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そいでも生きてる

手が荒れているせいで、少しの刺激で指の肉がうっすら削げた。
地味〜にじくじくするやつ。
周りの肌の色と明らかに違うオレンジがかった色で、てらてら光っている。
皮膚の内側ってこうなっているんだなぁ、となんだか自分もちゃんと生物なんだと感心する。

人間の大まかな構造、臓器があって血が流れていて、脳から指令が出て身体は動いている、などということはもちろん知識として理解しているが、小さな頃は、自分だけは特別で血も通っておらず、臓器もなく、もし体を輪切りにされたら断面はかまぼこのようにつるっとした肌が現れるだけだと思っていた。
これは死を信じていなかったのかもしれない。血があるということは、無くなれば死ぬ。自分が死ぬなんてあり得ないから、死ぬ可能性を構築しているものは認められないのだ。
死ぬ可能性があるというのは生きているということなのにねぇ。
でも今もその気持ちが20%くらい体内に残っている気がする。身近な人の死も経験したけれど、やはり、自分が死に、この意識が絶えることなんてあるのか?という疑問はどこかにある。実感するのはまさに死を迎えるときなのだろうな。

怪我した指を眺めていると、チャットモンチーのハナノユメが頭の中で流れる。あれは紙で指を切ったんだけどな。
私も寂しい気持ちになってきた。お盆のせいかしら。街は賑わっているけれど、お盆はどこか寂しい。

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