がノートを見てあげることが必要です。そして褒める。
ノートは作品です。子ども達にとってもっともわかりやすい努力の結晶です。ですからノートを丁寧に、ゆっくりとりたい子も多いでしょう。そこで大人の褒め方が問われます。使いやすいノートが何かを教えてあげてください。
丁寧さよりもスピードを、美しさよりも見やすさを。
丁寧に、カラフルに、じっくりとノートを取ってしまうお子様には、まず授業の内容を理解しているかをヒアリングした後、どうやったら理解できるかの話し合いを持ちましょう。
授業を聞くためにノートを速くとることを約束します。その約束を繰り返し確認し、ノートに変化が現れたら褒める。ノートに変化が出なかったら、励ました後に理由を聞く。その繰り返しです。
そのうちスピード感のある、見やすいノートになってくると思います。その変化はとても大切です。ノートの変化はいわば「聞く力」が伸びたということ。ぜひノート指導を通して、「聞く力」をどんどん指導していきましょう。